令和3年度一級建築士設計製図試験を受けた時の心境と感想

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※この記事を見ている人は恐らく建築に詳しい方が多いかもしれませんが、建築に少しだけ興味をもって頂けて見ている方もいるかもしれませんので、途中、一級建築士設計製図試験の内容を少し説明させて頂いてる箇所がございますがご了承ください。
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どうもはじめまして、げんきです。

アカウント自体は大分前に作っていて何も書かず放置していましたが、今回タイトル通り試験を受験し終えたので、一旦心の整理というか自分の中にあるものを言語化しておきたかったのと、一級建築士の試験ってどういう感じなんだろうという雰囲気を知りたいという人もいるかもなと思ったので、筆を執らせて頂きます。

最初の投稿なので、本題に入る前に軽く自己紹介をしておくと、私は沖縄の設計事務所に勤務しており住宅の設計を主にしている二級建築士男30歳です。好きなことはサッカー、ランニング、歌う事、漫画、そして建築です。

それでは試験当日の事を書いていきたいと思います。

試験は2021年10月10日(日)にありました。
当日朝7時に目覚め、いつも通りのペースで朝ご飯を食べながら、前日にまとめた気になる事リストを確認し、ゆっくりしていました。

試験は11時スタートで会場までは車で20分程度の距離だったので、
家を9時半に出発し一時間前には到着。

会場に着くと見知った顔も何人か見え、少し話をして検温スペースにて体調確認、特に問題なく試験を行う教室に入りました。

私が試験を受けた教室は幸いにも机が広く、作図もしやすそうでホッと胸を撫でおろし席に着きました。

そしてついに試験開始15分前、試験管による注意事項の喚起が始まり、問題用紙、記述用紙、エスキス用紙、作図用紙が配られます。

ここで少しだけ一級建築士設計製図試験の内容を説明させて頂きます。

まず、問題用紙はA2サイズにびっしり問題文が書かれたもので、それに書いてある内容を読み解いた上でA2サイズのエスキス用紙に検討事項や図面の下書きを描き、A3サイズの記述用紙に試験元から問われている内容に対してしっかり解答し、A2サイズの作図用紙にエスキスで下書きした図面を作図します。

試験時間は11時から17時30分の6時間半になります。
この時間は長いように見えますが、上記の事を行おうとするとかなり短く感じます。特に、エスキスと作図に大半の時間を取られるので、このあたりの時間管理をしっかり行わないと未完成という事もありえます。

私は今年の学科試験が終わった後すぐ資格学校の設計製図試験対策に申し込み、ちゃんと完成させて提出するというルーティーンを作った上で試験に臨んだので、なんとか完成させて提出できましたが、独学だと、特に初年度生だとかなり厳しいんじゃないかと思います。

これ以上は今回の記事のテーマと違う内容になるので割愛しますが、これらが一級建築士試験を難関資格にさせている要因の一つである事は間違いないかと思います。

それでは、本題に戻ります。(すみません、長くなりました(´;ω;`))

問題用紙は基本的に伏せて配られるのですが、薄っすらと敷地図などの情報が透けて見えるので、ここからある程度どういった方向性で進めたらいいのか人によっては考えます。

そして今回、さっそく例年にはない試験元からのサプライズを見つけてしまいました。

敷地断面図に斜めの線が見える。今までは軟弱地盤が直線でしか出た事が無かったのでこのパターンは初めて見る。でもこれは斜めに惑わされず地盤改良を適切に計画すればいけるかと考え、事なきを得ました。

このような感じで、一級建築士試験では学科試験も設計製図試験も毎年何かしらサプライズを試験元は仕込んでくるそうです。
おそらく理由としては、こういったもので受験者を揺さぶり、正常な思考・判断をできなくさせ、普段やらないようなミスを誘発して受験者を落とすためです。

そしてついに11時、試験が始まりました。

問題用紙を開くと先ほど透けた部分はもう確認済だから他になにか変わったところは無いか確認。ぱっと見は無い。という事で問題文を始めから読み進めていく。

そして記述用紙も確認。1/100のプランを描いて説明を求める要項が初出題だが似たような事を資格学校でやった。多分大丈夫。

それから問題用紙を再び読み進めていく。すると途中で気づいた。いつも指定される床面積の範囲が無い。容積率の指定しかない。住戸の戸数も確定した数ではなく「3戸以上」というような表記の仕方。それに異種用途区画が明記されている。
すごく驚くようなサプライズはないものの、落ち着いてみれば問題ない。ただこの中でも驚いたものが1つ、道路が敷地に対して2面あるが1つは4mしかない。これは斜線制限がかなり厳しくなるぞ。

しかし、幸いにも資格学校の直前講座で似たような敷地条件が出たため、注意点は把握している。慎重に解けばいける。

そしてしばらく進める事1時間20分、いつも通りのペースで1/1000プランはでき、一旦条件確認チェックを入れる。
正直、自由度が高すぎな上にプランもすんなりいったので、自分が何か見落としてるんじゃないか、何かの罠かと思った。
しかしいくらチェックをしても問題なさそう、これ以上時間をかけると後の作業が苦しくなる。怖いけど、このまま進めるしかない。

そして1/400のプランをまとめ始める。
これが描き終われば記述を描いて、A2の作図用紙に1/200で作図だ。
ペースを崩すな、と自分に言い聞かせ進める。
しかし、2階と基準階はわりかしすぐにプランニングできたが、1階がうまくまとまらない。

ちなみに今回の課題名は『集合住宅』でした。
しかし求められてる機能として、通常の住戸だけでなくテナントとしてカフェと学習塾が求められていました。しかもこの学習塾がかなり広い。資格学校の課題で出てたテナントの床面積では大きくても250㎡程度のものが求められていましたが、この試験では約400㎡要求されていました。

それにしてもうまく入らない。他にもこの学習塾の駐輪場どこに配置する。設備関係どうする。思考を幅広く並行に進めてきたがついに手が少し止まってしまう。
ストップウォッチを見る。まずい、いつの間にかいつも以上に時間をかけてしまっている。いつも通り時間優先して一旦この作業を切って、記述に入った方が正解かもしれないが、今回断面図に道路斜線も記入しないといけない。下書きでその検討はやらないとまずい。住戸プランもいつもは作図しながらでもできてたけど、記述を行う住戸タイプに関してはここで確定しておきたい。

試行錯誤、悪戦苦闘を繰り返す中でようやくまとめる事ができましたが、その時には2時間50分が経過しようとしていました。
いつもより30分オーバーしていました。

中間チェックを焦りながらも深呼吸を一旦いれて行い、記述の解答に入る。
1/100の住戸の平面図を描き、採光関係の法規も問題ないよ~的な事を、イメージ断面図等を用いながらびっしり書いていく。他の項目も間髪入れず文章を書いていく。記述もなんとか書き終わったが、3時間50分が経過しようしている。記述の時間自体は大体いつも通りだが、さっきのエスキスがかなり響いてる。まずい。作図を大急ぎでやらねば。

実はこの時、周辺の音から察するに30分程前から、早い人は1時間も前から既に作図に入っている人がいたので、正直この時かなり焦っていました。
しかしここで焦りすぎてはいけません。急ぎはしますがあくまで冷静にを努めました。

記述のチェックも終わりついに作図。このフェーズはもう作業に徹する。いかに集中して描くかが鍵。二階と基準階はいつもより作図量が少ない。急げばまだいける。

こんな感じで作図してる時はもう心を無にしてひたすら描いていました。

ペンの持ちすぎでペンだこのようなものができて指が変形するほど今まで描いてきたんだ。52枚も描いたんだ。もっとスピードを上げろ!プルスウルトラ!

的な事を思いながらずっと描いていました。

そして終了まで残り15分、つまり試験開始から6時間15分が経過。
残りは補足事項と外構関係だけでしたが、これは図面の密度を上げるためのものなので、ここで最終チェックに入ります。

途中抜けているものを修正しながらチェックを進めていましたが、ついに終了5分前にある事に気づきます。

自分が採用しようとしているこの設備、機械室いらないんじゃなかったっけ?

実は今回のサプライズの中の一つに、空調設備関係を自身で何を採用するかを考え、状況に応じて機械室を入れろという要求があったのです。
いつもはこの空調関係も指定されているため、今回の出され方に慣れておらず、うろ覚えの部分がありました。

今ここで元々採用しようとしてたものに合わせるためには機械室を消さなければいけない。しかし、それをするためにはもう時間がない。それに、もし機械室が必要ないという事が私の勘違いであれば、消した瞬間要求されている部屋が無いという事で一発でアウトな図面になってしまう。ならば機械室が必要だという事を確実に覚えている方式に無理やり変えるしかない。どうする、時間がない!

さんざん悩んだ末、最後に考えついたものに変更し、その瞬間試験終了の合図が出されました。
もうこの瞬間、ああ、どうしよう、これで終わってしまった。本当に試験が終わってしまったと思いました。
本当に様々な感情が一気に押し寄せました。

本当に最後の選択で良かったのか。
重大な法規に関してはクリアしてる。
けど、補足事項かけてない。
外構もう少し描きたかった。
図面の密度上げたかった。

と、もやもやした気持ちがある反面

ついに試験勉強明日からせずに済む、という少しの開放感もありました。

こうして試験が終わり、帰路につきたい所ですが、まだこれでこの日を終える事はできません。

これから資格学校に指定された場所に行き、この試験で数時間かけて描いた図面と記述を復元するという作業が待っているのです。

資格学校は受験生の復元したデータをもとに、どういった図面や記述が合格するのか研究し、来年に向けて最良のテキストを恐らくつくるので、仕方ない事とは言え正直気が滅入りました。

ちなみに、この復元に素直に応じない人もまあまあいます(笑)

ですが、多額の学費を払った上でこういう事をやらないといけない資格学校のこういう所は嫌ですが、お世話になった講師へこういう図面を描きましたという報告と、これから一級建築士を受験する人の為と割り切って、私は復元しに行きました。

しかし、復元会場に向かう途中車の中で、さっきの設備機械室、倉庫という名称にしたら特に問題なかったじゃんとか、これはもうだめっぽくない?アウトじゃんとか。主要寸法以外の面積算定に必要な箇所の寸法抜けてるのに今気づいたとか。やはり今思い返してみても試験本番中は冷静に努めようとしても焦っていますね。本番でなければどうすればよかったとかすんなり出てくるのに、極限の緊張状態だとそれが難しい。
まさに本試験には魔物が住んでいるといわれる所以でもあるかと思います。
正直、この時点でかなり帰りたかったです。
落ちてるかもしれない図面を復元したくありませんでした。

そして30分程運転して会場につき、そこで待っていた講師に不安を伝え慰めてもらいながら、復元作業に取り掛かりました。

講師に減点がどのくらいあるかはわからないけど、法規的な部分がクリアできてるなら大丈夫だよ、可能性あるよ、と言って頂けたのは少し救われました。
まあ、講師も試験元ではないので実際はわからないんですけどね。

こうして作業を進めていましたが、なんと借りてた会場が22時までだったらしく、結局家に帰った後も復元作業を続けました。
試験は終わってるのに終われない(笑)
なんだこれ(笑)
と、思いつつなんとか終わらせました。
終わった時には0時を過ぎていました。

結局この日は試験自体は6時間半なのに、1日中試験関連の事に時間を費やして終わりました。

そして3日経って今改めて思うのは、いや~な試験だったなという事です。

先にも述べた通り、ナニコレ?!というようなサプライズはありませんでしたが、所々考えさせる所がちりばめられていて、ここで落とそうとしているのかなという敵意というかそういう意図が見える所が沢山あり、なんか解いてて気持ち悪かったです。すごい感覚的で申し訳ないのですが。

Twitter等で試験についてつぶやきを見てみると、結構簡単だったという意見と難しかったという意見両方見られましたが、私は初受験という事もあるかと思いますが、難しかったと感じました。
プラン自体は資格学校の課題より比較的まとめやすい気はしましたが、法規に関してはかなり気を付けないと何かしらで引っかかる気がしました。

いずれにしろ、もう二度と受けたくないです(笑)

ちなみに、結果は12月24日にわかるそうです。

合格していれば最高のプレゼントですが、そうでなければ地獄です。
また地獄の一年を過ごさないといけません。
一応、学科合格してから5年間の内3回受験できるという制度に変わったので、厳密には違いますが、おそらく多くの人は連続して受験すると思います。

まあ、ここまで色々書いてきましたが、結果が出るのは少し先だし、もう終わった事をうだうだ言っても仕方ありません。

とにかく今年一級建築士試験を受験された方々、お疲れ様でした!

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