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クリスマスカラーが見事な「ポインセチア

インディアンは解熱に使用

年の暮れは1年の締めくくりと、新しい年を迎える心の準備期間です。この時期になると、花屋さんの店頭に並ぶ花のひとつに「ポインセチア」があります。赤と緑のコントラストが見事なポインセチアはクリスマスのイメージが強いですが、クリスマスに限らず冬の観葉植物としての地位を占めるようになっています。
ポインセチアはメキシコ原産のトウダイグサ科の常緑低木(亜熱帯では高さ9mほどに成長)です。夏は冷涼、冬は温暖な気候を好むため、日本では九州以南に露地植えがある程度で、ほとんどが温室育ち。葉は濃緑色で互生しますが、枝先の部分の葉は節間が詰まって輪生状で、日が短くなる時期には濃い朱赤色に染まります。近年は品種改良が進み、色彩も桃色、桃色ぼかし、乳白、白地など多彩です。

ポインセチアが日本に渡来したのは明治時代で、当初は温室植物として育てられていました。一般家庭に普及するようになったのはここ30年ほどで、それまでは一部の愛好家が楽しんでいたに過ぎませんでした。そのため、詩歌に詠まれるようになったのも、比較的新しいといえます。

美しき 花かとも朱に きわまりし その葉をみれば あわれポインセチア

宮柊二

猩々木(ポインセチア) 咲かす仏具の 推錦師(ついきんし)

小熊一人

ポインセチアの植物名は、アメリカ初代メキシコ大使ポインセットが、この植物をアメリカに持ち帰った功績を記念して命名されました。日本名は「猩々木(ショウジョウボク)」です。赤い小綿包を花の顔に見立て、酒を飲んで赤い顔になった猩々(古代の架空の動物)に例えたことに由来します。クリスマス時期に赤と緑のクリスマスカラーになることにちなんで「クリスマスフラワー」と呼ばれたり、茹でた海老の色に例えて「伊勢海老花」と呼ばれることもあります。
原産地のメキシコでは「ノチェブエナ」、ドイツでは茎や葉を切ると乳汁が出て、衣服に付くと黒くなって嫌われることから「狼の乳」と呼ばれています。ポインセチアを切り花にすると水揚げが悪いのは、この乳汁によるものなので、切り口を水でよく洗ったり、焼くと長持ちします。
学名はEuphorbia pulcherrimaで、属名はローマ時代にモーリタニア王ユバの侍医オイフォルバスが樹木の乳汁を初めて薬に用いたことに由来します。種小名は「美しい」という意味です。
トウダイグサ科の植物には有毒植物が多いですが、ポインセチアは無害です。薬用に使用することはありませんが、インディアンはポインセチアの乳汁を解熱に使用していたといわれています。
花言葉は「清純」「元気を出しなさい」「私の心は燃えている」です。

出典:牧幸男『植物楽趣』

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