偶然

いつの時代も常人って奴は存在しなかったのかもしれない
普通だろうと踏んでいた僕はどうやら程遠かったみたいだ
薬を飲んで家を出る僕の日常も分からないだろ
結局みんな同じで普通を繕ってるだけ普通じゃなきゃいけないのは誰のせいだよ

久しぶりに会った同級生は非道さの欠片も見えない具合だ
あの日の残酷さだけは常備してたろ平気な顔して話しかけてくる
汚らしい言葉と考えはどの社会でも健在な様で
コンビニのパートのあの人も僕の青春を壊してきたんだろ
僕は絶対に忘れない
すえた匂いの運動靴も君が壊した裁縫道具も笑いながら読み上げられたカフカのあの一節も爪弾きにされた青春も
思い返せば昨日の様だと口に出す分には綺麗だけど僕の背中にへばりついた重苦しい呪いは今朝も僕を見つめていた

すれ違いと呼ぶにはわざとらしくて
数奇とは言えないほどあからさまだった
支離滅裂な言葉を考えても君がくれた普通が目を通してはコケにしてくる
きっと君は墓まで着いてくるつもりなんだ
いつまでも僕を見下しながら
偶然君と出会わなかったら
本当に出会わなかったらな

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