【M&A】LBOとは?MBOとの違いは?レバレッジドバイアウトを分かりやすく徹底解説
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LBOとは?
LBO(Leveraged Buyout)とは、買収対象の企業(ターゲット企業)の資産や将来のキャッシュフローを担保に、借入金(レバレッジ)を利用して買収を行う手法を指します。日本語では「レバレッジド・バイアウト」と訳されます。
キャッシュフローが安定している企業が対象となりやすく、借入金の返済は買収後の事業収益や資産売却によって行われます。
一方で、借入金による財務負担が大きく、経営状況の悪化や収益の低下が発生すると、返済が困難になるリスクがあります。適切な企業選定や計画的な経営戦略が求められる手法です。LBOは高いリスクとリターンを兼ね備えた買収方法として、特にプライベートエクイティファンドで活用されています。
LBOのメリット
少ない自己資金で大規模な買収が可能。
買収対象企業のキャッシュフローを活用できる。
企業価値を向上させ、大きなリターンを得られる可能性がある。
非効率な資産や事業を整理することで収益性を改善できる。
経営改善により、IPOや再売却での利益が期待できる。
順番に見ていきましょう。
メリット①:少ない自己資金で大規模な買収が可能
LBO(レバレッジド・バイアウト)の大きな魅力は、自己資金を最小限に抑えながら、大規模な買収が実現できる点です。買収資金の多くを金融機関からの借入金で調達するため、自己資金に制約のある投資家や企業でも、大規模な買収案件に参加することが可能となります。
たとえば、自己資金が全体の20%でも、残りの80%を借入で補うことで、100%の買収資金を確保できます。この仕組みによって、効率的に資金を活用し、より多くの案件に参入できる柔軟性が生まれるのです。
特にプライベートエクイティ(PE)ファンドでは、この特徴を活かして多数の買収案件を手がけています。少ない資本で複数の企業を取得し、それぞれの企業価値を向上させることで、全体的な投資リターンを最大化することが可能です。
また、LBOでは買収対象企業の資産を担保として利用するため、買収時の資金調達が容易になる場合があります。これは、金融機関が対象企業のキャッシュフローや資産価値を重視するためです。結果として、従来の買収手法と比べて、自己資金に対するリターン(ROE)が高まるのが特徴です。
メリット②:買収対象企業のキャッシュフローを活用できる
LBOでは、買収後に対象企業のキャッシュフローを返済に活用できる仕組みが最大の特徴の一つです。これにより、買収時の借入金返済を効率的に行うことが可能になります。
買収後の企業が生み出す利益やキャッシュフローを、金融機関からの借入金返済に充てるため、外部資金に依存せずに運営を進められます。この仕組みによって、収益性が高い企業ほどLBOが成功しやすくなります。
たとえば、安定した収益を持つ製造業や消費財業界の企業は、一定のキャッシュフローが期待できるため、LBOの対象として選ばれることが多いです。さらに、キャッシュフローを活用することで、自己資金や追加投資の負担を最小限に抑えられる点もメリットと言えます。
メリット③:企業価値を向上させ、大きなリターンを得られる可能性がある
LBOは、経営改善を通じて買収対象企業の価値を向上させることを目的としています。企業価値が向上すれば、売却時やIPO時に大きなリターンを得られる可能性が高まります。
買収後は、事業効率化やコスト削減、新規市場への展開といった施策を実施します。これにより、収益性を向上させ、企業の価値を引き上げることが可能です。たとえば、買収時のEBITDA(税引前利益)の5倍だった企業が、経営改善により10倍に引き上げられたケースもあります。
メリット④:非効率な資産や事業を整理することで収益性を改善できる
LBOは、買収対象企業が抱える非効率な資産や事業を整理することで、収益性を大幅に改善する機会を提供します。これは、買収後のリストラクチャリング(事業再構築)を通じて達成されることが多いです。
具体的には、売上に貢献していない不採算事業の撤退や、過剰な資産の売却が行われます。たとえば、遊休不動産や不要な設備を売却することで、資金を確保し、借入金の返済や成長分野への再投資に充てることが可能です。このような資産整理により、経営効率を向上させ、持続的な成長を支える基盤を整えられます。
さらに、事業再構築は経費削減にも直結します。たとえば、重複する管理部門や人員の合理化を進めることで、固定費を削減できます。これにより、企業のキャッシュフローが改善し、財務基盤が強化されます。
メリット⑤:経営改善により、IPOや再売却での利益が期待できる
LBOの最終的なゴールは、買収対象企業の価値を高めた上で、IPO(新規株式公開)や再売却を通じて利益を確定することです。経営改善により、収益性や事業規模を拡大させることで、売却時のリターンを大幅に向上させることが可能です。
たとえば、LBOで買収された企業が、効率的な経営戦略や新規事業の展開を通じて収益性を向上させた場合、3~5年後に投資額の数倍で売却されるケースがあります。これはプライベートエクイティファンドがLBOを活用する主な理由の一つです。
また、経営改善を通じて魅力的な投資対象となることで、買収候補としての価値も高まります。たとえば、競合企業や戦略的パートナーからの関心を引き、高いプレミアム価格での再売却が実現する可能性もあります。
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LBOのデメリット
借入金返済が経営を圧迫する可能性がある。
キャッシュフローの低下時に財務リスクが高まる。
経営改善が計画通り進まない場合、損失が拡大する恐れがある。
金利上昇時に返済負担が増加するリスクがある。
対象企業の収益性や資産評価が不適切だと失敗につながる可能性がある。
順番に見ていきましょう。
デメリット①:借入金返済が経営を圧迫する可能性がある
LBO(レバレッジド・バイアウト)の最大の課題は、多額の借入金を活用することによる財務的な圧迫です。借入金の返済は、買収対象企業のキャッシュフローに依存するため、安定した収益が求められます。特に、買収直後の返済負担は大きく、経営資源が返済に集中してしまう場合があります。
たとえば、LBOで買収された企業の年間利益の多くが返済に充てられる状況では、新たな成長投資が難しくなることがあります。この結果、競争力が低下し、長期的な経営の安定性が損なわれるリスクが高まります。
デメリット②:キャッシュフローの低下時に財務リスクが高まる
LBOでは、買収後のキャッシュフローが返済資金の主な原資となります。そのため、対象企業のキャッシュフローが低下すると、財務リスクが一気に高まる特徴があります。これは、LBOが高いレバレッジを利用する性質上、避けられない課題です。
たとえば、業界全体の景気悪化や競争激化により、売上が減少すると、キャッシュフローの確保が難しくなります。これにより、借入金の返済が滞り、金融機関からの信用を失う可能性もあります。最悪の場合、デフォルト(債務不履行)に陥り、企業全体の経営に深刻な影響を与えることになります。
デメリット③:経営改善が計画通り進まない場合、損失が拡大する恐れがある
LBOは、買収後の経営改善による企業価値向上を前提として設計される手法です。しかし、計画通りに経営改善が進まない場合、大きな損失を被るリスクがあります。特に、改善計画が過大な期待に基づいている場合、このリスクが顕著になります。
たとえば、コスト削減や事業再構築が計画通りに実行できなかった場合、収益が向上せず、借入金の返済が困難になることがあります。また、新規市場への参入や新製品の展開が期待した結果を出せない場合、投資が回収できずに損失が拡大するケースもあります。
さらに、経営陣の能力や買収後の組織統合(PMI)が不十分であると、計画の実行が滞る可能性があります。
デメリット④:金利上昇時に返済負担が増加するリスクがある
LBOでは、多額の借入金が利用されるため、金利の変動が返済負担に大きく影響します。特に、変動金利で借入を行った場合、金利が上昇すると利息負担が増大し、返済計画が崩れるリスクがあります。
たとえば、金利が1%上昇した場合でも、多額の借入金を利用しているLBOでは、年間の返済額が数億円単位で増加することがあります。これは、企業の収益を圧迫し、他の経営資源への投資余力を奪う要因となります。
さらに、金利上昇が長期的に続く場合、借り換えの選択肢も限られ、財務的な柔軟性が低下する可能性もあります。このようなリスクを軽減するためには、固定金利の利用やリスクヘッジ手段を検討することが有効です。
デメリット⑤:対象企業の収益性や資産評価が不適切だと失敗につながる可能性がある
LBOでは、買収対象企業の収益性や資産の適切な評価が成功の鍵を握ります。しかし、これらの評価が誤っている場合、LBOの計画全体が崩れ、買収が失敗に終わる可能性があります。特に、収益性が低い企業を過大評価して買収した場合、返済能力を確保できず、財務破綻に陥るリスクが高まります。
たとえば、キャッシュフローが安定していると判断して買収した企業が、予期せぬ市場変動や経済環境の悪化により収益性を維持できなくなることがあります。この場合、買収後の返済計画が成立せず、経営全体に深刻な影響を与える可能性があります。
また、資産の適正な評価が行われていない場合、過剰な借入金の負担を抱えたり、資産売却による返済計画が不可能になったりするケースもあります。たとえば、不動産や設備などの資産価値が予想よりも低下していた場合、売却による返済資金が不足し、返済スケジュールが遅延する可能性があります。
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LBOのMBOの違い
LBO(Leveraged Buyout)とMBO(Management Buyout)は、企業買収の一種ですが、目的や主体が異なる点が特徴です。
LBO(レバレッジド・バイアウト)の内容まとめ
定義
企業買収において、買収対象企業の資産やキャッシュフローを担保に借入金を活用して資金調達を行う手法。
主体
買収を主導するのは、プライベートエクイティファンド(PEファンド)や外部の投資家が一般的。
目的
買収後に対象企業の価値を向上させ、最終的にIPOや再売却を通じて利益を得る。主に収益性が高い企業や資産価値の高い企業が対象。
資金調達
借入金が中心であり、少ない自己資金で大規模な買収を実現することを目的とする。
特徴
高いリスクとリターンを兼ね備え、対象企業の財務状況や収益性が重要な要素となる。
MBO(マネジメント・バイアウト)の内容まとめ
定義
対象企業の経営陣が主導して、企業の全株式または一部を買収する手法。
主体
主導するのは、既存の経営陣や幹部社員。
外部投資家(PEファンド)や金融機関が支援する場合もある。
目的
経営陣が独立して経営権を確保することを主な目的とする。株主や親会社から経営を分離して、柔軟な経営判断を可能にする。
資金調達
経営陣の自己資金を含む場合が多いが、LBOと同様に借入金を利用することもある。
特徴
経営権の維持や強化を目指すことが多く、買収後の運営方針が明確になっている。
LBOとMBOの違いまとめ
LBO(レバレッジド・バイアウト*は、外部投資家やプライベートエクイティファンドが主導し、買収対象企業の資産やキャッシュフローを担保に借入金を活用して行う買収手法です。目的は、企業価値を向上させた後に再売却やIPOを通じて利益を得ることにあります。
一方で、MBO(マネジメント・バイアウト)は、既存の経営陣が主導し、経営権を確保するために企業を買収する手法です。資金調達には自己資金と借入金が組み合わされ、柔軟な経営判断が可能となる点が特徴です。
LBOは外部からの投資が中心で、リターンを重視します。一方、MBOは経営権強化を目的とするため、経営陣の独立性が大きな利点となります。
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LBOとは?:まとめ
LBO(レバレッジド・バイアウト)は、企業買収の手法の一つで、買収対象企業の資産やキャッシュフローを担保に借入金を活用して資金を調達する特徴があります。少ない自己資金で大規模な買収を実現できる点が大きな魅力です。
この手法では、買収後に対象企業の収益や資産売却によるキャッシュフローを返済に充てるため、安定した収益基盤が重要になります。さらに、経営改善を通じて企業価値を向上させ、再売却やIPOで高いリターンを得ることが目的です。
リスクはあるものの、適切な計画と評価を行えば大きな成果を得られる方法と言えるでしょう。
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