第4回好きなフィギュアスケート選手をただただ語る会 〜浅田真央選手Part2〜
第3回で取り上げたのは浅田真央選手
バンクーバーオリンピック後、佐藤伸夫コーチのもとでジャンプの矯正をはじめました。
体が大人になるまえに身につけたジャンプの感覚というものを一度リセットして再スタートを図りました。
取り組みはじめたシーズンは思うようにジャンプが決まらず苦しんでいるようでした。
ですがそれでも2010-2011シーズンの世界選手権では6位。
東日本大震災があった年の開催で東京開催からモスクワ開催へ移った年でした。
この年の優勝は安藤美姫選手でした。
全日本、四大陸、世界選手権。
出るほとんどの大会で優勝でした
2011年全日本選手権 フリープログラム リスト作曲 愛の夢
2011-2012シーズンは少しずつジャンプの矯正が実ってきたと思わせるシーズンでした。
グランプリファイナルに進出しましたが、浅田真央選手の母が亡くなるという悲劇が彼女を襲いました。
今日紹介する全日本選手権の演技は亡くなってからすぐの演技です。
会場にお客さん全員が彼女の行く末、演技をただ見守っています。
このとき彼女は何を思いながら滑ったのか、、、
それは本人にしかわかりません。
そして2年ぶりの全日本選手権優勝で幕を閉じました。
この試合の演技は儚くもどこかに、強さ、決意、そして感謝が込められてるのではないかと思ってしまいます。
2012-2013 四大陸選手権 ショートプログラム ガーシュイン作曲 アイガットリズム フリープログラム チャイコフスキー 白鳥の湖
このシーズンの彼女はジャンプの安定感が増して、グランプリファイナル優勝、世界選手権銅メダルと復調を印象付けるものでした。
ショートプログラムのアイガットリズムはローリーニコルの振り付けで、彼女自身に笑顔を思い出して欲しいというローリーの思いが込められたものでした。
エキシビションのメリーポピンズも楽しく、見ているこっちが笑顔になる作品になっています。
このシーズンの四大陸選手権でジャンプ矯正後初めてトリプルアクセルを試合で決めました。
日本の大阪開催ということもあり、決まった瞬間の熱狂ぶりは凄まじいものだと映像から伝わってきます。
最初から最後まで音楽に乗り、彼女自身が楽しんで滑っているのが伝わってくる演技でした。
白鳥の湖はタチアナ・タラソワの振り付け。
何度見ても魅力的な作品。
この年から3回転3回転も復活し、ジャンプもさらにレベルアップして、魅力的で、挑戦的なシーズンだったと思います。
トリプルアクセルと3回転3回転に挑むなんて当時の女子選手としては世界最高難度。
それに3回転3回転のセカンドジャンプはトリプルループ
トリプルフリップ→トリプルループのコンビネーションジャンプは高難度。
トリプルルッツ→トリプルループの次に難しい高難度コンビネーションジャンプ。
今ではロシアの女子選手が通常装備としてルッツ、ループを飛んできますが、当時はほとんど飛んでいませんでした。
3回転3回転のルッツ、ループを得意としていたのは安藤美姫選手でした。彼女もジャンプの天才です。
白鳥の湖もシーズン序盤ではトリプルアクセルには挑んでいませんでしたが、4大陸選手権と世界選手権ではトライしてきました。
彼女が常に挑戦している姿に何度勇気づけられ、元気をもらい、希望をもらったのだろう。
決して諦めない不屈の精神。
たゆまぬ努力は理想とする演技を追い求めるが故のものなんだろう。
そして2013-2014のシーズンへつながる。
2013-2014シーズン序盤のグランプリシリーズ、グランプリファイナルはショート・フリー全てで1位を収め、圧倒的な存在感を見せていました。
トリプルアクセルも試合で決めて、オリンピック金メダルへの期待値がより一層高まりました。
2013グランプリファイナル ショートプログラム ショパン作曲 ノクターン Op.9-2 フリープログラム ラフマニノフ作曲 ピアノ協奏曲第2番
2014 ソチオリンピック フリープログラム ラフマニノフ作曲 ピアノ協奏曲第2番
ショートプログラムでまさかの16位。
直前のグランプリファイナルでも優勝し、集大成といえるシーズン。
金メダルNo1候補の彼女がショートプログラム最終滑走で起きたジャンプのミスは誰も予想していなかった悪夢としか言えないものだった。
ソチオリンピックの生放送は深夜だったが、頑張って起きて見守っていました。
正直こんな姿を見たのは初めてで、なぜオリンピックでこんなことが起きてしまうのかと悔しくなったのを覚えてます。
フリー当日。これまで彼女は基本的に最終グループで
滑走していたので、かなりはやい登場だった。
重厚なピアノからはじまるフリープログラム。
冒頭はトリプルアクセル、踏切に向かっているとき誰もが『決まれ!!がんばれ!!』と祈ったはずだ。
そして彼女はトリプルアクセルを決めると次々にジャンプを成功させていく。
当時の世界最高難度『エイトトリプル』を達成。全種類の3回転を飛ぶという離れ技を成し遂げた。
演技後半の怒涛のステップこれも見せ場のひとつ。
彼女はどうしてもトリプルアクセルばかりに注目されてしまうが、ステップもかなり見応えがあって魅力的だ。
このエネルギー溢れるステップはタラソワさんの振り付けって感じがぷんぷんします。
演技を終えた瞬間彼女は堪えきれないとばかりに涙を流した。そして観客の声援に応える姿を忘れることはないだろう。
メダルは取れなかった。誰でもソチオリンピックで1番記憶に残る演技は誰だったかと言われると浅田真央選手のフリープログラムだと即答できる。
オリンピックから1ヶ月後に行われた世界選手権では、ショートプログラムで完璧な演技を見せて当時の世界最高得点を更新した。
さいたまスーパーアリーナで行われたこの世界選手権に僕は友人の伝手で生で観ることができた。
2014世界世界選手権 ショートプログラム ショパン作曲 ノクターン op.9-2
初めて見るフィギュアスケートの試合は緊張感がビシビシと伝わり、テレビで見ていた選手たちがリンクを華麗に滑っている。
浅田真央選手のショートの時間が来た。
ソチオリンピックのショートが僕の中にフラッシュバックしてきた。
どうか上手くいきますように。
会場全体がまた一丸となっているのを感じる、不思議な緊張感の中彼女の演技ははじまった。
トリプルアクセルをフワッと軽やかに着氷し、満員の会場は彼女の世界で満たされていく。
音楽とスケートが見事に調和し、彼女の思い描いていた演技はこういうものだったのかと世界選手権で知ることができた。
たらればになってしまうが、あの演技をオリンピックでしていてたら彼女は金メダルを取っていただろう。
オリンピックのフリー、世界選手権のショートは結果ではなく、記憶の中にいまも深く残っている。