誰が為のスマイル!?~『ピークアウト』第14話感想~
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■前回の城丸雪兎は!!
レム様とまみちゃんから同時に「付き合って♡」って言われたら、君はどうする? 俺は”両方”かな……。
紆余曲折はあれ、晴れてMピーカーとなったユキト。とはいえ、プロリーグの選手になったということは、雀荘で客相手に麻雀の練習をするわけにもいかなくなったということ。そこでユキトは栗木さんの提案で、勉強会を開くことに。
顔の広い瓜子お姉さんの力で、ユキトの勉強会にはもうよく見知った顔の裏瀬レムの他に、プロ試験で同卓した下田まみ、5年目の先輩プロ・鬼月フミというメンツが集う。もはやギャルゲーである。棒太郎は隠し攻略対象ですか……?
同じ年代の仲間たちと卓を囲み、楽しい勉強会のひと時を過ごすユキト。「麻雀がいきあたりばったりすぎ」「実際ヘタ」というレム様からのマジレスにさえ目をつむれば……。
そして開幕したMピーク新シーズン。初日は早速前シーズン王者・東京アスラズが登場する試合である。アスラズ控室では第1戦を任されたヒナたんを応援すべく、モニターの前に監督・不二子を含めたチーム全員が……
……否、チームの空気にいまだ馴染めていないユキト以外の全員が集まっていた。自分の居場所はやっぱりここじゃない、勉強会のみんなと競い合う方が良い……そんなことを思いつつ、隅で小さくなっているユキト。
試合へのモチベーションを完全に失っているユキトであったが、高原から監督の目を盗んで今日のプランを告げられる。曰く、「ヒナがトップなら2戦目にはユキトを出す」──。
■新シーズン開幕日、注目の第1戦!!
激動のドラフトを経て新シーズンの開幕を迎えたプロ麻雀リーグ・Mピーク。否が応でも注目せざるをえない開幕初日は、東京アスラズ、東海マグマーズ、東北セサミンズ、大阪ウメダーズの対戦となった。
セサミンズから登板するのは選考大会では決勝で敗れながらもやはり実力を認められたか、無事Mピーク入りとなった人気ベテランプロ・大河男悟。
ウメダーズからはドラフト会議の司会中にサプライズ指名となった、試合解説でもよく知られた番組MC・南原渋彦。
開幕第1戦にしてMピークデビューとなる彼ら新規選手2名を、昨シーズンの王者であるアスラズ・愛田ヒナとかつては自分もIKUSAで優勝してドラフト指名を勝ち取ったマグマーズ・賀瀬大志が迎え撃つ形である。
今夜だけはトップを獲ってほしくないユキトの内心とは裏腹に、ヒナは幸先よく4000オールのチュモ!ツモからスタート。早くも波乱を予感させる幕開けに、実況のコバミサさん(仮)と月田さんことツッキー(多分)も放送席で盛り上がる。
「月田さん一局ごらんになって 各選手の立ち上がりいかがですか?」
「う~んやっぱり ヒナちゃんがいいなあ」
「あの笑顔♥」
そりゃ開幕戦でいきなり4000オールをツモれたら誰でもいい笑顔になりそうなものだが、愛田ヒナに限ってはそればかりが笑顔の理由じゃない。数々の大舞台に慣れていたハズの大河さんですらアスファルトみたいな顔色にしてしまうMピーク開幕式。つられてガチガチになりそうだったユキトの緊張をほぐしたのも、ヒナの屈託のない笑顔であった。
「ボクらはタレントじゃない ああいう舞台ではどうしても固くなる」
「それでもヒナだけはいつもとびっきりの笑顔を作るんだ」
現実のたかはるは最早タレントどころかおもしろYouTubeおじさんなのはされおき、ヒナの明るさは周囲への気配りの心から出ているものだとユキトに言って聞かせる高原。どんな時でもみんなに見せるいい笑顔、それこそが愛田ヒナのプロ精神のあらわれなのだ。
■DIVE TO LIVE!!
そして迎えたオーラス。ヒナはトップ目ながらも2着の渋彦とはひとアガリで逆転もある、予断を許さない状況だ。紋吉はヒナならトップを守り切れるというものの、なんだかんだで心の整理がまだついていないユキトはヒナの2着落ちをどうしても願ってしまう。
(そうだ…無事に出場回避出来たら監督にこっそり相談しよう)
(あと2週間くれたら調整してみせるから俺のデビュー戦待ってくれって…!)
情けないことをぐるぐる考え込んでいるユキトに「試合怖いならボクが出ようか?」と容赦ない煽りを入れる先輩としての頼もしい提案をする高原。曰く、「ユキトくんを1日でも早く出してあげて」と希望したのは他ならぬヒナなのだという。
……そう、Mピーカーとして指名された以上、いくら先延ばしにした所でいずれは試合に登板する日はやってくる。紋吉は「来年まで出すな」(つまり一生出すなってことだろ!!)と言ったみたいだけど、それだと出場試合数規定にひっかかってアスラズが大変なことになるから……。
意を決していつかはダイブしなければならないデビュー戦。それまでの飛び込み台の上でスタンバイし続けるような時間を長く過ごさせるよりは、いっそ思い切って初日にデビューさせてあげたい。そんな思いから、ヒナは「開幕戦で自分がトップなら、ご褒美として2戦目はユキトを出してほしい」と監督にかけあったのだ。
『来たあ!!』
『先にカン7索でテンパイを入れたのは北家の愛田!!』
首尾よく6巡目にテンパイすることができたヒナ。とはいえ打点もない愚形テンパイである。ツッキーいわく「無理はしない堅実な守備型」である彼女が、こんな手で手牌に蓋をするリーチをかけるわけがない。そう誰もが思ったが──。
「リーチ!!」
『愛田いったぁー!!』
観る者すべての度肝を抜くヒナの選択!! 神視点からは山3枚の手だが、同卓している3人の目線からはトップ目からの早いリーチである。これでは勝負にならないと。ラス目の賀瀬がここでオリて脱落。
そして現在3着の大河。ヒナのアガり牌である7索をツモってタンピンドラドラのイーシャンテン、取れば危険牌を押すことにはなるが勝負する価値のある手である……のだが。
『悩んで大河が選んだ牌は…あっ』
『ひとまず現物の7筒切り!!』
大河が選んだのはあまりにも消極的な一手。ヒナの気迫に押されたか!? 否、大河がリーチの一発目から勝負に行かなかった理由はそれだけではない。
(自分のチーム入りを歓迎してくれた大勢のファン達)
(長く待ちわびたMピーク開幕 そして期待した俺のデビュー戦)
(その熱狂をいきなり冷やすことはできない!!)
(今夜ラスだけはダメッ!!)
応援うちわやTシャツにとどまらず、キャラ弁やフェルト人形まで作って大河プロの活躍を待ち望んでいるセサミンズファン。大勢のファンから寄せられる期待は、巨漢・大河男悟の背中をしても気楽に負えないプレッシャーとなって圧し掛かる。
だが、それは何も大河に限った話ではない。ファンの視線、スポンサーの重圧、チームへの責任。個人で戦っていた頃は感じなかったこれらのプレッシャーに、Mピークの舞台に立った麻雀プロはみな等しく晒されることとなるのだ。
……そう、人前では笑顔を絶やさない愛田ヒナでさえも。
ラス目、3着はヒナのリーチに屈してオリを選択。しかし、2着目の南原渋彦は、先ほどの大河と同じような牌姿から押し返し、テンパイに向かう。
(ボクだって怖い)
(満貫放銃すればラス落ちになる)
(だけどボクはこの場所で)
(打てる喜びの方がまさってる!!)
自身とて麻雀プロの身でありながら、解説という立場でMピークに関わっていた渋彦プロ。一番近くで最高峰の戦いを見守りながら、そこで打っているのが自分ではないという現実に歯がゆい思いをし続けていたことだろう。
そんな彼が今、ようやく夢に見た舞台にたどり着いたのだ。怖さがまったくないというわけではない。だが、それ以上に嬉しい──。想いが天に通じたか、好形のテンパイを入れて南原渋彦、デビュー戦トップを賭けた追っかけリーチ!!
……某神域グラディウスの監督は、早く別の次元からこの人をスタンド能力で呼び出せるようにしといた方がいいんでないか???
■愛 FOR YOU
ヒナと渋彦による激しいめくり合いが始まる中、ヒナがいつも必死に笑顔を作る理由をユキトに語る高原。それは自分を奮い立たせるためではなく、自分の麻雀を観ている人々に「麻雀は楽しい」ということを伝えたいと願っているからだという。そして今夜、ヒナが一番それを伝えたいのは……。
「ようこそ怖くて楽しいMピークへ!」
「あれはお前に向けた笑顔だ」
飛び込み台の上で、デビューを怖がって震えているユキト。
そんな彼に「怖いだろうけど飛び込んで来い!!」と、ヒナは熱いメッセージを送り続けていたのだ。まだチームメンバーになった間もない、ひよっこの新人に。
地元ではだいたいクズ扱いされていたせいか、あとアスラズに入ってからもだいたい紋吉にクズ扱いされてるせいか(俺こういうの苦手なんだよォ~~~っ!!)と心の中で悲鳴を上げるユキト。固唾を飲んで、勝負の行方を見守らずにはいられなくなってしまう。
そしてヒナのツモ番。ツモってきた牌を確認したヒナの顔から、とうとう笑顔が消え──
「チュモ!」
今夜、一番大きな笑顔が咲いた。
会心のトップに、思わず紋吉とハイタッチを交わし歓声を上げるユキト。しかし、これで自身の2戦目登板は確定!! いや、今から監督に断れば回避できるかも……
『実は初戦トップを取れた時はチームメイトの誰を次に出すか 私が決めていいって監督と約束していたんです♥』
『さあここへダイブしてきなさい!!』
『ピヨピヨの新人クーン♥』
登 板 回 避 回 避
まさかの勝利者インタビューで登板を宣言されてしまい、引くに引けない状況になってしまったユキト!! 次回、いよいよ城丸雪兎Mピークデビュー!!
さて。気になるのは対戦相手だが……
さ、さや姉ω~~~~!?!?!?
絶対、見逃すな!!