特集【なで1MVP記念】鈴木陽選手
2023年なでしこリーグ表彰式が10月25日に行われました。
2023なでしこリーグ1部MVPは、鈴木陽選手が選ばれました。
私も含め、長野時代から応援している人たち(私は22試合中15試合現地観戦。全試合観戦した方もいます)にとっても、大きな喜びでした。
で、SNSやネットで検索してみると、鈴木陽選手とはどんな選手なのか通しで見られる記事ってないなあと感じました。ないなら自分で作るかということで、MVP受賞までの歩みを振り返ってみます。
2016年
この年、AC長野パルセイロレディースは昇格初年度ながら3位と大躍進。
その裏で、次世代の主力として本田美登里監督(当時)が目を付けたのが鈴木陽選手でした。その辺の事情は、上記インタビュー記事に詳しく書かれています。
リフティング2,000回もこなす技術、長身、この年で既に海外を経験しているという度胸。当時のパルセイロレディースにはいないタイプのFWだったこともあり、長野が将来の大器を確保しました。
2017年
第16節、Aエルフェン戦
2017年4月に、途中出場でなでしこリーグデビュー。
その後、ケガなどもあって離脱していましたが、9月24日のエルフェン戦に途中出場で戦線復帰。
たまたまこの日、私は仕事がキャンセルになり休みに。じゃあ行ってみるかと思い立ち、パルセイロレディースのアウェー試合に初めて行きました。少し暑さの残る川越運動公園。恐らくこの試合が、初めて鈴木陽選手のプレーを見た日だと思います。懐かしいなあ。
第17節、Hノジマステラ戦
この日も途中出場。チームは3-0で勝利し、僅かに残っていた入替戦の可能性を排除し残留確定(最終順位は6位)。
皇后杯
当時は現在より皇后杯の日程が早く、パルセイロレディースは11月の2回戦から毎週試合。2回戦のバニーズ京都SC戦で鈴木陽選手は多分公式戦初先発。3回戦の常盤木学園戦では初ゴールも決めました。
パル感2017
この年はシーズン終了後の12月に男女チーム合同で行われたファン感謝祭。
このイベントが年内最後のチーム揃い踏みでした。
2018年
開幕前
第2節、Hベレーザ戦
アウェーの開幕節はリザーブで出番なし。
迎えたホーム開幕戦、相手はベレーザ。後半途中から出場した鈴木陽選手のパスを國澤選手がロングシュート。これが決まり長野が開幕2連勝。なでしこリーグでの初アシストとなりました。
第4節、Hセレッソレディース戦
この日の鈴木陽選手は試合前練習から絶好調で、得点の予感がありました。
試合は15分に齊藤選手(現ヴィアマテラス宮崎、2023なでしこ2部MVP&得点王)のゴールで先制すると、前半に鈴木陽選手がなでしこリーグ初ゴール。勢いは止まらず、後半にも2得点を決めハットトリックを達成しました。
U20代表
5月のハットトリックに加え、6月にもリーグ戦とリーグカップで各1得点。
カップ戦の合間にはU20女子代表のイングランド遠征にも参加。さあいよいよ7月開幕のU20ワールドカップinフランスに向けて意気上がる中、大会メンバー発表直後に突然のメンバー変更。鈴木陽選手の離脱が発表されました。膝のケガ。当時、シーズン中の復帰は難しく、来シーズンの開幕を目指すという情報が発表されました。
J3の長野パルセイロ、そしてU20女子代表が、鈴木陽選手を励ましました。
復帰を目指して
夏以降は、リハビリと並行してチームに帯同し、ファンサやイベントでのPR活動も。鈴木陽人気を見込んで、最終戦には試合前に一緒に写真が撮れるなどの特典付き「はるひシート(テラス席)」が売り出されました。
佐久陸での皇后杯では、運営補助をやってくれたチームの女の子が試合終了後のファンサに。鈴木陽選手にサインを貰う前から泣き出して、チームメイトはゲラゲラ笑ってましたが、この頃から既に人気選手でした。翌年はUスタにも来てくれたけど、元気かなあ。
2019年
春先
まだケガのリハビリが続いていましたが、新シーズンは背番号が23から9へと変更。
5月のホーム、ベレーザ戦で試合復帰したんですが私は見に行かれず。で、次の週のリーグカップ、アウェー日体大戦に行きました。
リーグカップ第3節、A日体大戦
5月だけどかなり暑かったこの試合、長野は先発に10代の選手を鈴木陽選手含め6人起用。試合は鈴木陽選手のアシストで滝川選手(現、アルビレディース)が決めて1-0勝利でした。この試合はエースの横山選手が代表で不在だったこともあり、鈴木陽選手が直接FKを蹴るという珍しい場面も。カーブを掛けたシュートは惜しくもポスト直撃でした。
試合後には、日体大の先発GKで昨年のU20女子代表で一緒だった福田まい選手(現在はスペインでプレー)と談笑。
リーグカップ第6節、Hベレーザ戦
結果的に1-5と大敗したものの、鈴木陽選手は0-2の35分に前線での守備で相手GKのミスを誘発しゴール。自身にとって復帰後初、約1年ぶりのゴールを記録しました。
第13節、A日体大戦
9月にリーグ戦が再開するも3連敗。降格争いの直接のライバルで勝ち点を競っていた日体大とのアウェーゲーム。
この試合で鈴木陽選手は2得点。チームも3-0で快勝し1部残留に望みを繋げました。
パルセイロレディースに吹く逆風
2019年10月12日土曜日から13日日曜日に起きた、台風19号による被害。
長野市に本拠を置くパルセイロレディースは、練習拠点のリバーフロントが水没。被害が少なかったエリアで練習場を転々とする日々に加え、恐らく選手の住居エリアも停電や断水など影響はあったでしょうし、直後の数週間は交通もかなりマヒ。私もボランティアを終え、長野市から出るまでに2時間以上かかり、普段なら1時間半ほどで着く自宅まで3時間かかることもありました。
3連休の最終日、14日月曜に行われる予定だった試合は10月30日水曜日に延期。仕方ない事とはいえ、19日にAジェフ戦、27日にAベレーザ戦、30日にH仙台戦、2日にHノジマ戦と、最終節までの日程がかなり過酷になりました。この状態で勝てる要素も無く、3連敗で最終節を迎えることに。
第18節Hノジマ戦
1-1で迎えた70分、鈴木陽選手のヘディングゴールが決まり、長野が2-1と勝ち越してそのまま試合終了。
パルセイロレディースの最終順位は9位となり、1部残留を賭けて、2部準優勝したセレッソ大阪堺レディースとのプレーオフを行うことになりました。
プレーオフ
11月10日にJグリーン堺で行われた第1戦はスコアレスドロー。
11月16日に長野で行われた第2戦。
前半ロスタイムに鈴木陽選手のヘディングゴールで先制するものの、後半痛恨の失点。1-1で試合は終わり、2引き分けながらアウェーゴール差で長野は降格。
皇后杯
皇后杯初戦、なぜか鈴木陽選手はスタメンを外れましたが、途中出場からの2得点でチームを3-1の勝利に導きました。
藤枝での日体大との次戦、またも鈴木陽選手はスタメンではなく途中出場。シーズン最悪と評した人もいたくらい散々な出来だった長野は1-2で敗戦。2019シーズンが終わりました。
シーズン終了後
長年チームを率いた本田監督をはじめ多くの選手が退団する中、鈴木陽選手も海外移籍を念頭にした退団が発表されました。
2020年-2021年
最近色々な記事やブログで触れられている通り、鈴木陽選手はセリエA(イタリアSerie A Femminile)移籍を目指していました。しかし、新型コロナウイルスが状況を一変させてしまいました。
所属先も決まらず1年以上が過ぎた中、なでしこリーグ1部のクラブへの加入が突如発表されました。
11試合で3勝3分け5敗、6得点と攻撃力不足に苦しんでいたオルカ鴨川FC。
加入発表の8日後、名古屋戦に加入後初出場・初先発・フル出場。1-2で敗れはしましたが先制点の起点となりました。
第13節、H大和戦
加入2戦目、袖ヶ浦市で行われた大和シルフィードとの試合。
こちらはハイライト動画を見てもらえれば、凄さが分かると思います。
DFにブロックされたままで右足でのボレーシュート。
ペナルティアーク手前からの強烈なシュート。
実況が「まさにエースがやって来た!そんなゴールです鈴木陽!!」と言う通り、鴨川の攻撃力はこれで大丈夫だと思った人も多かったと思います。
しかし、夏が終わりなでしこリーグが再開した時、鴨川のメンバーに鈴木陽選手はいませんでした。8月の練習中の左ひざ前十字じん帯断裂。2021年は4試合2得点でした。
2022年
背番号が11番となり、迎えた2022年。
なでしこリーグの公式ガイドブックにもキープレーヤーとして写真付きで掲載されるなど注目されました(それだけ昨年のゴールのインパクトが強かった)が、2022年、鈴木陽選手が公式戦に出場することはありませんでした。
オルカ鴨川FCはケガ情報などを公式に出さないので当時は分からなかったのですが、今回のMVP獲得後のスポニチ記事では、この年に再度同じケガをしたことが書かれています。
2023年
捲土重来を期した2023年。
「優勝、2桁得点、怪我をしない」を今シーズンの目標に掲げ、その全てを達成しました。
チーム成績:優勝
出場時間:1,865分(22試合全てに出場、21先発)
得点:12(ランク2位)
シュート数:78(ランク1位)
1部MVP、ベストイレブン受賞
細かい話は、上のリンクから各記事を見てください。
ここからは写真のみで、2023年なでしこリーグの鈴木陽選手を振り返ります。
開幕節、H群馬戦
第3節、A世田谷戦
第7節、A伊賀戦
第9節、H大阪戦
第10節、Aニッパツ戦
第11節、H愛媛戦
第12節、H世田谷戦
第13節、A日体大戦
第14節、Hハリマ戦
第15節、A名古屋戦
第16節、H伊賀戦
第18節、A大阪戦
第19節、Hニッパツ戦
第21節、H静岡戦
最終戦、A群馬戦
初めてのケガなく走り抜いたシーズン。
途中大変な時期、辛い時期もあったけど、結果はとてつもなく大きなものでした。
先ずはお疲れ様でした。皇后杯もケガなく乗り切れますように。
オルカ鴨川FC様、MVP受賞記念グッズの販売、待ってますよ。