憧れの土岐英史
僕の親世代だろうか。
カセットウォークマンが誕生し、ドライブのお供に音楽を聞けるようになったとき、皆さんはとても洗練されたグッドミュージックを詰め込んでたくさんの思い出を作ったのだそう。
時代は一回りし、我々世代は80年代の音楽センスに夢中だ。僕も漏れなくリアルタイムで80年代音楽と共に過ごしたかったと思う一人である。
ツボにハマるポイントは、間奏部分で本当に素晴らしい管楽器奏者のソロが入るところだ。
きっかけの曲は、かの有名な山下達郎『Sparkle』
僕はサックス奏者なので、あの間奏ソロを初めて聴いたときの衝撃、感動といえば忘れない。
ソロを取ったのは、”土岐英史”
風のようなフレージングで、吹き抜けていく
音色は焚火にあたっている時の温かさ
すぐにセッティングを真似した。
雑誌を読み漁り、マウスピースやリード、リガチャーを研究したが自分の音は全く別物だ。ああいうふうにはならない
次第にわかった。
土岐さんは唯一無二なんだと。
たぶん、数え切れないサックス奏者が同じように土岐さんの音に憧れ、研究し、気づいただろう。
僕は土岐さんの真似をやめて、自分の音探しを始めた。
それでも土岐さんはみんなの指標だ。
かの時代の音楽を彩ったサックスソロの数々
ジャズへの愛が詰まったオリジナルやスタンダード
土岐さんの残した音はずっと鳴り続けている。
一ファンとして、ご冥福をお祈りします。