社労士試験総括
以下、社労士試験の個人的な総括となります。
取り留めなく網羅的でもなく、所感を書き殴ったものです。
長文失礼します。
【挑戦歴】
R5:不合格(選択36、択一42)
R6:合格 (選択30、択一53)
【学習時間(概算)】
10−3月:月平均80時間
4−6月:月平均30時間
7−8月:月平均100時間
を2年間(1年目800時間、2年目700時間)
計1500時間
仕事・家庭・健康など諸々のバランスを取る必要があり(実際は少し崩れた)、やれる時にやるスタンス。常にコスパは意識していた。
2年目の勉強時間減少は気のゆるみではなく仕事の影響。
【使用教材】
・R5:社労士24+直対、択一式トレ問、選択式トレ問、トレ問アプリ、労働判例100、秒トレ
・R6:メイン講座は受講せず、前年の社労士24テキスト、トレ問アプリ、その他問題集(月間社労士受験、過去10、社労士合格のツボ択一)、大原直前対策パック、LEC澤井道場一般常識圧迫講座、秒トレ
勉強を開始するにあたって、受験予備校のノウハウに全面的に頼る以外の選択肢は持たなかった。各予備校のインプットにかかる目安時間を比較し、社労士24の圧倒的な講義時間の少なさと、要点まとめ表のようなテキスト構成に惹かれて即決した。大原さんには昔から要所でお世話になっていたことも一つの理由。
結論としては、社労士24にして大正解だったと思う。合格のために必要な知識はほぼテキストに掲載されていたと思うし、一切の無駄のない練り上げられた講義で、語呂も秀逸だった。何より小ネタにクスリと笑いながら楽しく受けることができた。金沢先生は本物のカリスマだと思う。感謝。ただ、講義時間は短いものの密度は相当に高く、一瞬足りとも気が抜けなかった印象。何度巻き戻したか。
2年目は下記の理由からメイン講座は受講せず。
白書統計は澤井道場が良いと相互さんに教えてもらったので全面的に信頼した。内容は期待通りで白書統計への不安はかなり減った。澤井先生にも感謝。
【学習内容】
■全般
初年度は社労士24のカリキュラム通りにインプットを進めたが、最後の科目まで講義を受け終わった4月時点で仕事の最繁忙期に突入。直前期に問題演習が足りず択一が基準点に届かなかった。今思えば4月までにインプットと並行して既習科目の基礎固めをしていくべきだったのだけれど、それをやり切る時間を作るための状況は整えられなかった。仮に、もう一度最初からチャレンジしても同じ結果になると思う。
2年目は初年度の反省から、アウトプット中心の勉強を意識した。4-6月は仕事が過労タヒライン状態になるので、3月までにはある程度実力を固める必要があり、他の受験生とスケジュールが明らかに違うので独自のペースで進めなければならないと思った。
講義の視聴を省き、問題演習に時間を使うと決め、講座には申し込まなかった(改正論点は直前対策パックを受講してカバーする算段だった)。
また、独学のためペースメーカーとして10月から3月までほぼ毎月セルフ模試を実施し、進捗を確認していた。
■問題演習の内容(記憶・記録のある2年目のみ)
・トレ問アプリ9261問
・択一ツボ:3回転
・過去10:2回転
・大原直対演習:択一式は前年分と当年分を3回転ずつ、選択式は当年分を2回転
・月間社労士受験問題演習:毎号2回転ずつ
・セルフ模試(前年の他校模試5回。フリマアプリで入手)
・秒トレ:全問1回だけ解いて間違えたところだけ正解するまでやり直した
やったことは基本、問題を解いて該当箇所のテキストを確認していただけ。予備校の先生が薦める王道であり、特に変わったことはしていない。年明けのセルフ模試の結果を見て定着度の低さを感じたので、そこからミス・曖昧論点ノート(以下ミスノート)をつけ始めた。
なお、トレ問アプリの解答数トップ3は上から徴収法1618問(17%)、国年1421問(15%)、雇用1222問(13%)だった。徴収法は早い段階から労災・雇用を支える存在として重視していたので重点的に取り組んでいたが、まさかトップに来るとは想定していなかった。
■ミスノート
ミスノートを付け始めたことが択一点数アップの要因と分析している。
問題演習を通して、論点ごとの引っかけポイントや、他の論点と混同しやすい内容、定着が甘い箇所を把握しまとめた。作成に際してはコストをかけないよう手書きはせずに、iPadのメモ機能にキーボードを使い自分の言葉で入力した。
自分の弱点とこれまでの問題演習の積み上げの結果が可視化され、メモを一つ一つ潰せば成長できると思った。よく言われる「問題を漫然と解かないこと」を実践する一つの形だったのかもしれない。
3月末までに問題集の1回転目を終え、ミスノートを揃えた(各科目ipad画面5-6スクロール分くらいになった)。
4月以降仕事が繁忙化しほとんど机に向かえなくなったが、ミスノートをiphoneに同期してスキマ時間にひたすら読んだ。おそらく10回は読んだ。仕事の状況も相まって、この作業は苦しく気合が必要だったが、乗り切ったことで基礎が固まったと思う。
◾️セルフ模試の実施
フリマアプリで昨年の他校の模試を購入し、毎月月末付近に実施していた。
定期的に力試しの機会を設けたことで日々の学習にも身が入った。結果のポストをする事で多少のプレッシャーも持たせた。(最初の方に解いた模試やTAC全国模試の結果がボロボロで、無かったことにしようとしたのは内緒…)
◾️テキスト読み
昨年10月のリスタート直後は毎月全科目のテキストを1回転しようと意気込んでいたが、見事に継続しなかった。労力のわりに頭に入らず、費用対効果が薄く感じた上に、全く楽しくなかった(個人的には重要)。そこで「テキスト読み」として行う作業は初月でバッサリやめた。本試験までは長いので細かい部分は忘れるだろうし、問題演習を通じてテキストを都度確認しているのでそれで十分と思った。
そこからかなりの時間が空いた超直前期の8月に「テキスト読み」を3回転した。1回転目は頭から通して満遍なく読み、問題演習やミスノートでカバーできていない箇所を見つけては「重」のマークをつけながら読んだ。2-3回転目は「重」マーキングした箇所を中心に読んだのでスピードは速かった。社労士24のテキストは極限まで無駄を削ぎ落としているため回転には向いていた。
超直前期は「テキスト読み」の作業が点数に直結する実感があるため身が入り、最大効果を発揮すると思う。私のようにテキスト読みが苦手なタイプは、基礎は問題演習で固めておいて、試験が近づいたタイミングで取り組むのが良いのかもしれない。日々の問題演習で知識が定着していれば、テキスト読みで確認する項目は減るはずだしスピードが上がる。
結論としては、問題演習を通じたインプットが私には合っていたのだと思う。
■選択式対策
繁忙期明けの7月以降、択一のリカバリーに精いっぱいで、勉強期間全体を通して選択式対策としての勉強はほとんどできず仕舞いだった。結果、今年の本試験の選択式の合計点は昨年より下がった。ただ、試験中にどの科目も3点確保した手ごたえはあった。択一対策(問題演習とミスノート、社労士24のテキスト読み、判例読み、一般常識圧迫講義)で基本を押さえていたので結果的に足りた形だと思う。
【余談】
基礎をガチガチに固める(基礎ガチ)とは
巷で言われる社労士試験の基礎ガチとは何なのか考えてみたところ、個人的にはわりとシンプルな結論になった。
・テキストベースの基本的な知識の暗記ができていること
・問題文を見て論点を抽出し、その論点のひっかけ方が思い出せること
この2つを両方押さえることだと思う。
自身も論点のひっかけ方や類似の論点が頭で整理できるようになってきた頃から得点が伸びたと記憶している。
では基礎ガチのためにどのような対策を取り得るか。
大きく①反復的な問題演習、②様々な問題に触れる、の2つが考えられる。
①反復的な問題演習→知識を定着させるため、論点を識別する訓練をするため。メインの問題集やトレ問アプリ、秒トレなどでの演習がそれに該当する。
②様々な問題に触れる→論点ごとの問われ方やひっかけのパターンを知るため。過去問や別の問題集(ツボや月刊社労士受験)、模試での演習がそれに該当する。
本試験の難易度構成をみても、「易」「普」(金沢先生の分析参照)が8割取れればそれだけでほぼ基準点に達するようになっている(今年だと易・普が計53問あり、その8割で約43点)。繰り返しになるが、上記の2つを押さえることでこれが可能になるのだと思う。
本試験では応用力が必要な肢や細かい通達から出題される肢もあるが、合否に決定的な影響は無いと思われる。
私は初学から社労士24のテキストで勉強していたので、ある種踏ん切りがついていて、テキスト外の論点は切り捨てるつもりでいた。枝葉の論点は見た瞬間「知らん!」で取り合わなかった。限られた時間の中で変に深追いをして全体を満遍なくカバーできなかったり、途中で力尽きることを避けるために、絞った。基準点が取れれば良いのだし、オーバーキルが目的ではないから。
基礎力については予備校の先生も同じようなことを言われているし、結局はそこに行きつくのだと思う。
(余談の余談。私のこの投稿を含めてXは情報過多だと本当に思う。試験は基準点さえ取れば合格するという究極にフェアな闘いだが、それぞれが異なる条件下での闘いを強いられるアンフェアなものでもある。そんな中で他者の体験は基本的にはノイズ、くらいのスタンスで良い気もする。私も、自身の固有の環境下からメリットデメリットを享受しながらたまたま結果が出ただけ。とすれば、結局拠り所になるのは予備校の先生の仰ること。様々な受験生を見てきた受験のプロであり、一定の責任ある立場である先生方の言葉には説得力と重みがあると改めて思う。)
【最後に】
社労士試験の勉強と同時にXを初め、日々勉強内容の投稿をすることでモチベを維持していた。共に進み、励ましてくれ、また見守ってくださった仲間の皆様には感謝しかない。
社労士試験は制度が独特で非常に厳しい試験。合格率以上の壁を感じたし、ここまで勉強することになるとは正直想定していなかった。
言われ尽くされているが、この難しさは受けた人にしか分からないと思う。
ただ、未知の分野での学びはとても楽しかったので、幸いにも道中「無理をしている」と感じたことはあまりなかった。そして何よりも、修了考査以来忘れていた勉強習慣を取り戻すことができたことが大きな成果だと思っている。チャレンジを決めたあの日の自分に感謝したい。
今後は専門性の獲得のため継続的な研鑽が必要となる。複数ライセンスを活かすことは簡単でない。一つだけでも知識の維持更新が難しいし、常に頭を悩ませている。
そんな中でも、挑戦や勉強ができる環境に感謝して、これからも研鑽をしていきたい。