冬の明暗【市原、鴨川、ニッパツ】
石巻市フットボール場へ
2024年11月23日から24日。
WEリーグや県新人戦なども重なりましたが、この土日は前から行く事に決めていた、皇后杯2回戦の観戦に宮城県へ。
23日の会場、石巻市フットボール場(セイホクパーク石巻内)に向かうのは、4年振り2度目。当時の模様は上記リンクで詳しく書いてますが、2試合目の群馬FCホワイトスターvsバニーズ京都SCでは、途中みぞれが降ってきて命の危険を感じるほど寒かったり、この試合の数日後に両チームの統合(実質、群馬による京都の吸収合併というか名義買い。これによって翌年からなでしこ2部への参戦となったり、この年以降の財政不安の原因という噂もあった)が発表されたのもあって思い出深い場所です。
今年は無茶はせず、金曜日夜に移動して0時前にチェックインして福島市で宿泊。翌朝、再び車で移動して石巻市フットボール場に余裕を持って到着出来ました。
VONDS市原FCレディースvsマイナビ仙台レディースユース
2024年11月23日、石巻市フットボール場を会場に、
皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会 2回戦
VONDS市原FCレディースvsマイナビ仙台レディースユース
の試合が、10時30分キックオフで開催されました。
試合前
前回Jヴィレッジで観戦した市原の試合、入替戦予選の南葛戦では、前後の試合に出場していた関係もありプレーを見ることができなかった大河内友貴選手と上田莉帆選手(共に元AC長野パルセイロレディース)、この試合は2人とも先発。
市原のフラッグ、横断幕、スタメン。
仙台ユースのフラッグ、横断幕、スタメン。
長野在籍時にも人気のあった2人。
大河内選手は引退後1年のブランク、上田選手は昨シーズン長野で出場機会が少なかった中での夏移籍でしたが、試合をこなすにつれ実力を取り戻しつつあるように見えます。
円陣解散後、GKと3バックのみでうぇーい。
前半
かなり激しめのファールで倒された上田選手。
福岡との入替戦本選を観戦された方からも「だいぶ削られてた」という話を聞いていた上田選手。長野の頃も最前線で体を張って、ラインを割りそうなボールにもスライディングで取りに行き、相手のフィードもブロック。そんな全力プレースタイルはこの日も健在でした。
仙台ユースの選手は未成年確定なので、顔は隠しておきます。
15分過ぎた頃。
大河内選手と仙台のFW18番に掴まれて思いっきり振り払ったり激しくやってんなと思ってたら、ヘディングの競り合いで後ろから激突され、仙台18番には警告。相手を見ないで(先にヘディングしたのは大河内選手で、そこに後から当たられた)飛んだか、イライラしていたか・・・。危険なプレーでした。
2人ともタンカには乗らず、自力で外に出てまたピッチに戻ったものの、大河内選手は数分後にヒザがガクッとなる瞬間があったりで、大事をとって23分に途中交代となりました。
この後、市原は仙台ユースに押し込まれる時間帯が続いたものの、中盤からも守備に回り何とか失点は回避。
徐々に市原も流れを取り戻し、一進一退となっていた41分。
FKから最後は市原の9番西山皐月選手が決めて、市原が先制。
実は西山選手、私が4年前にここに来た時の第一試合、流通経済大学vsノルディーア北海道の試合でも流経大FWとして先発していた選手。4年後にゴールが見られるとは不思議な感覚です。
直後に仙台ユースも反撃。強烈なミドルは市原のGK中村選手が弾いて上へ。
再び一進一退の攻防が続く中の前半アディショナルタイム。
上田選手のループシュートが鮮やかに決まり、市原に追加点。
喜びの輪がほどけると、ずっこけていたりぽぽ笑。らしいっちゃらしい。
再開直後に前半終了。市原が2-0リードで折り返します。
後半
後半は、一進一退ではあるものの仙台ユースが押し気味。体格差で勝る選手のパワー押しやミドルで圧力を高めます。
仙台ユース最大のチャンス、市原最大のピンチとなった場面では、GK中村選手がこの強烈なシュートを弾かずキャッチ。ここで2-1になっていたら全く違う展開になっていたはずで、ゴールに匹敵するスーパーセーブでした。
66分、市原は井上選手の右からのクロスを西山選手が繋ぎ、最後は松本歩音選手が飛び込み、試合を決める3点目。
中盤でキープしながらマルセイユルーレ…いや、りぽぽルーレット。
この日の上田選手は、ループシュートやこのルーレットに加え、後半に斜めに抜けるスルーパスで味方の裏抜けを何度も演出しており、テクニックでも魅せてくれました。
仙台ユースは、攻めるものの市原の壁をなかなか越えられず。
この試合、市原のシュート7本に対し仙台ユースは13本と倍近いシュートを放っていました。
このまま試合は動かず、3-0で市原が勝利しました。
試合終了後
キャプテン西山選手の挨拶は、勝ったけど反省点も多いというもの。
確かに完封はしたものの、シュートを多く打たれたのも事実。
ま、それでも勝利、3-0の快勝。
3枚目は、リザーブGKに入っていた大久保佑菜選手(松商学園→国際武道大学)も一緒に。お疲れ様でした~。次の試合も楽しみです。
オルカ鴨川FCvs神奈川大学
2024年11月23日、石巻市フットボール場を会場に、
皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会 2回戦
オルカ鴨川FCvs神奈川大学
の試合が、13時30分キックオフで開催されました。
試合前
この日2試合目も同じ会場で午後の部。
13時30分キックオフでオルカ鴨川FCvs神奈川大学。
鴨川は何人も応援している選手がいるチームではありますが、一番のお目当ては長野に縁のある古舘選手と北沢選手。が、二人ともいなーい。残念。
それだけではなく、鴨川の控えがGKの横山選手を含め4人しかいない。え、マイクロバスで来たの?なでしこ1部所属の上に、国際武道大学と提携していて選手枠が埋まらないなんてことは有り得ないチーム。どうなってんの。舐めプだとしたら余計に有り得ない。
神奈川大学は、横断幕の通り全力で鴨川に立ち向かいます。
※大学チームは全員成人なので、顔の加工は基本しません。
前半
特に前半の時間帯、日差しが強いと鴨川(画面左から右側を向いた時)にとってボールが見づらい状態でした。
開始早々の4分。
神大のコーナーに競りに行った数人は誰も触れずボールは神大11番唐沢選手の元へ。記録では、シュートを鴨川の選手がクリアしようとして味方に当ててのオウンゴールで神大が先制。
いきなりの失点で、リーグ戦でも得点力不足に苦しんだ鴨川にとっては厳しい展開に。まだ時間がたっぷり残っていることが救い。
21分。
神大がサイドを攻略しクロス。中で合わせた神大9番鈴木選手のシュートは、ループっぽい軌道となりゴールへ吸い込まれました。
上手く回っているチームと回っていないチームの差が、カメラ越しの表情からも伝わってくるようでした。
それにしても背が高い、神大の鈴木選手。
風間ちゃん(AC長野パルセイロレディースGK。元FW、175cm)がフィールドプレイヤー(FP)やってる時みたいだなと思ったら、それより高い177cm。現在のなでしこリーグFPの最長身は多分伊賀のノ・ヒョヨン選手(178cm)だと思うのですが、ほぼ同じ。相手ゴールキック時や試合展開によってはボランチの位置まで下がっていて、高さが効いていました。
鴨川にとっては、非常に厳しい追加失点。
前半はこのまま0-2で終了。
後半
後半から、鴨川は高村選手と並木選手を下げ、近藤選手と松尾美月選手を投入、攻撃的な布陣に。
52分。
河野選手のドリブルから松尾美月選手、高塚選手と繋ぎ最後は齊藤選手が決め、鴨川が1点返します。
得点やアシストは付かなかったものの、試合を通して鴨川の脅威となり続けた神大7番のオーライリー詩奈選手。速さ、技術に加え高さもあり、卒業後どこに行くんだろうななんて公式パンフレットを見たら、まだ1年生。
自分の交代ボードが数分前から用意されてるのを知っていて、交代を主審が告げようとしたらもう出ていた鈴木選手笑
鴨川にも同点に迫るシーンは何度かありましたが、神大が守り切って勝利。
試合終了後
神奈川大学にとっては、してやったりの逃げ切り勝ち。1点差にされても慌てる時間は少なく、時折見せる鋭いカウンターは見ていて痛快なものがありました。
一方のオルカ鴨川FC。不可解な少人数遠征に加え、開始早々のオウンゴールや簡単にサイドを崩されての失点と、今シーズンの集大成(悪い方)を見せられた思いでした。昨年の優勝セレモニーでは会長が「WEリーグ参入も見据えて」なんて言ってたけど、クラブ創立10年での優勝で燃え尽きちゃったのかなあ。
移動・宿泊
石巻から、来た道を戻る形で高速を飛ばし、福島県郡山市へ。ここで2泊目。
行こうとしていた街中華が駐車場満杯で入れず。仕方なく、ここまで来て吉牛のディナー。大盛りが700円弱とか、デフレ真っ只中を生きたおっさんには信じられん・・・。
ニッパツ横浜FCシーガルズvsディアヴォロッソ広島
2024年11月24日、栃木県グリーンスタジアムを会場に、
皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会 2回戦
ニッパツ横浜FCシーガルズvsディアヴォロッソ広島
の試合が、11時キックオフで開催されました。
試合前
高速を飛ばし、順調に現地まで。駐車場が少ないことが予告されていましたが、開門30分前ということもありまだまだ余裕はありました。外周を回り入場口へ。開門後はスムーズにど真ん中の席に座れました。栃木県グリーンスタジアムは初めてだったんですが、少しピッチと客席の段差が大きいのを除けば球技専用だしスクリーンは大きいし、晴れてればなかなか良いスタジアム。
ニッパツは昨年のベストイレブン浦島選手、2年連続ベストイレブンでチームの大黒柱小須田選手が不在。広島も唯一知ってた向井選手が不在。一番知っているのは元長野のGK新井選手。
両チームのスタメン・リザーブ、ボールパーソン紹介。
前半
基本、上位カテゴリーのニッパツが押す展開。広島も中央のブロックを厚く守って0-0の時間が続きました。
13分頃、広島にも決定機。
左サイドからの高速クロスに18原田選手が中央でヘディングシュートを放つもゴールの上。
25分、広島の24前田選手がカウンターで右サイドを攻略し、手前にいた19栂(とが)選手にパス。
ダイレクトで撃った最初の強烈なシュートはゴールの角に当たって跳ね返りますが、栂選手が再び強烈なシュート。一度目で体勢を崩していたこともありニッパツGK新井選手も止められず、ボールは逆サイドに突き刺さりました。
前日の神奈川大学に続き、カテゴリーが上のチームに対し先制。
そして前日の鈴木選手と同じく、長身選手の活躍。栂選手はガイドブックを見ると178cm。なでしこリーグ2部の最長身フィールドプレイヤーかも。長身と強烈なシュートが武器のFWだとヨン・カリューを想起させてくれます(例えが古くてすいません)。
均衡が崩れ、1点ビハインドのニッパツは明らかにテンポを上げ攻め込む時間が多くなりました。右からのクロスに7蔵田選手が飛び込んだ場面は、ポストに当たってゴールならず。
ニッパツ8室井選手がサイド突破からニア上を狙ったシュートは、広島GK1湯浅選手が弾き出しコーナーに。
42分、長く続くニッパツの攻撃に多くの選手がエリア近くに押し込まれていた広島、室井選手のクロスへの対応にハンドの判定。ニッパツにPKが与えられます。
これをニッパツ11河野選手が冷静に決めて1-1の同点に。
広島としてはあと数分耐えて1点リードでハーフタイムに入りたかっただけに、痛恨の失点。
前半はこのまま1-1の同点で終了。
ハーフタイム明け、ニッパツは6權野選手に代えて、18松本選手。
笑顔が目立つ広島の選手たち。上のカテゴリーの準優勝チーム相手に、リードしたり同点で経過してる時間はサッカー楽しくて仕方ないんだろうなあ。なんて思いながら見てました。
ディアヴォロッソ広島は2年前に公式HPが突然通販ページになったり、公式SNSが終了を発表したり不穏な状態(母体会社が撤退→地域の複数が支えるチームに移行?)でしたが、今の選手は多分全員がそれ以降に加入した選手。新生ディアヴォロッソ広島は(というか旧も含め)初めて見たチームでしたが、良いサッカーをしてました。あと、独りでゴール裏から応援してた人の声量も凄かった。
後半
ニッパツが攻め、広島が守ってカウンターという構図は変わらず。
広島は良く守っていましたが、徐々にカウンター発動時のパスコースが読まれ始め、たまにFKのチャンスがあるのみになっていきました。
56分、広島の28和田選手に警告。
ニッパツの室井選手が前半はほぼ右固定だったのに対し、後半は左右中央と色々な局面に顔を出すようになり、広島は手を焼いていました。
久々のカウンター、栂選手がエリア外からループを狙うもこれは枠外。
ゴール前のこぼれ球をニッパツ11河野選手がダイレクトで狙うも、ゴールネットの外。この辺りの時間帯はニッパツが決定機を複数作り出し、そろそろ広島の守備も厳しくなってきたように見えました。
62分、ニッパツは河野選手に代えて13岡選手を投入。
後で知ったんですが岡選手はケガからのリハビリを経て5ヶ月ぶりの公式戦出場。前にニッパツの試合を観た時に室井選手が復帰戦なんて話もありましたが、ケガ人多いのかな・・・。
64分、その岡選手が大仕事。
こちらも交代出場の松本選手からカウンター始動、右サイドの岡選手へパス。岡選手がエリア外から右足を振り抜くと、鋭いシュートは逆サイドネットに突き刺さりました。
自らの復帰を祝う岡選手のゴールに、チームメイトも歓喜の輪。
広島としては、ここまで踏ん張っていたものの遂に逆転を許してしまいました。
逆転ゴールの余韻が残る66分。
ニッパツは田村選手→吉田選手と繋ぎ、再び右サイドの岡選手にスルーパス。
今度はエリア内までドリブルで持ち込みシュート。これが再び決まり、ニッパツがリードを拡げます。
岡選手、62分にピッチに入って4分で、逆転ゴールを含む2ゴール。
広島は、やはり前半追い付かれたのが痛恨だった・・・。
それでも良く耐えていましたが、交代選手とポジションチェンジに対応しきれなかったか。
広島も先ずは反撃の1点を目指しますが、ニッパツの守りを突破出来ず。
この試合の入場者数は270人。お日柄も良く、昨日の石巻(161人、125人)に比べれば場所も関東に近くニッパツサポさんが多く来場していた為、まずまず。ただ、もうちょい来て欲しいなあ。皇后杯は2回戦3回戦が一番面白いのに。
77分、ニッパツの直接FK。
16奈良選手が左から上げたクロスは、逆サイドの25神水流選手の元へ。
神水流選手の右足の折り返しはシュート気味になりGKが弾きますが、逆サイドで待っていた室井選手がこれを流し込み、ニッパツがダメ押しの4点目。
ゴールが決まったところで、室井選手は御役御免。
その後は両チーム交代出場した選手も奮闘しましたが、スコアは変わらず4-1でニッパツが広島に勝利しました。
試合終了後
敗れはしたものの、ニッパツ相手に後半途中まで同点だったディアヴォロッソ広島。ニッパツゴール裏への挨拶では、対戦相手のニッパツサポーターさんたちから大きな拍手が送られていました。
広島は続けて、メインスタンドの左右にそれぞれ挨拶。
まだ出て来ないWEリーグのチームを除いたほとんどのチームは、この皇后杯で負けた時点でシーズン終了。引退や移籍、退団などがあり、このチームで戦うのは最後となります。初めて見た私が偉そうに言うのも何ですが、良い試合、良い終わりだったと思いました。
ニッパツは、ゴール裏に向かって勝利のラインダンス。
だったんですが、次の試合をする大和シルフィードの選手が出てきた為、練習準備を邪魔しないようにラインダンスしながら全員で後ろに下がっていく器用さを披露笑。
ディアヴォロッソ広島のメンバーは、最後にゴール裏へ。
ゴール裏で独り戦い抜いた、という表現よりは、某長野育成応援の神様が良く言う「共に戦う」を貫いた仲間に、御礼の挨拶。お疲れ様でした。
本当は、次の試合(大和シルフィードvs岡山湯郷Belle)も見たかったけど、諸事情ありこれにて帰宅の途に。
2日間で3試合。応援選手のゴールあり、応援選手いなかったりと悲喜こもごもでしたが、観戦した3試合はそれぞれ見所のある好試合でした。