感情の墓場
自分の行き場を失った感情の行き着く先を自分で作り出してみたくて、ここに私の気持ちを書き出してみる。どこにも行き着くことのできなかった感情の執着地点なので、私はこれを「感情の墓場」と名づけることにする。
最近、京都へ旅行に行った。ほくほく、幸せな気持ちで帰ろうとしてたところ、嫌な出来事が起こった。
電車が来るまで少し時間があり、私は周囲に人がいないホームで一番先頭に並んでいた。
私の次にお子さんを2人つれたお母さんがやってきた。
電車が来て、電車に乗り込もうとした時、私の次に並んでいた子供がわっと電車に向かって駆け出していった。それを追いかけるお母さん。
それに続いて私は電車に乗り込んで行ったのだけれど、私と同じタイミングで電車に駆け込んできた女性がいた。その女性が座ろうとした場所が、私が座ろうとした場所と同じだったらしく、女性とぶつかる形になってしまった。
するとその女性は、「邪魔!!」と私に向かって叫んできた。人と争うことはあまり好まない私だけれど、この日ばかりは何故か許せず、謝ることもなくその女性を無視して自分が座ろうとしていた場所に座った。そしてその女性は通路を挟んで私の向かい側、つまり私の真正面に座った。
嫌な気持ちを抱えながら座っていると、スマホで私の写真を撮っているようだった。あまりそちらの方向は見ないようにしていたのだけれど、それでもわかるくらい明らかに私のことを写真に収めていた。
私はたとえば座る場所を変えることや、顔を隠して写真を撮られないようにする事ももちろんできたのだが、それはせずに、堂々と携帯を触っているふりをした。
結局その女性よりも私は先に電車を降りた。
電車を降りてから、この時代、自分がどこかSNS上にあげらるかもしれない、というひっそりとした恐怖をじわじわと噛み締めた。悔しかった。
結局、自分の気持ちを誰かにぶつけて、自分の気持ちを消化させる人がいて、その感情や行動を受け止める側の人もいて、この誰にもぶつけることの出来なかった悔しさとか憤りとか恐怖とかを割り切れない自分がいることに。
だから私はここに気持ちを書き連ねて、私の感情をここに成仏させる。