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読書感想と本について

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小説の感想と本についてのお話。
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#文学

第20回読書会報告書

第20回読書会報告書

 冬の寒さが少し和らいだかのような陽気、大きな窓から陽光が差し込み、当日の天候は冬の行楽日和といえる日でした。会場となる室内は暖房のスイッチを入れることなくぽかぽかとしていて、まさに談話室ならぬ、暖和室。
 2025年1月19日(日)、記念すべき第20回目の読書会は、冬の時期にぴったりの 川端康成「雪国」です。

 少人数参加でしたが、その分たっぷりお話しできてよかったです。
 冒頭の『国境の長い

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第19回読書会報告書

第19回読書会報告書

 11月4日(月祝)、第19回いわぬま読書会が開催されました。
 清々しい秋晴れに恵まれ、すじ雲が青空に広がり、近場の方は、歩いて会場まで来られた人もいました。風がほどよく吹いているので、日和に誘われてお出かけしたくなります。また読書の秋にぴったりの気持ちのいい季節です。東北の秋はほんとうに短いので、この時季が長ければいいのになぁといつも思います。
 本日の課題本は「82年生まれ、キム・ジヨン」チ

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第18回読書会報告書

第18回読書会報告書

 9月15日(日)15:00から第18回いわぬま読書会が開催されました。
 本日はあいにくの雨天、傘をさしても所々にできた水溜りのせいで、歩くたび路上に跳ね返った雨粒がズボンの裾を濡らしました。そんな中、ご参加いただき誠にありがとうございました。第18回目の課題本は 樋口一葉「たけくらべ」 です。現代語訳を想定しておりましたが、原文そのままの「たけくらべ」をお持ちになる方もいました。私も2冊持って

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『父親の死体を棄てにいく』感想 カクヨム企画 番外編

『父親の死体を棄てにいく』感想 カクヨム企画 番外編

黒田八束さんによる、カクヨム企画 『 父親の死体を棄てにいく 』で寄せられた8作品の感想です。Xでやると長文になってしまうため、noteにまとめて記載させていただきました。企画内容↓

以下感想は開催中の参加順。

① 雪の晩鐘 -下村アンダーソンさんその人の境遇や生活環境、価値観や嗜好など、互いに違うことを明確にするキーとして『音楽』はとても最適かもしれない。他者と出会い、こういう生き方もあり得

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第17回読書会報告書

第17回読書会報告書

7月21日(日)、第17回読書会が開催されました。
課題本 サン=テグジュペリ「星の王子さま」

 7月21日(日)の午後、連日の猛暑続き、べとつく湿気、アスファルトの陽炎、ゆがむ視界、なにもかも暑さにヤラれるこの時期、集中力も散漫になりがちです。そんなときはやはり、冷房の効いた室内でゆっくり読書するのがいいですね。本日は暑い中、読書会に足を運んでくださりありがとうございました。
 課題本は、大人

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「海岸通り」 坂崎かおる 感想

「海岸通り」 坂崎かおる 感想

〈 あらすじ 〉

※本文に触れているためネタバレにはご注意下さい。

 「海岸通り」坂崎かおる

 第171回芥川賞候補作。
 とてもよかった…また好みの作家さんに出会えた。

 海辺の老人ホームで派遣清掃員として働くクズミはウガンダからきた新人のマリアに仕事を教えることになる。
 同僚や施設の入居者達、在日外国人によるコミニティなど繊細な問題がある中で時にクスッとしてしまうようなクズミの比喩が

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第16回読書会報告書

第16回読書会報告書

 6月16日(日)18:00〜19:00まで、第16回いわぬま読書会が開催されました。課題本は、井伏鱒二【山椒魚】 です。

 宮城県は梅雨入り宣言もまだですが、この日は真夏日と言われるほどの暑さでした。各地で30℃以上を記録したところもあるそうです。風が吹けば、涼しく感じるのはまだマシな方なのでしょう。これがそのうち熱風になると思うと、今から夏対策は考えていかなければならないですね。
 この日の

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「愛と死」武者小路実篤 感想

「愛と死」武者小路実篤 感想

 
 「愛と死」 武者小路実篤

※ あらすじを含んでいるのでネタバレを気にする方はご注意ください

 ただただ想い合っている。こんなに気持ちいいものはない。ラストが悲恋であれ、これが人と人が真っ直ぐに想い合う美しい姿なんだなと思った。愛を形にするならばと問われれば、きっと私はこの小説が頭に思い浮かぶだろう。相思相愛とはこのことだ。

 先輩作家であり友人野々村の妹「夏子」との初めての出会いは、何

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ブックカバー

ブックカバー

 本を読む人の装いは様々です。
 表紙を装着したまま自然に読む人、表紙のカバーを外して裸身で読む人、書店でかけられた紙のブックカバーをラフに使う人、愛用のブックカバーをつけて着飾って読む人など、紙の本を好む人にはいろんなスタイルの人がいますね。
 どこで読むかによっても違いがあるかもしれません。家で、職場で、カフェで、公園で。
 落ち着く場所、捗る場所もひとそれぞれです。
 みんな等しく本好きなの

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