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透析を行っている方の歯の治療編

 歯科治療で使用される薬のなかで、感染を予防するために使用する抗菌薬の多くは、腎臓から排泄されるんだ。
そのため、腎臓の機能が損なわれている透析患者さんでは、1回の服用量を減らすか、1日の服用回数を減らして使用しするようになっているんだね。

※抗菌薬と相互作用のある薬もあるから、現在服用している薬は市販薬も含めて、歯科医師に伝えるようにすることを約束してね。

また、抜歯などで使用する痛み止めの一部には、透析患者さんには使用できない薬があるから、透析患者であることをあらかじめ歯科医師に伝えよう!

1.抗真菌薬、抗菌薬
抗真菌薬は、透析患者でも減量を必要としない薬剤が多いよね。
一方、抗菌薬には、ペニシリン系、セフェム系、マクロライド系、ニューキノロン系などの経口薬で、腎臓で排泄する割合が多いものがあり、1回の服用量を減量するか服用回数を減らすかの変更が必要となるよね。

また、ニューキノロン系やテトラサイクリン系、セフェム系などの抗菌薬には、金属とキレート結合し効果が減弱する薬剤もある。
とくに透析患者の多くが服用しているリン吸着薬には、金属を含有するものや、市販薬にも金属を含む薬があるので注意が必要だよ。

2.消炎鎮痛薬
透析患者であってもできるだけ残腎機能を長く保たせることが必要だよね。したがって、残腎機能が失われるまではアミノフェノン製剤の使用が原則となるそうだね。
以前は、重篤な腎障害患者にはアセトアミノフェン製剤の使用も禁忌みたいだったけど、現在では慎重投与となり、使用することが可能となったとのこと。

そのほかのNSAIDsにおいては、重篤な腎障害のある患者では禁忌となっている。
※そのほかに注意したいこととして、歯科治療で極度の緊張状態になることによる高血圧症状や、水分制限などによる口腔内の乾燥、カルシウム拮抗薬などによる歯肉の肥厚などの副作用が挙がられるね。

☆透析患者が歯科治療を行うタイミング☆

原則として、透析日の歯科治療は避ける
歯科治療の多くは出血を伴う治療だよね。

透析は血液を体外に取り出して血液を浄化するにあたり、血液が凝固しないように抗凝固薬を使用するよね。
これにより、透析患者は出血傾向が亢進された状態になるので、歯科治療による出血を考慮して、歯科治療と透析日は同じ日には行なわないようにしましょう。

※一般的に使用される抗凝固薬であるヘパリンの半減期は約60分で、低分子ヘパリンは 2~4時間、ナファモスタットは約5~8分、アルガトロバンは30~40分。
それぞれの半減期は短いため、透析日を避ければ、歯科治療を行っ ても問題はないと考えられるよね。

※半減期:物質やその能力や機能、濃度などが半分になるまでに要する時間を指す

☆透析患者がう蝕(うしょく)や歯周病になりやすい理由☆

う蝕と歯周病は感染症なんです。
免疫力が低下し ている透析患者はとくに注意が必要なんだよね。

透析患者が歯周病に罹患しやすい理由として、免疫力が低下し、感染に対する抵抗性が低く、骨代謝にも異常を認めることが挙げられるんだ。

※糖尿病性腎症の場合、さらに糖尿病という危険因子が加わり、重度歯周病に進行する可能性があるんだね。

また、唾液分泌量が低下している透析患者は少なくない。

唾液の分泌量は1日に1 ~1.5Lで、唾液は口の中の自浄作用のほか、 唾液アミラーゼででん粉を加水分解して消化を助ける作用、リゾチームやラクトフェリンによる抗菌・免疫作用、上皮成長因子(epidermal growth factor;EGF)やアルブミンによる粘膜保護作用があります。さらに、う歯になりかけた歯の表面を修復する再石灰化作用、そして口腔内を中性(pH6.8~7.0)に保ち、歯のエナメ ル質が溶解してう歯になることを防ぐ緩衝作用などがある。


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