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生薬百選56 木通(モクツウ)

秋のこの時期、弊社研究所の薬草見本園を散策していると、アケビの蔓からパックリと開いた果実がぶら下がっている光景に出くわすことがあります。ご存知の方も多いと思いますが、アケビの熟した果実の白い果肉の部分は甘くとても美味しく、タイミング良く見つけるとチョット幸せな気分になります。ただ、この実を手に入れるにはライバルも多く、特に野鳥との競争は熾烈を極めます。今年もいくつかの実はすでに食べられた後で、最後の一個をゲットするのがやっとのことでした(写真は昨年の秋に撮影したものです)。

さて、このアケビは実が食べられるだけではなく、蔓の部分を「木通(モクツウ)」といい、体にたまった余分な水分を尿として出すとともに、痛みや炎症を取り除くために使われる重要な薬草の一つです。この蔓にはトリテルペノイド、ヘデラゲニン、オレアノール酸などが含まれ、抗炎症、利尿、抗潰瘍、脂質降下などの作用が知られています。漢方では腎臓に働き、膀胱炎や浮腫、湿疹、月経不順、母乳不足などに用いられています。また、生薬名の由来は、蔓の切り口を見ると沢山の空洞が有り、息を吹き込むと通るので「木通」と名がついたそうです。

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木通 (もくつう)

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