成果は瞬間風速ではなく積分で考える
一芸に秀でている人についつい憧れてしまいます。いざという時に、あるベクトルでものすごく高いパフォーマンスを発揮している姿を見ると、いや〜カッコいいな、あんなことができたらいいなと感じさせられてしまいます。
このように、ある瞬間にものすごく高いパフォーマンスを発揮する仕事のやり方のことを、私は瞬間風速的な仕事と呼んでいるのですが、これはインパクトがあり、瞬間風速的な仕事ができる人は優秀な人と思われていることが多いと思います。事実、瞬間風速的な仕事ができるということは一瞬であっても標準を遥かに超えたパフォーマンスを出せるということなので、それができる人は能力が高く、優秀であることが多いです。まるでF1カーのように、性能の良いエンジンを積んでいるようなイメージです。
一方で、ある程度期間をとって仕事の成果を冷静に測ってみると、瞬間風速的な仕事をしている人が実はそれほど高い成果を出しているわけではないということがあるとある時気づきました。ビジネスというのは長期戦です。もちろん、短期決戦も起こるので瞬間風速を出せることは重要です。しかし、安定的に成果を上げ続け、信用と改善を積み上げることが根幹にあります。
チーターがずっと最高速度で走り続けることができないように、瞬間風速的な仕事をずっとやり続けることはできません。一時的なものです。短期決戦で重点をグッと抑えるためのものです。
長期的な視点で仕事の成果を考えるには、成果の積分を考えることが重要です。つまり、時間軸を横軸に、パフォーマンスの高さを縦軸に取り、各時点のパフォーマンスの総和を面積で捉え、その面積を最大化することを考えることが必要だということです。
成果の積分に重点を置くと、瞬間風速的な仕事は必ずしも求められるわけではなくなります。より重要なのは安定して比較的高いパフォーマンスを上げ続けることです。周囲の環境やモチベーションにあまり左右されずに淡々と成果を上げ続けることは地味で目立ちにくいですが、累積で成果を見た時に周囲と大きな差がついています。
瞬間風速的な仕事が必須ではないということは、普通の人でも再現しうるとも言えます。成果の積分に重点を置くことはまさしく凡人の生存戦略でもあるのです。