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自己想起の達人

たとえポジティブなものでも、大きな感情の波は苦手です。

自分が感じているにしろ、他人が表現しているにしろ。

怖いんです。

何か大切なものが壊れてしまう気がして、感覚をすべて閉じてしまいたくなる。



この神出鬼没な厄介者をどうにかできないか。

当時月謝制だった自分マスター道場を休学して感情攻略の旅に出たわたしは、『 Prayers Studio 』という小さな劇団に辿り着きます。

Prayers さんの舞台を初めて観た瞬間が、“芸術” に真に触れた瞬間になりました。

感情があるかぎり人間なんてクソ喰らえだと思っていたところに、度肝を抜かれました。

こんなに素晴らしいものがあるなら、世界はまだ生きるに値するかもしれない。



役者は、波動調整®︎講座で学ぶ「在る・観る・受け入れる・還元する」を分かりやすく体現する職人です。

役者が怒りに翻弄されてしまったら、怒る人を演じることはできません。

覚えた台詞を感情に乗せて発するだけでは、還元になりません。

何も言わなくても、しなくても、そこにただ在るだけで観客に伝えなくてはなりません。



役者の優れた演技力を支えているのは、徹底した「自己想起」です。

それから、よく人を「観察」しています。

みなさん総じてホスピタリティが高いのですが、優しさとか愛情とか人が好きとかコミュ力高い、とかそういうのじゃなくて。

全身で場を探っているから、相手がいま何を欲しているのか、自分はいま何をすべきなのかが、視える。

「外的考慮」の塊です。

そしてこれは彼ら最大の強みといって良いかもしれませんが、職業柄「負の感情を扱う」ことに長けている。



幼いころから自分には、自己想起のないまま情動に身を委ねている人が、本質から完全に切り離され、もはや人間でいることができなくなって魔境に落ちていく怪物、に見えたのかもしれません。

感情を宝石のように表現する Prayers さんは、そんなわたしの恐怖に向き合う機会を与えてくれました。

ワークショップでも、ドラマトライアルでも、たくさん、たくさんお世話になりました。

ドラマトライアルでは、観劇後に感想をシェアする時間があります。隣席のお客さんと。
全体でのシェア。
最後にキャスト、観客を含めた全員で記念撮影。




実に5年半ぶりの Prayers さんは、やっぱり Prayers さんでした。

次回公演は2024年春の予定だそう。

機会があればぜひ一度足を運んでいただきたい劇団です。

ちなみに Players ではなく Prayers です。

なぜ play(演じる)ではなく pray(祈る)なのかは、舞台をご覧になって確かめてください。



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