世界任務「仙人遊荘」の少女の正体について
【R6.3.17 翻訳修正により全体的に改訂】
元々は、記事を公開した当初のツイートにもあるように、クエストの最後に見られた翻訳問題への言及が主旨であったが、(恐らくVer4.5のアプデにて)その修正が確認されたため、全体的に文章を調整した。
任務のあらすじ
まず、簡易的にあらすじを述べる。ゲーム内時間で夜になると、以下の場所に筏に乗った少女シャンジュン(原文:香莙)が現れる。この原文の表記を頭の片隅に置いておいて欲しい。
少女の話を要約すると、「自分には薬草採りのおじいちゃんがいる。先日仙草を採って帰ってきたのだが、その仙草は懸練山の近くにある仙水を与えないと育たないらしい。それで仙水を取りに行ったのだが、それ以降おじいちゃんが帰ってこない。」という。
そこで、旅人とパイモンは例の如く人探しパシリを引き受け、少女は自分の家があるという翹英荘に先に帰って待ってると言い、別れた。
おじいちゃんの行方を追っていくと、懸練山に向かう途中で、本人が書き残した手帳をいくつか見つける。手帳には、最終的に魔物に襲われたことを仄めかす内容を残して、消息が絶えている。旅人らはそのまま懸練山に着くも、おじいちゃんを見つけることはできず、仕方なく仙水を汲んで翹英荘へ帰る。
そこで羅おじの話を聞くのだが、どうも奇妙なことがいくつか判明する。
・彼は村人の名前を全て覚えているらしいが、シャンジュンという名前は聞いたことがない。(=そんな村人は存在しない)
・薬草採りの老人は村にいたにはいたが、3年前に魔物に襲われたことで亡くなっている。
・その老人は所帯を持っていなかったから、子や孫なんかがいるはずない。
・その老人は、懸練山の近くで仙水の入った瓶を握り締めた状態で発見された。その際、老人は「家の庭に仙草があって、その仙水をやらなければ生きていけない」と言っていた。(恐らくその後、魔物による傷が原因で亡くなる)
そして、羅おじに老人の旧宅へ案内してもらい、庭に汲んできた仙水を撒いて供養した。シャンジュンとは結局あれ以来会わないまま、世界任務は終わる。
『草堂拾遺』の出現
なんとも消化不良のまま終わったなと感じるが、実はこれで終わりではなく、ゲーム内時間を進めると、仙水を撒いたところに青い花が咲く。恐らくこれがおじいちゃんの採ってきた「仙草」なのだろう。
そして、「調べる」を押すと星4聖遺物が落ちる。
来歆の余響の花「魂香の花」だが、この世界任務を終えることで得られるアチーブメントの説明文「魂香花の秘密を知る。」と合致する。
もしかしたら、聖遺物ストーリー冒頭にある「魂香の花」は、庭に咲いた花と同種かもしれない。
それはさておき、更に重要なのは、その裏に書物『草堂拾遺』が出現することだ。
これを読むと、難解な文章が出てくる。
こういう古書風の創作物を読む時のコツは、古典風味を出すための装飾部分と重要部分とを分けることである。ここでの重要部分は、中ほどにある「筏には〜香莙である。」の部分である。冒頭で頭に入れてもらった原文表記がここで姿を表す。
(修正前は、この「香莙である。」の部分は、「香り高い水草である。」という訳になっていた。「莙」は水草の一種を指す字である。要するに、固有名詞を直訳してしまっていたのである。そのため、日本語版においてはシャンジュンに結び付けることができなくなっていた。)
まとめると、「筏の上に香莙という草が生えていた」という内容であり、これは以下に述べることを示唆している。
少女の正体
要するに、あの少女は恐らく、3年前にいた薬草採りの翁が採ってきた仙草が精霊となって表れた姿であり、自分のために命懸けで仙水を取りにいってくれた翁をおじいちゃんと見なし、行方を探していた、ということだろう。自分の家が翹英荘にあると言っていたのも、おじいちゃんが翹英荘にある自宅の庭に仙草を植えていたのだから、そこが自分にとっての帰る場所、というわけである。
スクショを撮り忘れてしまったが、シャンジュンの頭には青い花飾りがあり、その見た目は庭に咲いた花と瓜二つである。これもシャンジュンが仙草の精霊であることの示唆だとすれば、仙草=魂香花であり、魂香花の精霊(化身)がシャンジュンと解釈するのが一番合理的かと思われる。
かつて世話をしようとした仙草が、自身の死後に少女姿の精霊となって現れ、自分を探し続けていたという怪異譚的世界任務であり、『聊斎志異』を彷彿とさせる。
おじいちゃんは帰らぬ人となってしまったが、旅人がその遺志を継いだことで、シャンジュンは最後に美しい花を咲かすことができた。一応はハッピーエンドと言えるだろう。
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