立教ボラセン20周年と映画「ただいま、つなかん」上映会
12月9日(土)、私が所属する立教大学ボランティアセンターの設立20周年記念イベントを開催した。
記念礼拝、”立教らしさ”とは
当日は、池袋キャンパスにある「立教学院諸聖徒礼拝堂(チャペル)」での記念礼拝からスタート。立教ボラセンのセンター長でもある大学チャプレンから「ボランティアセンターは立教の中で最も立教らしい部署である」というお話があったのだが、この日、理事長や総長も同じ話をしていたことが印象的だった。
立教らしさが意味するところは、建学の精神である「Pro Deo et Patria」につながるわけだが、この言葉を立教では、「普遍的なる真理を探究し、私たちの世界、社会、隣人のために」と捉えている。
この精神をボランティアセンターが大切にしていることはもちろんなのだが、ボランティアセンターにおける日々の実践に対して、全学的に心を寄せて評価していただいていることを非常に嬉しく感じた。このような大学・大学ボラセンは数少ないだろう。これも間違いなく”立教らしさ”であると言える。そして、このような大学ボラセンでボランティアコーディネーターとして実践を重ねられることを誇りに思う。
映画「ただいま、つなかん」を上映
記念礼拝後は、場所を学内の教室に移して、映画「ただいま、つなかん」の上映会&アフタートークを実施した。
この映画では、東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市唐桑にある「唐桑御殿つなかん」の女将の一代さんと、学生ボランティア・若き移住者たちの10年以上にわたる歳月が描かれているのだが、出演者の一人は立教卒業生であり、立教ボラセン10周年記念イベントに出演していた方でもある。そして、監督も立教卒業生ということで、本学にとても縁の深い映画なのだ。
映画の内容はネタバレになってしまうためここに書くことはできないが、自主上映会の機会もたくさんあるようなので、ぜひ一度ご鑑賞いただきたい。
私は、上映会後のアフタートークでファシリテーターを担当させてただき、監督・学生2名とともに登壇させていただいた。
お聞きした話の中で特に印象的だったのが、「大学生ボランティアが後に移住者として地域に加わっていくプロセス」である。
災害ボランティアのみならず地方創生の推進場面でしばしば「よそ者、若者、ばか者」がキーワードとして語られる。これが安易な表現であることは置いておくとして、「よそ者」と呼ばれることによって、地域参加のハードルを下げられた者が、自ら「よそ者」のラベルを取り払う、「よそ者」ではない存在として受け入れてもらうことは簡単ではない。
ボランティアはいつまでもボランティアであるわけではない。しかし、金銭的な報酬を目的としない活動であるが故に、ボランティア活動と生活の境目の認識が曖昧である。ボランティア活動=生活の一部として自然に捉えることができれば何も問題ないのだが、大規模災害被災地の場合、ボランティア活動=支援(特に、地域の外からもたらされるもの)として捉える傾向が強くなる。つまり、善意に基づいた行為が全て一方的な支援として捉えられてしまうのだ。ここで生じる「支援する者・される者」という非日常的で不釣り合いな関係性は、移住し、同じ地域に住まう者となった際に、居心地の悪さを発揮する。しかも両者にとってである。
実際にボランティア活動という贈与的な行為に対する見返りとして、温かく受け入れる地域住民という構図があったように見えたが、監督から、若き移住者が就職・結婚・出産などのライフイベントをその地で経験していくことでより深く地域に加わっていき、(排他的な雰囲気があったわけではないが)地元住民として認められていったという話を聞き、とても興味深かった。
このようなプロセス・変容を丁寧に観察できたのも、10年以上通い続け、「取材する者・される者」という関係性を超えた風間監督ならではだなと感じた。
あまり言及するとネタバレになるので、ここらへんで止めておくことにしよう。
祝賀会とこれから
イベントの最後には祝賀会を実施し、多くの方々と20周年の喜びを分かち合うことができた。
これからも、立教ボラセンが業界のトップランナーになれるように、立教らしさを大切にしつつ、常に前進するための変化を受け入れ、挑戦し続けられるように、ボランティアコーディネーターとして価値のある実践をしていければと思う。