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「おかえり」という言葉の破壊力

本題に入る前に、ここで表現する「破壊力」という言葉の使い方、
合ってるか分からないけど、今の私の気持ちを言語化すると、一番しっくりきたから、そのまま使うことにした。

小さい頃から、家に帰ると「おかえり」って言葉を たくさんかけてもらってきた。
当時は特に何も考えず、ただただ繰り返す日常の中にある ありふれた言葉だった。

そうやって年月が経って 就職のため 初めて一人暮らしをすることになる。
引越し当日は 浮かれに浮かれていて 引越しを手伝ってくれた家族にも「もう帰っていいよ」と追い出してしまうほどだった。(ひどいよね。ごめんね。)
少しでも早く 一人という空間を実感したかったから。
当時の私にとって 一人暮らしは「大人への第一歩」であったように思う。
それが実現できた当時は 嬉しさで胸いっぱいだった。

そうして ひとり暮らし生活がスタート!
一人きりの空間で 好きなように過ごせて なんだか無敵状態のようだった。
今思うと、「一人暮らしをしている私」にすら酔っていたのかもしれない(笑)


一人暮らしを始めてからも 「ただいま」という習慣は残っていたから
誰もいないと分かっていても とりあえずは 毎日声に出していた。
でも返ってくるのは、部屋の静けさや トイレの換気扇の音だけ。
浮かれていた私の心に 日が経つにつれ 少しずつ心の変化が出てきた。


今まで当たり前のように かけてもらってきた「おかえり」という言葉が 日常からなくなってしまった。
しかもよく考えたら 実家にいた時は 「ただいまー!」って大きな声でよく言ってたのに、今は確実に小さな声になっていた。
ましてや言わなくなる日も増えた。
隣人など周囲に配慮して・・というより、何も意識してなかったけど 「おかえり」って返ってこないから 自然に声が小さくなったんだろうと思う。
その時が 「あれ?なんか寂しいな」って実感した瞬間だった。

寂しさを実感してからは   引越し当日のような嬉しさは どっかにいった。
今までは、家に帰れば出迎えてくれる家族がいて 温かい空間だった実家。
でも今の家は 温かさなんかなくて 冷たいただの空間。
寂しさでTVをつけて 音量を上げても 番組を見て笑っても その時は気が紛れても
寂しさが減ることはなかった。

「おかえり」って返してくれる家族はいない。
ご飯も 寝る時も一人。
どこを見渡しても 私だけしかいない。

家族みんなで当たり前のように過ごしていた日常が 実はこんなにも幸せなことだったんだと知った。
どうして今まで気づかなかったんだろう。
人は幸せな空間にいると それが当たり前になってしまって、今目の前にある幸せに気づかないものなのかな。
当たり前に過ごしている日常の中にも  実は小さな幸せがたくさん詰まっていた。
今回、私は「一人暮らし」をしたことがきっかけで そこに気づくことができた。

そんな中でも特に、私の中では 「おかえり」っていう言葉が どれだけ重みがあるか、幸福感を与えてくれるか 身を持って実感したように思う。
あの頃の私は 誰かが家で待っててくれて 声をかけてくれる存在がいたからこそ
帰りの足取りも軽くなっていたんじゃないかなって 今はそう思っている。
何気ない4文字だけど こんなに破壊力がある、幸せな気持ちになる言葉だったんだな。


月日を経て現在。  「ただいま」から「おかえり」って言葉をかける方が多くなった。
私は 夫の前だとふざけて踊ったり 変なポージングをすることも多々ある。
そんな出迎え方をしながら「おかえり」を言うことが多い。
昔、私がかけてもらった時とは 大違いだ。
夫からしたら イラっとくることもあるかもしれないが、今のところ受け入れてくれている。
・・・多分。(夫よ、いつも付き合ってくれて ありがとう!)

前段で「おかえり」の言葉の有り難みを一丁前に言っておきながら、 ちょっとでも夫をクスっと笑わせたいという 要らぬ願望まで 私にはある。 
でもそれも私なりの「おかえり」のやり方だ。

でもたまに心に余裕がないと 雑に言ってしまったりすることもある。
だけど なるべく心をこめて「おかえり」って言いたいし、この言葉を大事にしたい。(ダンスや変なポーズをしながらも 心を込めているのだ)

そして ありがたいことに 実家に帰れば 今も「おかえり」って声をかけてくれる家族がいる。
家族の温かい「おかえり」って言葉、あと何回聞けるんだろう。
考えるのは怖いけど いつかは聞けなくなる日がくる。
その日まで 言ってくれる家族、環境に感謝して 「おかえり」っていう言葉をかみしめたいと思う。

是非、みなさんもそれぞれの思うやり方で 「おかえり」を 帰ってきた大切な人に かけてほしいなと願う。
何気ない「おかえり」という言葉で  少しでも救われる人が きっといるんじゃないかと思います。
綺麗事なのかもしれないけど 実際に私は「おかえり」に救われていたのは事実です。


ここまで読んでくださったみなさんも 大切にしている言葉はありますか?
何気ない日常の中で 幸せになる言葉って 意識していないだけで たくさんあるかもしれません。

ここまで読んでくださって ありがとうございました!

 


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