「宇宙ビジネス」は世の中に浸透してきたか? : 日本における認知・関心について
この記事は
はじめに
毎月宇宙ビジネスに関する記事を投稿する本シリーズですが、そもそも「宇宙ビジネス」という単語について考えてみようというのが今回のテーマ。
言葉の定義を語るよりは、このカテゴリが日本国内でどう浸透してきたかという視点でみていきます。
今回はサクッと読めるお手軽記事となっております(手抜きではない…)。
それではどうぞ。
いつから語られるように?
まずは国内でいつから語られているかを調べてみます。
日本で最も使われている交流型のSNSは X(旧 Twitter)ですので、宇宙ビジネスを含む投稿から検索で遡れる最古のものを探してみました。
それが下記の画像です。
これをみると、一番古い投稿は 2008年5月15日。有望な宇宙ビジネスについて語りたい方のようです。
同じ月の別の投稿によると、WBS → おそらくテレビ東京のニュース番組 ワールドビジネスサテライト で宇宙ビジネス特集がされていたとのことです。(当時の)Twitterでの投稿数は限定的ながら(投稿数の少なさは当時の日本のユーザー数に起因するものと思います)、東京のテレビ局がニュースにするくらいにはもう一般的になっていたことがわかります。
認知は広がっているか?
次に、Googleトレンド で調べてみました。
Google検索の傾向から、その言葉が調べられてきたボリュームを時系列でみれるもので、検索数を「人々の認知・関心を示す指数」としてみることにします。
なお、Googleの方が Twitter よりも日本でのサービスイン・利用拡大は早かったのでもっと過去に遡れることも期待できます。
その結果が下記の画像です。
この画像から3つのことがわかります。
2005年に認知・関心拡大の”第一波”があった
2010-2011年ごろに”第二波”があった
”第二波”が落ち着いてから現在までじわじわと認知・関心が拡大
1番の”第一波”の原因は明確です。
民間宇宙旅行サービスについて日本の旅行会社が取り扱いを始めたのがこの2005年でした。宇宙ビジネス時代の到来の象徴的なニュースとして当時騒がれたことでしょう。
2番の”第二波”は(おそらくですが)海外起因だと思います。
2010年6月に SpaceXのFalcon 9が初めて打上げ成功しました。宇宙ビジネスの先頭を切り開いてきたSpaceXの現在の主力ロケットですので、日本国内でも宇宙ビジネス本格化の象徴としてとりげられたのではないでしょうか。
3番の現在に至るまでじわじわ認知が増えている傾向は体感と一致します。
2010年代から、国内の宇宙スタートアップの数も増え活動も活発になり、政府も民間市場の後押しに舵を切り始めました。それに伴い関連ニュースのメディアでの取り上げも増加してきています。
国内の宇宙ビジネスの盛り上がりが、この認知・関心の高まりとしっかり連動できていることが確認できて安心しました。
これからどうなるか?
今後についても簡単に予測してみます。
まず、宇宙ビジネスを含む”宇宙を取り巻く経済圏”は今後も成長していくことは間違いないでしょう。
※参考:下記の記事でも世界経済フォーラムのレポートを紹介しています
あえて”宇宙を取り巻く経済圏”と書いたのは、手段として宇宙を使ったとしても影響が及ぶ範囲が既存の宇宙業界に留まらないものも含めているからです。
SpaceXの低軌道通信衛星コンステレーション・Starlinkがいい例で、衛星通信だからできるソリューションですが通信業界全体をひっくり返すインパクトをもっています。
また、Twitterでも下記の通り共有していましたが、宇宙業界に投資を呼び込むには宇宙の話にこだわらず「提供する価値」自体をアピールしようという論調の記事も出てきています。
何が言いたいかというと、宇宙業界が伸びていくことは確実ですが、宇宙ビジネスだと認知されない形で広まっていくことも増えていくと考えており、地上と宇宙の区別自体に意味がなくなる、そんな近未来がくるのではないかと私は考えています。
まとめ
(本記事執筆時点の)20年も前から宇宙ビジネスは語られてきことがわかりました。市場自体の成長に伴って、人々の認知・関心もじわじわと広がっています。
Starlink以外にも、宇宙業界の枠を超えて価値を提供するサービス・アプリケーションが増えてさらなる市場拡大を期待しつつも、宇宙を使ったものであることを意識する必要のないサービスが増加してくると考えています。
つまり「宇宙ビジネス」というカテゴライズ自体が古くなる未来がいずれ訪れるでしょう。
今月は以上です。
Written by Genryo Kanno : https://genryo.space/
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