2023/8/7~8/10ドル円振り返り
8/10(木)は、米CPI発表後に一旦、予想下振れで円高に振れたものの、市場はノーサプライズと判断し、次の指標発表に注目が移り、円安トレンドの継続となった。
7/28(金)の日銀によるYCC修正後も一瞬138円台をつけたが、事実上のYCC撤廃ではあるものの、金融引締めへの転換ではなく、普通のQEへの移行であると判断され、円安トレンドとなり、2週間で約7円の円安が進んだことになる。
円金利上昇による円高トレンドへの転換が、YCC修正前に市場で警戒されていたが、多少長期金利が上昇したものの、円高トレンドへ転換させるほどのインパクトは無かった。
その点で、植田総裁の采配は誠に見事なものだった。
YCC修正以降、円金利と米金利の相関が高くなっているが、円金利の上昇以上に米金利が上昇するため、内外金利差は拡大し、拡大しなかった場合でも、内外短期金利差は開いたままの状態のため、円安トレンドが継続してきた。
円金利上昇によるリパトリによって、本邦の機関投資家の資金が海外ではなく日本国内に回帰するため、米国の金利が上昇するというのは、確かなことだが、YCC修正自体多くの機関投資家は予測しており、今回の政策修正でアロケーションを大きく変更した会社は無いとみられるため、あくまでも長期的な話である。
また、米国の金利上昇については、雇用と消費が堅調で、住宅価格も下げ止まっている状況のなかで、長期期待インフレ率が上昇していることが、大きく挙げられる。
期待インフレ率には要注意である。
景気の悪化を示す経済指標が見られない限り、米金利上昇、円安のトレンドは止まりづらい状況である。
しかしながら、昨年高値のドル円150円を突破すると考えている投資家は少ない。
現状、FRBは、来年にも利下げを開始する見通しであり、米国の長期金利も昨年のピークの水準に近づいており、上昇余地は少ないだろう。
こうしたなかで、ドル買いのポジションが積み上がっているため、経済指標が悪化した場合や、何かショックが発生した際に、ドル円は大きく調整するリスクがある点に注意が必要だ。
指標発表前は、ポジション構築を控え、冷静に結果を分析してからトレードするのが良いだろう。
例えば、8/10(木)の米CPI発表後を見ると、一瞬円高に振れた後に円安トレンドへ回帰した。東京時間につけた144.10円の高値を上抜けた後押し目で、ドルロングのポジションが、リスクリワードの高い瞬間だったであろう。
デイトレードで挑む場合も、大きな節目がどこにあり、どちらの方向に転がりやすいのかを見ることは重要だと思われる。
note作成後、更新できずにいたが、今後は、チャート分析なども含めて、更新頻度を高めていこうと思う。