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問題解決の糸口を掴むには「変数を固定」する
仕事において問題に直面した際、その問題を解決する方法がさっぱり思いつかないことはよくあると思います。問題が複雑で、容易に解きほぐせないがために、そもそも問題自体を定義することが難しく、故にその問題の解決には一向に至らない、という状況です。
こんな状況に陥ってしまうとき、多くのケースでは「変数が多く、変数同士が相互に影響し合っていて問題が特定できない」ことが多いです。1つのことを決めるにはもう1つのことを決めなければならないが、互いに影響し合っていて決め切れなかったりすることがよくあります。
例えば、新商品開発を進めているとしたら、競合の状況は重要な検討材料です。しかし、そのマーケットに新商品を投入したら、その商品の新規性が高ければ高いほど、競合他社はその商品を真似し、追随しようとしてきます。
しかし新製品は、その他者の追随も織り込んで技術開発やマーケティングをする必要がありますが、その戦略は競合他社がどのように動くかをある程度の精度で予測していなければ有効性を失います。このように、2つの要素が入れ子のようになってしまい、決めかねることになってしまうのです。
このときに重要なのは、「変数を固定」してしまうことです。先ほどのケースでいえば、競合の追随スピードや模倣可能性、もしくは自社の技術開発やマーケティングに使えるリソース、といった要素を固定します。
変数を固定すると、あとはそれを前提条件としてどう工夫するかに頭を使うことができます。仮に自社がベンチャー企業であり、技術開発やマーケティングに使えるリソースが極端に限られているならば、それを前提に一旦置いてしまう。あとはその限られたリソースを踏まえて、どのように競合の模倣と追随に対処していくのかだけを考える。こういうステップで考えるということです。
もちろんこれはこれで大変難しいことなのですが、変数を固定することには1つの大きな有用性があります。それは、「議論が前に進みやすい」ということです。変数が相互に影響し合う状態だと、何を足掛かりにして考えるのかが定まらず、議論が建設的になりにくい。しかし変数を1つ固定すると、考えるべきポイントが絞られるので議論が進みやすくなるのです。
議論を進めていき、やはり前提をもう一度崩そうという結論になっても構いません。その時には、具体的に「前提のどのポイントを崩すべきなのか」が明確になっているからです。つまり、前提を疑うことは辞めずに、それでも一旦前提を置いて考えてみることで、議論を前に勧めるという方法論が、「変数を固定する」ことであるということです。
問題解決の足掛かりが見つからないときには、変数を固定して一度考えてみる。この方法は議論が暗礁に乗り上げたときに効果を発揮しますので、おすすめです。