得より徳、徳から得
説明せずとも、言わんとするところは感じ取れるかと思います。
私たちは日々、様々な選択を迫られます。
そのとき、どのような基準で判断するでしょうか?
自分の利益や欲望を優先するのか、それとも他人や社会のためになることを選ぶのか。
この二つの価値観は、それぞれ「得」と「徳」と呼ばれます。
どうしても我々庶民は「得」ばかりに目がいき、
「徳」ということを忘れてしまいがちです。
「得する」ことが全面的に悪いとは思いませんが、
順番や優先順位としては後回しで、
まずは「徳」を追求してからの「得」です。
「得」とは、自分にとって有利なことや得することを意味します。
例えば、安く買い物をする、効率的に仕事をする、人に気に入られるようにする、などが「得」にあたります。
「得」を重視する人は、自分の利益を最大化することを目的とし、
コストやリスクを最小化することを戦略とします。その結果、自分は幸せになると考えます。
「徳」とは、道徳や倫理に基づいて正しいことや善いことをすることを意味します。
例えば、正直に生きる、公平に扱う、親切にする、などが「徳」にあたります。
「徳」を重視する人は、自分の良心や信念に従って行動することを目的とし、
正義や責任を果たすことを戦略とします。その結果、自分は尊敬されると考えます。
では、私たちは「得」と「徳」のどちらを選ぶべきでしょうか?
答えは、一概には言えません。
しかし、私は「得」よりも「徳」を選ぶことが、長期的に見てより良い結果をもたらすと考えます。
その理由は、以下の通りです。
「得」は、短期的な利益や快楽を追求することで、長期的な損失や苦痛を招く可能性があります。例えば、不正や嘘をして得をすることは、信用や評判を失うことにつながります。また、欲望に溺れて得をすることは、健康や人間関係を損なうことにつながります。一方、「徳」は、短期的な損失や苦痛を我慢することで、長期的な利益や幸福を得る可能性があります。例えば、正直や公平にして徳をすることは、信頼や尊敬を得ることにつながります。また、自制や節度を持って徳をすることは、健康や人間関係を保つことにつながります。
「得」は、自分の利益を優先することで、他人や社会の利益を無視することになります。例えば、安く買い物をすることは、環境や労働者の権利を脅かすことになります。また、効率的に仕事をすることは、品質や安全性を犠牲にすることになります。一方、「徳」は、他人や社会の利益を考慮することで、自分の利益も高めることになります。例えば、環境や労働者の権利を尊重することは、自分の生活の質も向上させます。また、品質や安全性を重視することは、自分の仕事の価値も高めます。
「得」は、自分の幸せを外部の要因に依存することで、不安や不満を生むことになります。例えば、人に気に入られるようにすることは、自分の本当の気持ちや意見を隠すことになります。また、自分の得を他人と比較することは、嫉妬や劣等感を抱くことになります。一方、「徳」は、自分の幸せを内部の要因に基づくことで、安心や満足を感じることになります。例えば、自分の本当の気持ちや意見を表現することは、自分の個性や価値を認めることになります。また、自分の徳を自分と比較することは、成長や向上を実感することになります。
以上のように、「得」よりも「徳」を選ぶことが、自分だけでなく他人や社会にとっても、より良い選択であると私は考えます。
もちろん、現実には「得」と「徳」の間にはトレードオフが存在し、常に「徳」を選ぶことができるとは限りません。しかし、私たちは少なくとも、「得」を追求することによって「徳」を損なわないように注意することができます。そして、「徳」を実践することによって「得」を増やすことができます。そのためには、「得」よりも「徳」を!という心構えが必要です。私たちはその心構えを持って、日々の選択をしていきましょう。
どんな商品や製品を買うにしても、
ただ、自分だけが「得」をして「利」を得るのではなく、
売り手も買い手もWin-Winで、
お互いの成長・発展につながるような関係、
そういった買い物が難しくなってきている昨今ですが、
今一度、「モノを買う」という行為も見つめ直し、
なんとなく過ごす日々、味気ない暮らしの中に、
ちょっとしたスパイスを加えてみてはいかがでしょうか。