【インフレ懸念】金投資のリターンはインフレをカバーできるのか?
ここ最近で噂されていることの一つにインフレの加速があります。また、日本円が暴落するとか、いろいろな風説が流布していますが、それらが起きるかどうかはいったん置いといて、貯金をそのまま継続することが本当に善かどうかを考えていきます。
いまだに言われている貯金 or 投資論争は、もはやキノコタケノコ論争なみにマンネリ化している気がしますが、どちらがいいのかは投資が優勢に思えます。しかし最近の米国金融不安問題や、過去のITバブルを見た時の株安不安などから、本当に投資っていいのか?と思うことも少なくないのではないでしょうか。
お金自体の値段は月日によって異なる
まず、お金自体の値段について考えたいと思います。お金の値段といわれると、少し意味不明かもしれません。お金ってそれ自体が値段を表しているのでは?というようにです。
確かにお金には値段がありますが、「今日のお金の値段」と改めて表現し、今日のお金の値段、明日のお金の値段、昨日のお金の値段というように1日ごとにお金の値段を別々に考えたとします。その時、お金の1年前の値段は、今でいういくらだ、という風に過去のお金の値段を現在の値段に換算することができます。
お金の値段は通貨ごとに異なることは為替取引でわかりますが、同時に同じ通貨でも時間をさかのぼることでその時代の1円が、今の何円なのかという視点を持つこともできます。
ではなぜ、お金は時間をさかのぼると値段が変わってしまうといえるのでしょうか。それは、一つに物価上昇(インフレ)や政局(戦争や体制の変化)によって変わってしまいます。
お金の価値はとあるときにとんでもなく変動することが知られています。それは戦争です。上記のサイトに行けば分かりますが、日本の企業物価指数の年平均値は、1901年では0.469でした。これが2001年では658と、実に1000倍以上になっています。これは端的に日本円の価値が物価上昇によって1000倍希釈されたことを意味していますが、特に顕著に下がった時期があります。
それが第二次世界大戦が終わった1945年の時です。見ればわかりますが、戦中であれば2.3くらいだった企業物価指数は、戦後1950年ごろには一気に100倍以上になっています。
この大変化は突然起き、それは貨幣価値を完全に変えてしまうほどのインパクトがあります。これをみると、今の100万円をただ貯金していても徐々に価値が下がっていくということが分かると思います。
確かにお金はインフレが不可逆に続いている現代社会において、ただ貯金していても減ってしまうということはわかります、しかし、投資するといってもその投資対象が、上記でいう1000倍ほどのお金の価値下落に対応できるほど上昇しているのか?ということも気になるのではないでしょうか?
例えばとある投資対象が、100年というスパンで1000倍の上昇を見せていれば、お金をその投資対象に入れておけば損益はプラマイゼロという風に考えられます。しかし、そういった投資対象がなかなか見当たらないのは当然で、暗号資産銘柄や個別株じゃない、ごくごく一般的な商品(例としてここではゴールドを挙げます)ではないのか思ったりします。
もちろん上記にまとめたようなことは、思考実験の1つであり、1900年の1ドルで買えたカップラーメンが2000年に全く同じ状態で売っていることはない(というか確かめようがない)ので、比較するのは難しくはあります。
コモディティ(ゴールド)の値段の推移
上記のことを踏まえて金に仮に投資していた時の利益率を考えていきます。金の価格は、知られているように100年前までは今のような変動価格ではありませんでした。当時はまだ金本位制が主流であり、ブレトンウッズ体制、ニクソンショック以降の現在とでは、金価格の推移、という考え方自体疑問が生まれるものです。
1900年の1ドルの値段は?
一方でドルのほうはどうでしょう。図1では、金価格対ドルチャート120年分を示しましたが、ドルの累積価格変動率は1915年から現在まで3000%ほどとなっています。
すると、驚くことに金価格の上昇率が9000%なのに対し、ドルのインフレによる価格変動を考慮した変化率は3000%と、金のほうがドルよりもリターンを得られていることに気づきます。
金チャートは対ドル指標なので、金はインフレに対してドルよりも価値をセーブできるどころか稼げてしまうことが分かりました。
そう考えると、貯金か投資、どっちがいいのかなどは一瞬でわかるのではないでしょうか。少しでも自分のポートフォリオをいろいろな資産で構成しておくことが重要だというのは100年前からのデータを見ても明らかなようです。