生薬百選19 百合(ビャクゴウ)
百合をユリと読めば花を想像しますが、ビャクゴウと読めばユリの鱗茎を蒸してから乾燥させた生薬のことです。鱗茎が幾重にも重なり合うさまから漢名が百合、花が風にユリ(揺り)動くさまから和名がユリになったとされています。
生の鱗茎はゆり根として食用に用いられますが、おせちに使われるのは鱗茎の重なる形が和合にも通じ、おめでたいからのようです。薬膳でもよく使われる食材で、生や水で戻した乾燥品を茶碗蒸しの具に、また甘く煮てデザートにするのもおすすめです。
成分はデンプン、蛋白質、脂肪、アルカロイドの他にユリ科の植物によくみられるステロイドサポニン(brownioside)があります。知母(チモ:ユリ科ハナスゲの根茎)や麦門冬(バクモンドウ:ユリ科ジャノヒゲの塊状根)にもステロイドサポニンが含まれており、辛夷清肺湯という漢方処方では、これら3生薬(百合、知母、麦門冬)が肺の熱を冷ましたり潤して咳を止め痰をきりやすくする働きをしています。
百合の効能は潤肺止咳以外に寧心安神(鎮静作用)で、この鎮静作用が主になっている漢方処方が百合知母湯です。これは百合と知母の二味からなり、熱病の回復期で余熱によるいらいらや動悸、寝つきが悪いなどの症状に用いられます。
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百合(ビャクゴウ)