Googleの「新型量子チップ」の影響力と懸念
ブレイクスルー
12月9日に、GoogleはWillowを発表し、量子ビットを増やしてもエラー率は上がるどころかむしろ下がるという、量子コンピューターの商用化が一段と近くなった偉業を成し遂げました。しかし、よく考えれば今は「大AI開発競争時代」です。この時に量子コンピューターでブレイクスルーを起こすGoogleに待つ未来とは何なのでしょうか。
ご存じの通り、GoogleはAIボット「Gemini」を提供していますが、ChatGPTやClaude、Perplexityに対して後塵を拝しており、そこまで成功しているとは言えません。しかし、ここにきて突然、「Willow」とかいう謎の大玉を当ててきました。しかし、これは別段「商品」ではありませんしGoogleのイメージが変わるものではありますが、別段業績にどうのこうの、というほどのインパクトはなかったようです。実際、10日に若干株価は上がりましたが、また下がってきました。
量子コンピューターといえば「ビットコイン」
量子コンピューターという言葉ですぐに思い出すのが「ビットコイン」および「ブロックチェーン」でしょう。というのも、これらは量子コンピューターの処理でセキュリティを破られるのではないかと散々噂されており、それがついにまた近づいたのではないかというわけです。
ヴァージやフォーブスといったサイトでもビットコインの問題は取り上げられていますが、基本的には「105量子ビットでは問題なく、1300万量子ビットから3億量子ビットが無ければ1日でビットコインの暗号を突破することはできない」と述べており、Willowでは夢物語だと述べています。しかし、これは同時に「1300万量子ビットあれば破壊できるよ?」といっているのも同然で、結構怖いような気もします。
なんだかヤバいのはわかってるけど、見て見ぬふりをしている感がありますが、実際イーサリアム創業者のVitalik氏も24年初頭にイーサリアムの耐量子化を進める的なことを言っていました。
ビットコイン「レガシー」アドレスは脆弱
結論から言うと、ビットコインは量子コンピューターに対して「脆弱性」を持っています。しかし、量子コンピューターもビットコインも進化し続けているテクノロジーであり、その最先端に居ることにおいては別段問題はありません。
これを聞いてほとんどの場合「面倒だなぁ」と思うかもしれませんが、面倒ですとしか今のところ答えられません。例えば、ビットコインの最も古いアドレスタイプであるp2pkhは、量子コンピューターの性能に対して最もぜい弱だといわれています。これは、ビットコイン側でアップデートされている最新のアドレスタイプにコインを移動させる必要があります。
この問いに対しては、アップデートされた最新版が一番いいものだとしか言えません。例えば、ビットコインアドレスを車に例えてみます。
実際、タップルートアドレスは最新のものですが弱点もあります。そのため、一般利用ではネイティブシグウィットのほうが手数料が安いというメリットがあります。これは電気自動車は便利だけど手入れがめんどいからハイブリッドカーで良くない?というのに近いかもしれません。
ポスト量子暗号をまつビットコイン
ビットコインの安全性はビットコインの進化にかかってもいるということで、今のところは安全だというだけです。永遠に安全なものはないと心得たほうがいいでしょう。しかしこれは、既存金融機関にはなかなか当てはまりにくい考え方だと思われるかもしれません。
しかし、本当でしょうか?最近銀行業界では再編や倒産が相次ぎ、中には銀行は消えるとまで公言する有名人もいたり、「預金封鎖」や「資産課税」が入るなどと豪語する人もいます。つまり、どこにアセットをぶち込んでいても一定のリスクは生じているよね?という時代です。
ビットコインはいわゆる「ポスト量子暗号」の登場を待っているともいわれています。しかし、これがどういったものなのかはよくわかりません。しかし、暗号通貨業界がGoogleのブレイクスルーで量子問題を気にしているのは事実であり、いくつかの「耐量子アルトコイン」は12月10日に爆上げしました。
じゃあどうすりゃいいってんだよ!!
さて、そんなわけで結論ですが、ビットコインはブロックチェーンテクノロジーの動向を見るしかないということしか言えません。くだらない政治の話ではなく、ブロックチェーンテクノロジーの話がさらに活発になると思うので、そっちを見てもいいかもしれません。というか、政治は政治で、最近パランティアテクノロジーがナスダック入りしたことが話題ですが、「AIによる政府」の実現を目指す人々は意外と多いのかもしれないと思いました。
2040年くらいには「完全に元首がマシーンになった国」が登場する気がします。