中国古典 後漢時代 「石門頌」 隷書
石門頌は、後漢148年に褒斜道(ほうやどう)の石門壁に刻された隷書の摩崖碑です。「司隷校尉楊孟文石門頌」とも呼ばれます。
石門頌は褒斜道の南端に位置する「石門」というトンネル内の壁に刻されていました。しかし、後にこの地にダムが建設されたため、石門頌など著名な石刻は崖壁から切り取られ、現在は漢中市博物館に展示されています。
碑の内容は、地方の高官であった楊盂文の褒斜道修理の功績を讃えた銘文です。
石門頌は後漢時代の名作と言われ、素朴で古雅な美しさがあると評されています。線は伸びやかなで深みがあり、広がりと力強さに富んでいる素晴らしい文字です。見事な隷書でありながら、極端な右払い(波磔)がなく、篆書の用筆法で中鋒を用いています。線の太さは一定で、強弱や太細の差はなく、横線は伸びやかで力みがありません。
【訓読】
惟れ 坤霊 位を定め、躬を股かつ。沢は注ぐ所有り、川は通ずる所有り。斜谷の川、其の沢は南に隆く、八方の達する所、益域 充と為る。高祖は命を受け、漢中に興る。道は子午に由り、散を出でて秦に入り、建てて帝位を定め、漢を以て氏とす。※この作品(臨書)と資料は、2021ー2022に行った臨書展で使用したものです。
・玄妙個展2021「古典漫遊〜文字の変遷をたどる〜中国編」
・玄妙個展2022「古典漫遊 中国書法から日本の書まで文字の変遷をたどる」
・玄妙個展2023「古典漫遊 中国書法から日本の書まで文字の変遷をたどる」