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Lake - オレゴンの自然と1986年

長くない話。

Lakeというゲームをやって思ったこととして、コミュニティの存在が挙げられるように思います。ここで、Lakeとは何なのかについて述べますが、これは米国オレゴン州の片田舎を舞台にしたゲームであり、2021年の初頭にリリースされたインディーズゲームです。非常にゆったりとしたゲームで、ライフイズストレンジのようなノスタルジックな印象を受けます。

このLakeというゲームをプレイして感じたことは、ゲームの中から伝わってくる日常生活をどうとらえているのかの違いです。日本では、特に東京や大阪などでは、満員電車に乗って勤務時刻通りに仕事を始めるという、非常にせわしないことをしているわけですが、それとは裏腹にオレゴンでは非常にゆっくりとした時間が流れていることがわかります。

別段、オレゴンに行ったことはありませんが、スクリーンの向こう側から映し出される光景は、まさにオレゴンのあり様でしょう。そこに住んでいたのか何なのかはわかりませんが、うそをつくように舞台設定をする人はいませんから。

となると、このゲームは非常に興味深い点が多いことがあります。

まずは、ゲームシステムそのものの問題でもあるのですが、選択式のゲームとなっています。それは選択式だからか、どちらが正解なのか迷うこともありますが、最終的には自身の判断がゲームの結末を大幅に変えることはありません。例えば、仕事終わりにだれかと一息つくとか、どこかに行くなどといったイベントが、人生にどれくらいあるのかを、このゲームをやると思い立たされるのです。

今考えてみれば、そういったことは非常に少ないように思えます。現に私は常々都会に通勤しているわけですが、このプロビデンスオークスのような生活は想像することすらできません。毎日宅配生活で、しかもそれは2週間だけ。主人公はもともと都会生まれで現在はオレゴンの故郷に一時帰ってきてるがその合間に、郵便配達員。なんとまぁ、意味の分からない組み合わせだ事。

なんでもいいですが、このようなゲームは極めて普通ではないのでしょう。そういったことを運営側も考えて作ったように思えます。いたって普通な感じの、普通というとなんだか自信のない感じになりますが、何度も言えば「普通ではない」んです。これが。

そんなゲームをどうとらえていいのか。これは非常に身に染みるタイトルです。

何を言いたのかがまとまっている感じはありませんが、コミュニティとのかかわり、仕事とのかかわり、そして人生観について俯瞰的に述べているゲームであると思います。ここで書いていると様なことは、解像度高くSteamのコメント欄にも列挙されていますが、実際に地震で遊んでから見るとハッとすることがあります。それは確かに事実で、しかし一方で認めたくないような気にもなるのです。

ある程度進めてから見ると、もう少しメレディスを反抗的な人間にしておけばよかったと思うことが多々ありました。こういった選択が気づかないうちにできることを知ることは、非常に面白くもあります。このゲームは様々な面白さを内在していると思いますが、最初に触って数分間遊んだだけだと、何がおもしろいのか全く分からないです。

郵便配達員?なにそれ?GTAのほうがおもしろいんじゃないの?

最初は割とこういった感想を抱きましたが、今となっては、絶妙な完成度だと思っています。そして、何度も言いましたが、これは無意識的かもしれませんがオレゴンのコミュニティ像を間接的に学べる場でもあります。実際にそこに住んだことがなくても、ガソリンスタンドの少女や、レンタルビデオショップの店員、そしてカナダに亡命する予定のキャンパー、都会の喧騒から逃げてきた森林に住んでいる作家、世話焼きの老人など、たしかに一見普通の人と、数年前までは思われていた人々が、よく見たら個性的だったといわんばかりに、ピックアップされており、そしてそこには確かに現代のスマホを通したコミュニケーションにはない、コミュニケーションが描かれていました。

これは古今東西通じることかもしれませんが、Lakeの完成度は高いとも言えず、実は低くもないというところです。

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