額縁

 壊れた世界を額縁に飾ろう。
 何もない部屋、真っ白になってしまった部屋の真ん中に。
 湿度の高い風景がこの部屋を染め始める。
 僕が見つめていた世界、求めていた世界とはまた違う角度で。
 完成図とはまたかけ離れているけれど、なんだかコレはコレで完成しているとも言えるのかもしれない。
 構図が崩れて、新たな曲線がうまれ、見る角度での芸術美を増やしていく。
 いつか叶うのならば、完全な状態での完成を。それが無理な事とはもうわかっているのだけれど、何かを求めてしまう。
 額縁の外、不適な笑みを浮かべる道化師。月の満ち欠けを指折り数えている。
 喉を潤す為の水は、いつからか喉を焼く炎になってさ。
 並ぶまなこはいつだかの照明。
 乾いた空気に喉を裂く。
 流れた血はいつかどこかで生命を育むだろうか?

ここから先は

934字
一話完結(たまに前後等でリンクするお話有り)のお話を毎週金曜日20時に配信しています。 一度ご購入頂ければ、現在配信中の全てのお話を読む事ができます。

THE CONNECTIVES

¥1,500 / 月

短編の詩集です。

いつも応援有難う御座います。竹渕はいつも皆様に支えられています。これからも生きる。