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公認会計士試験短答式試験合格に価値はあるか?
先に結論だけ述べると、公認会計士試験の短答式試験の合格は無価値である。
それによって何かを得たような気持ちになることなく、論文式試験の合格まで気を引き締め、絶え間なく勉強を続けて欲しい。
公認会計士試験は長丁場
合格までに一般的に数千時間の勉強が必要となる公認会計士試験。
TACの発表によれば勉強時間は2,000時間から5,000時間とあるが、一発合格でベストプラクティスの一例として予備校のパンフレットに写真とコメントが掲載された筆者でさえ3,600時間くらいかかっている。
その後に監査法人に入社して周囲を見渡し、浪人合格者だらけのこの中のどこに2,000時間で合格した人がいるのだろうと思ったが、それはさておき仮に常軌を逸する優秀者がいて2,000時間で合格できたとしても、長丁場となる試験であることは間違いない。
ところで、筆者は18歳の頃に不動産業に興味を持ち、宅建士(宅地建物取引士)試験に合格した。
9月頃に勉強を始め、カフェでペラペラ過去問をめくり、翌月の試験で合格した。
筆者の中では資格試験というのはそういうイメージであった。
どうせ会計士も彼女と付き合いながらダラダラ続ければ合格するのではないか。
当初はそれくらいの甘い考えで始めた。
最初は新鮮だった予備校ライフも、あっという間にマンネリ化する。
それでも騙し騙し朝から晩まで毎日勉強を続ける必要があった。
なぜなら、センスがそこそこある人でも5,000時間くらい勉強しなければ合格できないのに、1年間毎日10時間勉強したとしても3,650時間にしかならない。流石に1日も休まずに毎日10時間勉強するのは無理なので、大抵の人はそれを下回る結果となるだろう。
それだけやっていても試験のタイミングで勉強が不十分であれば、そこからまたプラス3,650時間の戦いになる。
この試験の怖いところは、足して5,000時間になれば良いわけではないところだ。
忘却が激しいのだ。
試験勉強は実務に伴った知識ではないので、少し勉強しないとあっという間に脳から消えてゆく。しばらく休んでしまえばすぐに著しく後退する。
詳しくは下記の記事を参照してほしい。
つまりは、長期間・長時間勉強し続けないといけない試験なのだ。
成果が欲しくなる
こんな日々が続くと、どうしても成果を求めたくなるものである。
ずっと勉強しっぱなしで、何も起こらないことによる飽きと焦燥感がわく。
このレベル感で勉強している人にとって手頃なところだと日商簿記検定1級・全経簿記検定上級があり、税理士試験の簿記論・財務諸表論を受ける人もいる。
この辺りも合格しておけば、最悪会計士試験から撤退しても何かしら残るという意味では有効だ。
しかし、コレはあくまでも脇道に過ぎない。
公認会計士試験に合格しなければ、終わりは来ないのだ。
短答式試験の合格という通過点
公認会計士試験は短答式試験に合格後、論文式試験に合格して初めて合格となる。
そのため、短答式試験はただの通過点にしかならない。
実際短答式試験に合格して送付されてくるものも紙っぺら1枚のみだ。
一方で、成果に飢えているが故に、自分は短答式試験に合格したという感覚を持ちたくなるが、その気持ちはグッと堪えてほしい。
短答式試験の合格は論文式試験を3回まで受けられる挑戦権であり、その間に合格できなければまた短答式試験から受験し直しとなってしまう。
つまり、論文に合格できない限りは長期的に見れば何も残らない成果であるからだ。
故に、短答式試験合格には何の価値もない。
筆者が一緒に勉強していた友人の中にも、「三振」してこの道から消えていった者もいる。
短答合格に気を緩めることなく、論文式合格まで頑張ってほしい。