オススメの落語家10人@2023
オススメの落語家をオススメします!
数年前に書いた記事。
数年経って柳家小三治師匠がなくなり、私の嗜好も多少変わったので、”今”オススメの人をリアルタイムで10人挙げてみます。
・春風亭一之輔
まさかの笑点メンバー入り!
メンバー候補に入っていて、円楽さんの代替メンバーとしても出演していましたが、まさか入るとは思っていませんでした。
理由は、現状の落語界においてトップレベルに売れっ子である人で、売れに売れている今の現状でわざわざ忙しさを増す仕事を受けるわけないよね、っていう単純な疑問があったから。
柳家喬太郎、柳家三三あたりと並んで落語界最強カテゴリーにいる実力者であり、45才という年齢の人を「若手」と言っていいのかはわかりませんが、定年もなくスポーツ選手のように若年者が活躍する世界でもなく、真打ち昇進まで15年くらいかかる世界に立つ人としては若手であるでしょうね。
多分ね、それこそ「落語」というと笑点しか知らない人達からすれば、「一之輔?だれ?」って話でしょうが、ちょっと落語を知っている人達からすれば、「え?一之輔がメンバーに入るの?」って驚かれるレベル。
サッカーで言えば、メッシやエンバペがJリーグに来るようなものです。
ちなみに、私は去年8回、今年(1月中)2回、落語を見にいきましたが、そのうち、一之輔師匠の落語を8席聞いています。
私が「いま1番好きで1番推している落語家」と言っていい人ですね。
笑点メンバー入りして顔が知られてメジャーになってチケットが取れなくなることを大変危惧しておりますw
・柳家三三
先年亡くなった人間国宝・柳家小三治師匠の弟子で、この人もファンだけでなく落語家からも「将来の人間国宝」と言われています。
基本的に古典落語を演じるわけですが、その芸の巧みさは本当に見事であり、何も見せていないはずなのに、彼が語るその世界の登場人物と光景がありありと浮かんできます。
この人も落語の世界を知らない人からするとマイナーだと思いますが、普段の喋りも毒舌でメチャクチャ面白く、近所のホールや寄席でこの人の名前があったら是非見てみてほしいですね。
今日、ここで挙げてる芸人さんはみんな大好きですが、私は時々ふと、「ああ、三三の落語が聞きてえなあ・・・」って気分になります。
笑いたいとか、楽しみたいとかって欲求とは違う、子守唄を求めるような感覚。そういう感覚を持つのは三三師匠だけです。
・柳家喬太郎
落語家からも、「落語界の宝」と言われる人。
古典落語の上手さはもちろん、新作落語の面白さ・素晴らしさも尋常ではなく、私はいつか喬太郎の「ハワイの雪」を生で聞けることを楽しみに落語会に通っています。
「猫屏風」なんかも、これ新作なの?昔話的な昔からあるものじゃないの?ってくらいに完成されています。スポティファイでも聴けますよ。
喬太郎の演じる子供はかわいいのだw
・桂宮治
真打ちになる前の修行期間、「あまりにも面白くて、こいつのあとにやるのはイヤだから」って理由であまり先輩落語家に使ってもらえなかったという逸話すら持つ男。
使ってくれたのは春風亭一之輔ほか数名だったらしい。
真打ちになって数年ですが、私がこれまでに見てきた落語家の中ではトップクラスに華があります。
出来てきた瞬間に会場の温度が上がる。
笑点メンバーになって世間的な知名度が上がりましたが落語の実力も見事であり、大体毎回、彼の落語を聞いた観客はひーひー笑ってます。
私は宮治の落語会が近くであれば、必ずチケットを取ります。
・春風亭昇太
笑点の司会で落語芸術協会会長。テレビでも活躍する有名人ですが、落語も大変おもしろいです。
その芸風そのままの「軽さ」が落語にも見事に出ていて楽しいですね。
↓↓↓メチャクチャ面白い落語論。
・立川志の輔
多分、笑点に出ていない落語家で最も有名な人でしょうね。
立川談志の弟子として、最強レベルの実力を持った落語家であり、古典と共に新作も抜群で、自らが作った「歓喜の歌」という落語は映画にまでなりました。
彼の作った「みどりの窓口」という新作落語は、落語を知らない人からすると「こんな落語もあるのか~~!」って思うような愉快なものですが、時代が早く変わりすぎていて、物語の設定が最近の子供にはよくわからないものになりつつあるのが面白いですw
・立川談春
この人も、落語家としては1番有名なカテゴリーに入る人ですね。
古典一本で勝負する人であるわけですが、噺が古臭いわけでは全くなく、去年行った落語会での「死神」「井戸の茶碗」は本当に見事でしたね。
落語の面白さと怖さは、「みな同じ演目をやるのに、演る人によってメチャクチャ面白くて感動するのに、演る人によっては聞くに堪えないクソ話になってしまう」ってところにありますね。
死神っていう有名な演目は多くの人が演じ、その人なりの味を出すものであるわけですが、談春さんの死神は「死と生」を思わずにはいられない本当に見事なお話でした。
・桃月庵白酒
私が1番最初に落語を聞きに行ったのは2015年で、ただ単に「近くのホールに人間国宝の柳家小三治が来るから行ってみるか」って思って行ったものでした。
が、そこで出てきた白酒さんの「真田小僧」をいうこまっしゃくれた子供が出てくる話に爆笑し、「は?落語ってこんなにオモロイの?」って衝撃を受けましたね。
その後に出てきたじいさん落語家2人は、小学校の校長と教頭の話かよ!ってレベルで退屈だったので、余計にその話芸の巧みさの光と影が見えた思い出。
この人も大変な売れっ子であり、「落語を聞いて面白くないと思った人は、この人を試してから判断して欲しい」っていうフィルターになるであろう素晴らしい落語家さんです。
・神田伯山
「オススメの落語家」と書いて講談師を挙げるのはどうかと思うわけですが、多分、私を含め落語にそんなに詳しくない人からすると同じカテゴリーにいる人だと思うので勘弁してください。
この人もテレビ的にメジャーな人であるわけですが、講談という芸は私からすると「ああ、なんか女性がやってる昔の古い芸でしょ・・・?」ってくらいのイメージしか持ってなかったオワコン芸に光を当てた、講談界の中興の祖と言って良いレベルの芸人です。
講談は、テレビでたまに取り上げられると、「古くせえことを古くせえ形でやってるなあ。こんなもん何が面白くてわざわざカネを払って聞きにいくんだよ?」ってことしか思ってなかったんですが、この神田伯山のやる講談は数分聞いただけで聞き入ってしまって、続きを聞きたくてしょうがない思いにさせてくれます。
講談は本当に消えてなくなる芸になりかけていた演芸で、少し前まで男性の真打ちが30年も出なかったってレベルの世界であるわけですが、彼の登場と活躍によって盛大に光が当たり、すでに3人の男性の弟子を抱えているそうです。
彼の芸は本当にリズムとテンポが良く口跡も爽やかであり、毒の聞いた喋りも素晴らしく面白いので、是非聞いてみることをオススメします。
・玉川太福
この方も落語ではなく「浪曲」の方ですが。
講談と同じくオワコン化していた浪曲に光を当てたもう1人の中興の祖になるであろう人。
昔ながらの「古臭い」と思われがちな古典もやるわけですが、「男はつらいよ」っていう寅さんの映画を浪曲にしたものや、全くオリジナルな浪曲もやったりします。
私がついこの前聞いた浪曲は、「昼飯時におっさん2人が弁当のおかずを交換する」っていう「なんじゃそりゃ?」っていうお話でしたが、その日1番笑いました。
R-1出たら間違いなく優勝ですね。
「じいさんばあさんが聞いてるよくわからない古臭い芸」っていう固定観念をぶっとばして聞いてみることをおすすめします。ガチでおもろいので。
というわけで、落語家8人+講談師+浪曲師を10人挙げてみましたが、皆さん、それぞれなりの推しを見つけてください!
落語っていう演芸は、手軽に手の届くような小さいホールで見に行くことの出来る「会いに行けるおっさん」芸であり、10年、20年、30年単位で推し芸人と一緒に人生を歩んでいけるという大変希少で貴重なものです。
まさか私もこんなにハマると思いませんでしたが、それほどまでに魅力のある素晴らしい芸です。
もちろん、「みんな面白い」ってことは全くなく、クッソつまらない、カネなんか取って出てくるんじゃねえ、このクソじじいが!って人もたくさんいますが、ここに挙げたような芸人さんは本当に見事な芸をお持ちですので、是非、1回くらいは落語会にチャレンジしてみてください。
youtubeやSpotifyでも全然聞けるしね~。