藤枝の熱戦(皇后杯4回戦)
はじめに
この記事を公開する頃には、皇后杯の5回戦が終わっていると思います。師走の忙しさでnoteを書く余裕もなく、1週間以上前の試合を今頃お伝えすることを申し訳なく思います。ただ、この2試合はアーカイブとして残し、後で検索して見てもらえるようにしておきたいと思います。
そして、私事で恐縮ですが、今回の会場藤枝総合運動公園サッカー場に来るのは2回目。前回は5年前の皇后杯でした。
思い出したくもない2019シーズン最悪の試合。少し前に2部降格が決まり、本田監督を含めた退団も恐らく大多数が決まっていて、モチベーションを保てなかったんでしょうが、それにしても酷かった(詳しく知りたい方は当時の記事でどうぞ)。
今回は長野の応援ではないですが、2試合4チームの内、宮崎・世田谷・市原には元パルセイロレディース選手が所属、そして静岡は元パルセイロレディースの本田監督と因縁深い組合せ。
(元長野が多いので、長野からこの日応援に行った人が数人笑)
可能なら5年前の酷い記憶を良い試合で上書きしてもらいたいなんて思いながら、当日朝に車を走らせ3時間半くらい。単線の自動車専用道路で遅い車に引っ掛かり、現地に到着した頃には第1試合が始まっていました。
ヴィアマテラス宮崎vsスフィーダ世田谷FC
2024年12月8日、藤枝総合運動公園サッカー場を会場に、
皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会 4回戦
ヴィアマテラス宮崎vsスフィーダ世田谷FC
の試合が、11時キックオフで開催されました。
前半(途中から)
第1試合公式記録の温度は12.6℃。さすがに5年前ほどではないものの、日向は十分な暖かさでした。日向は・・・。
どこかで見たことがあるデザインの、小澤選手(宮崎)の横断幕。ヴィアマの幟旗も沢山。長野ではすっかり有名な〇坂さん所有物でした笑。
5年前にはなかった?綺麗な大型スクリーン。到着した頃には既に1-1。
カメラの設定をいじっていた23分、相手のパスをカットした宮崎の22山本さゆり選手が自分で決めて宮崎が逆転。山本選手は3回戦のハットトリックに続き2試合連続得点。
元長野の3人、17齊藤選手、25池田選手、36小澤選手も先発出場。
小澤選手にビッグチャンス。
右サイドで抜け出してシュートも、世田谷GK石野選手が枠外へ弾き出すビッグセーブ。
リーグ戦では3人で28ゴールを決めている世田谷の前線3人(新堀選手、堀江選手、藤原選手)を、宮崎は徹底して抑えに行く構え。
前半はこのまま、宮崎2-1世田谷で終了。
太陽がメインスタンド屋根の向こうに隠れると、途端に肌寒くなってきました。
後半
世田谷キックオフで後半スタート。
66分、宮崎のファウル?で世田谷がPK獲得。
世田谷の3柏原選手がこのPKを決め、2-2同点に追い着きました。
世田谷のエース、9新堀選手が裏に抜け出した決定機は、宮崎の7有馬選手がゴールに入る前に間一髪クリア。
世田谷に再び決定機。
サイドを攻略してグラウンダーのラストパス、中央の16堀江選手には合わなかったものの・・・
逆サイドまで流れたボールを22金子麻優選手がダイレクトシュート!しかしこれは外からニアのネットに突き刺さり逆転ならず。
世田谷の15藤原選手がシュートフェイントからゴールを狙うも、宮崎の8嘉数選手がブロック。
ボールを奪い返した後が淡泊なボール回しや単調な攻撃になっていた宮崎は81分、30寺田選手に代えて19切通選手。
この交代後、右サイドにいた36小澤選手がCFに、小澤選手がいた右サイドに交代出場の19切通選手、寺田選手がいた中盤真ん中にCF17齊藤選手が下がり、宮崎は人の配置を動かしてきました。
FKやCKなどで宮崎が少し盛り返してきたかなというところで、後半終了。
2-2で勝負は延長戦へ。
延長前半
両チーム、束の間の休息。ベンチにいる選手もスタッフも一丸となって延長戦に備えます。
世田谷ボールで延長前半キックオフ。
・・・だったんですが、世田谷15藤原選手が笛の前に相手陣地に飛び出していてやり直し。藤原選手はこの日2回目のフライング笑。勢い余って・・・という感じで悪気はありません多分。
世田谷に思わぬ決定機。9新堀選手のシュートのこぼれ球が15藤原選手へ。宮崎はオフサイドをアピールするも旗は上がらず。
逆を突かれたシュートを、宮崎のGK馬場選手が左手一本でブロック!
更にゴールに向かって転がるボールは25池田選手がギリギリでサイドにクリア。宮崎が必死の守りを見せます。
世田谷は100分、22金子麻優選手に代えて、7中村選手。
宮崎の齊藤選手と対峙する中村選手。
2018年には共にAC長野パルセイロレディースでプレーした元チームメイト。
延長前半終了。
両チームとも均衡を崩せず、延長後半へ。
延長後半
宮崎は、ここまでサイドに前線に良く走った36小澤選手に代えて、35松井選手。
宮崎のキックオフで延長後半開始。
22山本選手から発動した宮崎のカウンター。最後は29今倉選手がシュートも、DFをかすめたボールはポストに当たりコーナーの判定に。
延長後半は、明らかに宮崎が押し込む時間帯が増え、決定機も作り出していました。
宮崎は、右サイドから嘉数選手がクロス。中央の競り合いのこぼれを22山本選手がシュートも決まらず。
世田谷も、遠目から6金子ゆい選手が難しい体勢からミドル、これがギリギリのコースに飛ぶなど反撃を見せます。
宮崎は延長後半で2回目の交代。最後の勝負に出て、アディショナルタイム1分と表示された直後のプレー。
25池田選手の右からの折り返しのこぼれ球を22山本選手が拾ってエリア内でシュート。世田谷守備陣の間をすり抜けたシュートが左サイドネットに突き刺さり、土壇場で宮崎にゴールが生まれました。
歓喜の輪の中で、頭をぶつけた?っぽい池田選手。
VONDS市原FCレディースの上田選手といい、元長野はなんで試合と関係ないところでダメージを受けてるのか笑。
22山本選手は、これで2試合5ゴールの大確変状態。この日も数回の決定機がありましたが、PK戦目前のゴールはお見事。
キックオフ、スローインのプレーを経たところで試合終了のホイッスル。
ヴィアマテラス宮崎が劇的なゴールで3-2の勝利となりました。
試合終了後
既に今シーズン限りの勇退を発表していた、スフィーダ世田谷FCの神川監督。私にとっては、2022年のスフィーダ優勝は最終戦が前橋だったのでセレモニーを見届けたり、昨シーズンは後に優勝する鴨川に2-3で敗れた後の野田監督との握手だったり。順位がどこであっても「強い世田谷」であり続けてくれた名将でした。お疲れ様でした。
延長戦だったので撤収や次の試合との入替えを急がなくてはならず、元長野組で比較的近くにいた池田玲奈選手と小澤寛選手の笑顔を撮らせていただきました。
会えなかった齊藤選手や爲保選手(元群馬)も含め、宮崎に移籍加入する時に明るいチームカラー(雰囲気も、蛍光イエローも)で良いんじゃないかなと思ったら、2部無敗優勝や昇格した年に1部優勝、そしてこの、皇后杯の快進撃。想像以上でした。長野からも数人応援に来ていましたが、また試合が見られる日を楽しみにしています。
VONDS市原FCレディースvs静岡SSUボニータ
2024年12月8日、藤枝総合運動公園サッカー場を会場に、
皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会 4回戦
VONDS市原FCレディースvs静岡SSUボニータ
の試合が、14時15分キックオフで開催されました。
試合前
前の試合が延長戦だったので、第2試合を行う2チームの練習は若干巻き気味。りぽがポーズなんかしてくれるから〇坂さんウッキウキじゃない笑
(こういう試合じゃないタイミングのひとコマも好きです)
VONDS市原FCレディースのスタメンには、元長野の大河内選手と上田選手が名を連ねています。
対する静岡SSUボニータは、この日観戦した4チームの中で唯一、元長野の選手がいません。しかし監督は・・・AC長野パルセイロレディースはこの方の功績抜きには語れない、長野の黄金期を築いた本田美登里監督。
個人的には、昨年の小さな恨み(まだ根に持ってるw)を市原が試合に勝つことで晴らしたいというダークネスな思いを胸に秘めて・・・。
〇坂さん持参の横断幕。
そういえば、一昨年の晩夏は大河内横断幕持って、灼熱の能登島グラウンド(皇后杯北信越予選決勝)まで来てくれたなあ・・・。
こちらは、市原に加入してから作成された2人の横断幕。
選手入場。
ほぼ地元、静岡の大応援団。
ボニータのコルリの方は面識はないんですが、昨年の鴨川vs静岡の試合前の語りが凄く熱くて、対戦相手へのリスペクトも感じられて素晴らしかった記憶があります。
2つ上のカテゴリーに挑む市原ですが、良い意味でリラックスできてそうな雰囲気。
静岡の注目は、去年くらいに長野県出身(シュロス松本)だと知った29中島選手。そして今年のなで1得点女王、土屋選手。
前半
静岡のキックオフで前半スタート。
前半の市原は、前を向くとモロに西日が目に入る不利な状況。日陰に入れば問題ないんですが、日向と日影の差が大きくて目が辛そう。
市原は守りの時間帯が多く、序盤での失点は避けたい意識のようで、3バックとボランチ2人と左右WBが守備重視。誰かが抜かれてもすぐにカバーが出来るような守備連係が出来ていました。
守備に人数をかけた分、WBの初動位置が深かったり全体を押し上げる時間が必須だったりで、前にいる選手には我慢の時間帯が続きます。
39分、自分のところで奪われたボールを深追いし過ぎ、上田選手に警告。
前半終了間際。エリア手前でパスを受けた上田選手がキープ、これを3バックの一角だった村上選手がオーバーラップして受け、シュート。
(公式記録では違う選手になってますが、写真を見る限り11番)
GKが至近距離のシュートを一度は止めますが、このこぼれ球に誰よりも早く飛び込んだのは、市原の16櫻庭選手。市原が先制しました。
再び歓喜の輪の中でダメージを受けているりぽぽ笑。
櫻庭選手は入替戦予選と皇后杯2回戦でもプレーを見たけど、とても予測の良い選手だなあという印象でした。パスカットの出足が非常に速かったからですが、この場面では出足の速さがゴールに結び付きました。
前半はこのまま1-0で終了。
引き上げる前に、日体大の大先輩大坪選手からのハグ。
静岡は、ハーフタイムで2人の選手交代。
後半
市原のキックオフで後半開始。
試合終了近くなると暗くなることを見越して、照明が点灯開始。
連続FKからの静岡の攻撃は、ポストに阻まれ得点ならず。
市原にも決定機。
DFラインの裏に抜けたパスに走り込んだ33上田選手が、静岡GKやDFより一瞬早く触ってシュート。しかしこれは僅かに枠の右へ。さすがにトーナメントに入ってからの活躍もあり静岡DF陣から徹底マークされていた上田選手、記録ではこの決定機が試合中唯一のシュートでした。
この辺りの時間帯は、11村上選手が攻撃参加する局面が多く、市原が左サイドからチャンスを何度か作っていました。
上田選手「よ~しGKのパス邪魔しよ!」
村上選手「よしなさいって。あなた警告1枚貰ってるでしょ!」
上田選手「あ~すいませんテヘペロ」
みたいな会話があったかどうかは分かりませんが笑
試合とは全く関係ない話で恐縮ですが、こういうスタジアムの電光掲示板を撮影した時、粗さが目立ったり肉眼で見た時と色が変わってしまうことも多いんですが、このスクリーンは綺麗に映りました。新しいからかな?
市原は2枚替え。14井上選手→32城倉選手、20佐藤選手→7井上選手。
63分、アフター気味に市原の33上田選手を倒してしまった静岡の6山田選手に警告。
64分、市原が左サイドで33上田選手や11村上選手が粘って繋いだボールを7井上選手が中央へクロス。
上田選手がサイドに開いて空いたCFの位置に移動していた16櫻庭選手がパスを受け、左に持ち出して反転シュート!鋭い弾道が逆サイドに決まって市原が待望の追加点を奪いました。
今回は自軍ベンチが近かったのもあり、リザーブ組の元へ。
静岡にとっては痛恨の失点。残り25分ほどで2点を追う立場となります。
リーグ戦では22得点を決め得点女王となった、静岡の9土屋佑津季選手。
この日は市原の徹底マークになかなか決定機を作れないでいました。
静岡も市原も、はっきり相手を圧倒する時間があり、全体で見れば拮抗した試合展開に。セットプレーからの流れの守備時に渾身のスライディングブロックを見せる33上田選手。ファウルかハンドをとられ相手のFKにはなりましたが、10大坪選手も拍手。こういう全力プレーにパルセイロレディースサポは魅かれたんだけどなあ。例え長野でなくても、全力でプレーしている姿を見られるのは嬉しいものがあります。
77分。右サイドの広範囲で守備をしていた岡田選手が両足を攣りタンカで外へ。
このタイミングで市原は、33上田選手→17今井選手、3岡田選手→23﨑山選手の交代。
警告1枚貰っていたこと、消耗が激しかったこともあり上田選手もこのタイミングで御役御免に。それでも両得点の起点になったり、攻守に頑張りました。
78分、交代の間に生まれた隙間を見逃さず、静岡の29中島選手が28梅津選手とのパス交換から中央に侵入、強烈なシュート。
これがゴール左上に突き刺さり、静岡が1点差に迫ります。
市原は83分、9西山選手に代えて24市川選手。
3バックの右として守備に大きく貢献した5大河内選手。
引退後、1年のブランクを経で市原で現役復帰した後は「少し不安定」なんて評価もありましたが、この日のプレーは初めて見た常盤木学園3バックの要(そういえばあの時も皇后杯だった)時代を思い出すような活躍でした。
1点差になってからの十数分間、静岡の方が攻めていましたが、市原は良く守り時間を使い、2-1のまま試合終了。VONDS市原FCレディースが勝利しました。
試合終了後
市原から、静岡ゴール裏への挨拶。
涙を堪えながら、市原の健闘を讃え次の試合の勝利を願う静岡のコルリさん。ちょっとウルっと来ました・・・。
静岡の選手、メインスタンドへの挨拶。
一礼の後、小さく拍手する本田さん(どうしてもパルセイロレディースサポは本田監督より本田さんと言ってしまう)。
市原の選手も移動して、メイン、ゴール裏に挨拶。カメラに収まりませんでしたがもう少しいました。
昼間は眩しくてほとんど見えなかった、5年前からある電光掲示板。夕方になりようやく文字が読めるように。
これで市原は、なでしこ1部準優勝チームニッパツ、同じくなでしこ1部後半戦の主役のひとつだった静岡も撃破。
次の相手はWEリーグのサンフレッチェ広島レジーナ。三強に迫る存在であり、昨シーズンのリーグカップ覇者。同じ12月8日に行われたリーグカップ準決勝で、広島は3-2で浦和レッズレディースに競り勝ち2年連続の決勝の舞台を掴んでいます。
連戦の疲れはあっても、皇后杯は勝ったら勝つだけ強い相手とやれるボーナスステージ。唯一となってしまった地方大会の生き残り(市原は関東予選大会優勝)としても、今できる最大限を尽くして広島にぶつかって欲しいものです。
(おまけ1)
本田監督が長野の監督だった2019年に、長野に加入した大河内選手。チームは台風被害をもろに受け降格、本田監督も退団し大河内選手は長野に残り、それ以来の対面だったのかな。本田監督は笑顔でイジってましたが、大河内選手は途中から涙・・・。
で、〇坂さんと私が久々に2人の撮影をお願いしたら、本田監督が「友貴(大河内選手)の顔がちょっと写せない感じだから~」ということでやんわり拒否笑。私は2年連続笑笑。私や〇坂さんのことは多分覚えているので、長野に関することは思い出したくもないのかなあ・・・。
寂しいのと、恨みを2年分募らせて笑、また本田さんの試合観に行きます。AC長野パルセイロ(男)の応援を止めていた私がまた地元でサッカーを観に行くキッカケになったのは、長野Uスタジアムと本田さんと殿だし。またいつの日にか。
(おまけ2、ネタバレ含む)
冒頭に書いた通り、このnoteが完成したのは一週間以上後。
ということで、上記2チームの皇后杯5回戦は終わりました。現地行かれなかったのが痛恨・・・。
2チームが12月14日に同じ会場(兵庫県立三木総合防災公園陸上競技場)で試合をし、相手はWEリーグのチーム。結果は
☆ヴィアマテラス宮崎 1-0 大宮アルディージャVENTUS
またしても延長後半、山本さゆり選手のゴールで宮崎が勝利。
山本選手、3試合6ゴールと確変継続中www
★VONDS市原FCレディース 2-3 サンフレッチェ広島レジーナ
前半終了時0-2から2-2に追い着き、延長でも広島ゴールに迫る場面もあったらしい(監督コメントから)。しかし延長後半アディショナルタイムに失点。2024皇后杯、市原の挑戦はここで終わりました。
4回戦で素晴らしい試合をした宮崎と市原。5回戦でもWEリーグの大宮と広島相手に一歩も譲らず延長にもつれる好勝負。大宮はWEリーグの中でも一番苦しんでいるチームで宮崎にも勝機はあると思ってましたが、正直、市原がここまでやるとは応援してた私でも思ってなかった。SNS速報で0-2と確認した時は、そうだよね広島強いよね・・・。と思ったら、前の試合で足が攣って負傷退場した岡田選手、そして前の試合ではリザーブのまま出番がなかった小林選手がゴール。チーム全員で戦う様子が目に浮かぶようでした。何で放送せんのじゃJFAのアホー!(金曜まであると思ってた)
ヴィアマテラス宮崎は準々決勝へ。相手は3強の一角、日テレ東京ヴェルディベレーザ。
VONDS市原FCレディースは、来年の3月になでしこリーグ2部開幕戦かな。楽しみです。