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【大分】地震の対策してた? 学生半数「対策なし」

 私たちは、ごくふつうの日常の中で突然訪れる地震災害にどう立ち向かうべきか。1月22日未明に発生した日向灘を震源とする最大震度5強の地震を受け、会員制交流サイト(SNS)を通してウェブアンケートを実施したところ、全回答者のうち半数が「22日の地震発生前に、地震対策をしていなかった」と回答した。この傾向は10〜20代の学生にも共通した。

 「GENSAI PRESS 1号」と同様のアンケート内で、地震による被害の有無や事前の地震対策について問うた。回答者は54人だった。

 「あなた、またはあなたの周辺で人的被害は発生したか」という質問に対し、大分県大分市在住の1人が「被害あり」と回答した。一方、「あなた、またはあなたの周辺で物的被害は発生したか」という質問に対しては、全回答者の4分の1にあたる14人が「被害あり」と回答した。この14人はすべて大分市内で被災しており、震度5強の揺れの強さが影響したと言える。また、全員が10代、または20代であることから、若者の災害時における脆弱性が推察される。

 佐伯市蒲江西野浦では、屋根瓦に多くの被害が出たため、応急処置のブルーシートが目立つ。佐伯市でも最大震度5強を観測した。

屋根瓦の応急措置のブルーシートが目立つ佐伯市蒲江西野浦地区=1月31日

■10代〜20代の地震対策、半数が怠る

 事前の地震対策について、「対策しておいてよかったことは何か」という質問に対し、46・3%(25人)が家具の固定など、なんらかの対策をしていたと回答した。逆に言えば、半数以上の回答者が事前の地震対策を怠っていたと言える。10代〜20代の学生に対象を絞ってもこの傾向は共通しており、約5割が対策していなかった。特にこの年代は一人暮らしをしている場合が多い。1995年の阪神・淡路大震災では大学生の死者も多かったという。支援の手が届きにくい年代・居住形態の人々に対してどのような対策を講じるべきか、まずは自分でできる対策から実施してほしい。【山口泰輝】

調査結果をもとに筆者作成

■自然のリスクと恩恵

 M9・0で最大震度7を観測し、2万人近くの死者・行方不明者を出した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から来月11日で11年となる。警視庁のデータによると、死者の90・6%が溺死であった。つまり、死者の約9割が津波によるものと言える。津波は沿岸部を襲う自然現象であるため、内陸に居住すれば被害を減らすことができる。しかし、被災後もリスクの高い沿岸部に住み続ける人もいる。なぜか。

 それは自然の恩恵を受けるためだろう。兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科教授の森永速男氏は「津波には生物の生息環境をリセットする効果がある」と言う。東日本大震災の被災者は「津波によって海底がかき混ぜられ、海が栄養豊かになった。そのため、海の幸が震災前より太り、おいしくなった」と話したらしい。

 このように多くの命や大切なモノを奪う津波だが、津波が発生する海は、人々に多くの恩恵をもたらすものである。震災後もリスクの高い場所に住み続けるのは、自然に対する畏敬の念を抱き、恩恵を受け続けるためなのだろう。

 ある人は自然を「家族みたいなもの」と言った。時には怒り、荒れ狂うこともあるけれど、共に助け合いながら生きていく存在。共存の道を探っていくべきだと思う。

※この記事は、2月22日 発行の「GENSAI PRESS 2号」に掲載されています。以下の紙面は、ダウンロードできます。

GENSAI PRESS 2号

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