「何者か」への一歩~『ピークアウト』第9話感想~
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■前回のピークアウトは!
レム様、”最強”っス……。
Mピーク選考大会・決勝の第2回戦は南場で大物手を和了した大河がトップ、ユキトはラスとなってしまった。
最終局で辛くも2着をもぎ取った金時は、ドラドラの手を鳴いて安手でアガったことをユキトから煽られるもスルー。……何を隠そうこの金時、決勝当日の朝に彼女であるアサリから妊娠を告げられていた。
動揺のあまりユキトにかまっている場合ではないのか何なのか、常に仏頂面の金時の内心は知れぬまま第3回戦が始まる。
細かいアガリでコツコツと点棒を積み重ねる金時。トップ目のままオーラスの親番を迎える。流局終了すれば金時のトップはほぼ決まりだが、2着目のレムから逆転を期したリーチが放たれる。
金時がオリきれるか、それともレムがツモるか……そんな勝負になるかと思われたが、最終打牌で金時が選択したのは危険牌を押してのテンパイ取りきり。
観戦している誰もが金時の内心を量りかねるそんな中、試合前のインタビューで金時が語った言葉が実況の口から告げられる。
家族ができたこと。その家族を養うために絶対にMピークに入ること。
そんな決意を胸に戦う金時の狙いは、自分がテンパイを取り切ることにより総合トップの大河を1人ノーテンでラスに沈めることだった。次局、ユキトの安手の仕掛けに阿吽の呼吸で差し込む金時。Mピーク選考大会は依然混戦模様のまま、最終戦を迎えるのであった──。
■2000 BY POINTS
Mピーク選考大会決勝戦も次が最終戦。自宅から対局を見守る霧子の携帯に、休憩中のユキトから電話がかかる。ふーん今回は霧子さん攻略ルートかぁ(悪くない)
ユキトの用件は、姉フラグを立てるためではなく生前の妹・リス子について。彼女は麻雀のルールを知っていたのか、もし知らないなら自分の試合を見ていても楽しいのかが気になったのだという。
『だって今 妹さんも見てると思うし』
『俺あいつ楽しませてあげたいんスよ』
姉フラグをベキベキにへし折ったと見せかけて逆にビンビンに立ててくる、玄人の所業である。
霧子曰く、リス子が生前に観た麻雀の試合は霧子の出た放送対局の1回のみ。しかもその対局で霧子は安手1回しか和了できなかったのだという。
しかしリス子は「サッカーはシュートしても1点しか入らないのに、お姉ちゃんは2000点も取った」と大はしゃぎだったそうな。ええ子や……。
それを聞いて安心したユキト、そしてアサリちゃんから突然電話越しに「ぶわ~~~か♡」と煽られる金時。それぞれの想いを胸に、最終戦が始まる。
■信頼のブランド BY URASE
Mピーク選考大会決勝・最終戦。起家はポイント状況的にかなりの大トップが必要な裏瀬レム。もうご都合主義でもいいからレム様がここから5憶万点トップとか取らないかな……。しかし配牌はドラの北が1枚あるだけのバラバラな手。
前話ではツモ裏条件の手で果敢にリーチを仕掛け、「裏裏セレブ」の看板に偽りなしという闘牌を魅せたレム。この局でもドラを重ね引いてのリーチを狙うのか!? と思いきや……。
「ポン!」
オタ風の西をイチ鳴き! これは明日のヤフーニュースになります。
レムの面前志向をよく知っている金時と大河は、この鳴きひとつで大物手を警戒。自由な手牌進行ができなくなってしまう。
「安い手では絶対に鳴かない」「西単騎」など、実在の麻雀プロにも自身の”ブランド”を持つ選手がいる(なんでや! 内川さん関係ないやろ!!!)(いやもう内川さんの西は十分なブランドだよ……)。
そしてそのブランドが、他家への効果的な威圧として機能しているシーンも、Mリーグではしばしば目にすることができる(やっぱり内川さんは関係ないかもしれない)(どっちかっつーとアレは異能の部類だから……)。
リーチが人一倍好きだということが知られている、「裏裏セレブ」ブランドだから機能する足止めの西ポン。高原星二曰く、「何者かになろうと自己アピールを続けてきた日々」の賜物である。
己の美貌に胡坐をかくことなく、自身の麻雀を絶えずアピールし続けてきたからこそ、人気女性プロとしての地位がある。
やっぱレム様、”最強”っス……!!!
……しかし、そんなレム様のブランド力を意にも介さず、ズバズバ字牌を切ってくる恥知らずな新人プロがいた!!
そう、城丸雪兎である。
萬子の染め手が匂うレムの河に対して萬子を連打、挙句の果てにはドラの北までリリース。よっぽど押す価値がある手なのか、それとも俺たちレム様親衛隊にボコされるのが怖くないのか、果たして開かれた手は……
「ツモォ 300 500!!」
タンヤオのみである。ユキトくん、屋上行こう!!
ニコニコ顔でレムの親を流したユキト。おめぇちょっと右見てみろよレム様がすっげぇ顔してっから……。
続く金時の親も役牌バックの2000点でユキトの和了。そして東3局では大河の親リーチを鳴いて1000点で蹴ってしまう。
……確認しておくが、ユキトは別に最終戦開始時点で総合ポイントがダントツでトップというわけでもない。むしろ優勝するためにはレムほどではないにしろ、ただのトップではなく大きなトップが必要な立場である。
困難な条件戦を前にヤケになっているのか? それとも……。
■STANDIN' BY…
「いる」
信じられないものを見る目でモニターを凝視する霧子。
その目には……
「今見えた」
「理須子」
「ユキトくんの後ろ」
試合会場でユキトの背後に立つ、死んだはずの妹の姿が映っていた。
そう、ユキトが打っていたのはヤケッぱちの麻雀でも若さゆえのイケイケ麻雀でもない。たった1000点でも点が入るのが楽しい、そう思って見ているであろうリス子を楽しませるための麻雀だったのだ。
……そして、リス子がちゃんとその麻雀を見守っている姿が……姉である霧子にだけは、はっきりと見えていた。
固唾を飲んでユキトの対局を見守る姉妹。
力強く肩を抱かれながら、リス子は姉に語り掛ける。
「お姉ちゃん」
「麻雀って」
「ドキドキするね」
親番のユキトは萬子のホンイツの仕掛け。それに対抗しようとする大河はユキトのドラ切りを見て安手だと判断し、萬子を切ってリーチ。しかし、開かれた手は今度こそ……
「12000」
ホンイツドラドラ! しかも前巡にドラを切り、18000点から打点を6000点下げて単騎から両面に待ち換えした上での打ち取りである。
麻雀プロとしては歩みを始めたばかり、まだまだまっさらな無名の新人である城丸雪兎。
しかし、ただの新人と甘く見てかかった大河をきっちり返り討ちにしてみせたユキトが、麻雀で見る人を魅了する「何者か」へと成長しつつあるのは確かだろう。
最終戦もいよいよ大詰め、優勝を掴み取るのはいったい誰だ……!?
■バイザウェイ(ところで)
いつの間にかコミックスの予約ページできてるじゃないですか! ヤッターッ!!
書影はまだだけど!!!
……というかちゃんと出ますよねコミックス!? 頼むぜカネポン……。
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