
秋を想う
南の島は今日も暑い。
休日に買い物に出るがてら車の室内温度を見てみると33度を記録している。子はもちろん大人である我々も当たり前に半袖で過ごし、車外にでるならばたらりと1本汗が落ちる気温。
とはいえ夜は25度になるなどの落ちつきもあり、秋らしさも感じられる。(まあそれでも暑いけどね南の島w)
私は四季のなかでは1番秋が好きだ。秋の実りに舌鼓したり読書や芸術に触れたり、ハロウィンや秋祭りなどの行事を子と一緒に楽しむのもよい。子供の頃は大嫌いだった運動会も自分の子供が出るとなると俄然心躍る。(我が子の運動会は春にあったが)
だが何よりも私が秋を恋しくなる理由は夜である。枕草紙では夕暮れだけど、(最近見てないなぁ光る君)私は夜を推したい。というか寝る前のまどろみこそ至高。お風呂上がりのひんやり布団に滑りこみ少し開けた窓から月を見ながら眠りにつくこれこそ秋の夜長の贅沢な過ごし方。網戸にして少し冷たくなった外気を感じ。タオルケットかぶるのも良き。
私は幼少期、九州の田舎で過ごしていた。外から聞こえる虫の声を浴び遠くに夜行列車の汽笛を聞けば瞼はしっかり合わせ夢の世界へ。そんな幼少を過ごしてきた。
今となっては遠い昔。当時聞いてた夜行列車はとっくに廃止され田舎に帰ることもなかなか叶わない南の島にいる。田舎や親を嫌い18で家を出て、転勤族の夫と結婚して2人の子に恵まれた。子育てとパートと慌ただしい毎日を過ごしていると、ふと思い出すあの時過ごした秋の夜の事を。もう、あの頃過ごしていた空気を2度と味わうことが叶わないと思うと嫌いな田舎に郷愁の気持ちも募るというもの。
車から降り駐車場に出ると赤とんぼが群をなしすいすいと低空で泳いでいた。飛ぶ列を手を振りあげ乱し笑いあう娘達を見ながら小さく身震いをする。彼女らの秋の夜はこれから始まる。夕食を食べお風呂上がれば今夜はシルバニアかパンどろぼうか。感慨に耽る暇などなく怒涛の秋の夜長か待っている。