東京大学大学院入試を終えて

初めまして、げのむです。私の今夏最大の思い出は大学院入試の勉強でした。夏はひたすら物理の典型問題の演習に時間を注ぎ、無事に合格しました。来春から、千葉県の柏にある東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻に進学します。大学院への進学を検討し始めた3年の12月から、合格通知を受けるまでの経緯を文章に残したいと思います。大学院の外部進学を検討している方にとって、一つの参考例となれば幸いです。

進路の決定と初期の準備

3年12月、東京大学への進学を決意しました。最後まで自分の大学の情報系の研究室に行くかどうか迷いましたが、東京大学柏の葉キャンパスにある強磁場施設や光電子分光装置に憧れがあり、博士課程進学も検討していたため、東京大学への進学を決めました。また、地元(関東出身です)に戻って父の世話をする必要があり、車なしでの田舎暮らしに疲れていたことも東京大学への進学を選んだ理由です。

勉強のスタートと多忙な日々

3年2月、大学の期末試験が終わり、大学院試験に向けて勉強を始めることを決意しました。しかし、勉強が思うように進まないことに悩んでいました。同時にインターンに月120時間費やしたり、時間分解分光装置のマシンタイムを1週間使って実験を行ったり、物理系の若手の会で研究発表のためにスライドを作成したりと、多くの仕事を抱えていました。院試の勉強も隙間時間を使ってTOEIC対策をする程度に過ぎず、専門科目にまで取り組むことができませんでした。しかし、TOEICの点数はあまり上がりませんでした。2月に受けた際の点数は約580点で、合格には程遠い数字でした。

TOEIC対策とその効果

このままではまずいと考え、4年の4月にはインターンの時間を月120時間から月40時間に減らし、前期の卒業研究に時間を割り振りました。前期の卒業研究はポスター一枚程度にとどめ、後期から本格的に取り組む予定でした。その結果、4月前半をTOEICの過去問演習に充て、点数を大幅に向上させることができました。ただし、730点という高得点ではありませんでしたが、東京大学の併願で受験する旧帝国大学の合格には十分であると判断しました。私の受験する専攻では英語の点数はTOEFL iBTのスコアから算出されるため、TOEICの勉強を続ける必要はありませんでした。TOEIC受験後の2週間は、実験室のマシンと対峙し、かなりの実験データを得ました。

TOEFL対策と苦労

TOEFLの勉強を開始したのは4年5月で、この勉強が非常に難しいと感じました。これまで習ったことのない英単語が長文中に頻出し、リスニングでは設問を読む前に3-5分の音声を理解しなければならないなど、これまでのセンター試験やTOEICとは難易度が大きく異なるため、対策に苦労しました。2ヶ月間勉強しましたが、最後まで完璧な対策ができたとは言えませんでした。6月と7月に試験を受けましたが、スコアを大幅に向上させることはできませんでした。物質系専攻の合格には足りてましたが、第一志望の研究室に受かるためには大幅にスコアを伸ばす必要がありました。

専門科目の勉強

話は6月に戻ります。専門科目の勉強を本格的に始めましたが、一般的にはかなり遅いスタートでした。TOEICやTOEFLの勉強に時間を取られ、なかなか専門科目に手をつける余裕がありませんでした。それまでに東大と阪大の過去問を数年分解いた結果、大問によっては全く解けないこともあり、また計算ミスを犯して得点を台無しにしてしまうこともありました。自分は基礎学力が不足していると感じ、特に苦手だった電磁気学と統計力学のマセマの本を6月前半までに読み終え、「演習しよう大学院入試問題」という問題集を購入し、出題される典型的な問題だけに取り組むことにしました。

そして7月。TOEFLのスコア向上を断念し、専門科目である物理の実力向上に集中しました。自分にとって「ギアの上げ時」だと判断し、東大の過去問21年分と阪大の過去問7年分をそれぞれ3周と2周することを決意し、毎日のスケジュールを設定しました。このスケジュールに従い、過去問演習、解答合わせ、復習を繰り返しました。この量の過去問演習を行うことで、多くのことが理解できました。先にも述べたように、院試の出題パターンは限られているということです。特に、量子力学や統計力学などは似たような問題パターンが繰り返し出題されました。同じ井戸型ポテンシャルや調和振動子の問題を何度も解いた経験があります。これからも同様の問題が出る可能性が高いため、過去問を繰り返し解くことの効果を実感できました。過去問を10年以上解いてみると、以前に解いた問題とほぼ同じ問題に出くわすことも増えてきました。このような問題が高得点の源となりました。毎年1〜2問は、以前に見たような高得点の問題が出題されました。自分の戦略が正しかったことを確信し、合格への期待感が高まりました。

一次試験と面接

そして、8月22日。一次試験の本番です。本試験では問題が10題程度出題され、その中から3題を選択する形式でした。過去問演習から、必ず過去問に似た問題が出ると確信し、過去問と似たタイプの問題を選ぶことを決めていました。幸運にも、本番では過去問に似た問題が3題も出題されたため、スムーズに解くことができました。全ての問題を解き切り、(いくつか誤答があるかもしれませんが)合格を確信しました。そして、8月29日。二次試験。一次試験を突破し、面接に臨みました。面接も問題なく応答し、二次試験を終えた数時間後に、東京大学から内定のメールを受け取り、無事に合格しました。

まとめとアドバイス

思えば、受験生活はあっという間でした。以前の大学受験とは異なり、周りの人の多くは、進路や進学先を先に決め、夏休みを楽しんでいました。以前であれば、その状況を見て、嫉妬や反感を感じることがあったかもしれませんが、自分は自分、他人は他人と割り切り、物理の問題を楽しむことに専念しました。順調に得点率が上がっていくのを実感し、ますます院試の勉強に没頭しました。自分と他人を比べず、自分のペースで進むことができる精神的成長が、合格への大きな要因であったと思います。

合格のカギは勉強量だけではありません。周りの人々の支えがなければ、私の道のりはもっと困難であったかもしれません。過去問の解答作成に協力してくれた友人、情報を共有し合う友人、リフレッシュのための飲み会やBBQに付き合ってくれた友人(おかげで勉強にリフレッシュする時間が持てました)など、周囲の人々の支えがあったからこそ、高いパフォーマンスを発揮することができました。

今後院試の勉強を考えている方にアドバイスするならば、必要な勉強量を確保するだけでなく、友人とのつながりを大切にしてください。友人はあなたの実力を発揮する鍵となります。自己成長と共に、周りの人々との連帯感も大切にし、成功への道を進んでください。

大学院入試は大変なプロセスかもしれませんが、適切な計画と努力を続けることで、目標を達成することができます。頑張ってください!



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