Prayers Studio 2023年11月公演 『14歳の国』
終演直後、震えが治まらない身体でやっと書き出した感想がこれだった。
ドラマトライアルにも参加するつもりでいたが、とてもそんな状態じゃない。
じつに5年半ぶりのPrayersさんは、やっぱりPrayersさんだったから、観劇の余韻と再会の喜びでわたしの内側は膨れ上がってしまい、けっきょく床に就くまで常態に戻らなかった。
これだけの破壊力を持った作品を、芸術と言わずして何と言うのだろう。
本物は人間の卑小な自我を打ちのめし、真実への風穴を開けてくれる。
「これが見たかったんですよね?」
サカイの最後の台詞は、自分という観客に向けられたものだった。
他の4人は皆なにかを抑圧していて、それを垣間見せながら辻褄が合わない言動を取り続け、観客を苛立たせる。
サカイはその不気味さで、役者と観客を含めた場全体のネガティブサイドを刺激する。
音楽室で執拗に繰り返される『Green Green』のピアノと、休憩中に流れる某事件のラジオニュースが、さらに追い打ちを掛ける。
ことが起こると同時に場が臨界点に達し、抑圧の蓋は粉々に砕けて飛び散った。
カタルシスの瞬間。
思考は「危ない」と訴え、先の展開も予測できるのに、身体は今か今かと張り詰めて、そのとき感じたのは間違いなく “快” だった。
心の闇を統合しなければ、人は本来の姿で生きられない。
それが上手く出来ないわたしたちは、大なり小なり自分を誤魔化しながら何とか “やっている” わけだが、いよいよ誤魔化せなくなって切羽詰まったとき、ある者はもがき苦しみながら生まれ変わることを選び、ある者は肉体を終わらせることを選ぶ。
道の分岐点は、どこにあるのだろう。
そもそも “誰” が選んでいるのか。
わたしは単なるPrayersファンなので、技術的な巧拙については言及しかねる。
けれど演劇とは、派手なストーリーで観客を興奮させるためではなく、真実を演じる役者が、いのちの躍動によって観客を感動させ、癒すためにあると思っている。
Prayersさんは、地道にそれを体現する小さなダイヤモンドのような劇団である。
Prayers Studio 公式サイト↓