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個人的に考えている放射性誘起がんリスクについて

発がんを気にして病院に行ったら、がんを作りに行っていた。

昨今の臨床放射線医学の発展により、PETスキャン、CTスキャンなどの放射線被ばくのリスクが明らかになっているのは言うまでもありません。そして放射線は明確に発がん性物質であり、ほとんどすべての放射線にまつわる物理学者は早逝しています。

このことから、それがただの見えない何かではなく、どう考えても危険なものであることは一般的になりました。

ほとんどすべての文献には、放射線と発がん性については線形的相関があり、1シーベルトあたり5%の発がんリスク、もしくは5.5%ほどのリスクがあると言われています。ただし、ここで言う5%というのは「生涯における発がんの確率」です。つまり、1000人いた場合、彼らが全員死ぬまで追跡した結果、5人が放射線1シーベルトの被爆が原因で死ぬ、ということです。

そして、最近の低線量被ばく問題で槍玉に挙げられているのが「実際のところ、例えばCTスキャン1回あたり10mSvだとしてそのリスクは過去のデータに照らし合わせれば5.5%の100分の1だと思われたが、じっさいのところその倍以上あるのではないか」というところです。

つまり、CTスキャンはいわゆる過去の疫学データの値より大きな発がんリスクがあるのではないかと指摘しているのです。

最近になり、100ミリシーベルト以下1ミリシーベルト以上の低線量帯でも明確に発がんリスクの上昇があると言われています。とはいえ、それが線形的なのか、線形二次なのか、それともバイスタンダー的なのかははっきりしていません。

多くの文献を注意深く読み漁っていくと、1シーベルトあたり5%のリスクではなく、50%ほどのリスクがあると書かれているものもあります。これが本当ならシンプルにこれまでの文献の10倍はがんになりやすいということになります。しかしここには「解釈の不一致」があるのです。

解釈の不一致としてあげた理由は、最初の1シーベルトあたり5%というリスクと、次点の50%のリスクというのは、生涯換算かどうかが不明であることと、年齢と性別による区分けが適当であることが挙げられます。

例えば、一般的にがんになる確率は30歳でも25%以上はあります。ここに10ミリシーベルトの一時被爆があったとして、そのリスクは25.055%になるのが理論値です。

この数値は、25%から0.2%上昇した数値です。これは最初の確率よりも相対的に0.2%高いわけで、0.055%の数倍に及びます。この認識の差のせいなのかどうかはわかりませんが、普通に考えて疫学調査で10倍も20倍も最初に言われたよりもひどかった、ひどくなかったというのがあり得るのでしょうか?ということです。

例えば、先天的心疾患患者を対象としたCTスキャンによる発がん研究というものがあります。これらの研究では、CTを1回でも受けた場合、受けていない場合に比べて20%から40%ほど発がんリスクが上昇したというデータがあります。しかしそもそも、このデータの集団は、心疾患患者という免疫的にも健常者より数十%がんになりやすい体質の人々であり、端的に逆因果(CTのせいでがんになったのではなく、がんになりやすかったからCTを撮っているのではないか?)を考慮できるように思えます。

何が言いたいのかというと、低線量被曝は確かに存在するだろうが、それは世代を超えて何倍、何十倍に跳ね上がるリスクを持つわけではないということです。


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