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リュウへの別れの言葉
三月も近い。春は別れの季節。そして出会いの季節でもある。
リュウ、お前と過ごしたこの一年、濃密だった。はじめてスト6から格ゲーをやって、お前というキャラを選んだのは最大の失敗だったと思っているけど、それでも、楽しかった。
波動拳や昇竜拳、格ゲーをやらない俺でも知っていた技をコマンドで出した時の気持ちよさ、ジャンプ大Pからタゲコンで出る簡単火力、どれも良く覚えている。ゴールド帯で頑張って覚えた「DゲージとSAゲージ全消費コンボ」は一生忘れない。
何もわからなかったルーキー~ゴールド帯、モダンにキレ始めたプラチナ帯、一瞬のミスが死につながるダイヤ帯、MRを奪い合うマスター帯・・どこでもリュウと一緒だった。
お前が頑張ってるの、知ってるよ。毎回調整で強くなってるもんな。少しずつ、少しずつ、強くなる。きっと来年も、その先の調整でもお前は強くなるんだろう。この一年、調整のたびに喜んでトレモに行ったよ。
でもさ、気付いたんだ。お前はずっとリュウのまま変わらないんだって。良くも悪くも。プラチナやダイヤくらいから抱き始めた「なんかリュウって、しんどいな」という気持ち、これはずっと無くならなかった。
去年12月に追加された「旋風脚>竜巻旋風脚」ってコンボ、これでダメージと運びを多少プラスされたけど、それでようやく他キャラの水準にしてもらったって程度で、立ち回り時の苦しさは本当にそのままだ。
俺はなんでリュウを使ってるんだろう?
いつしか抱いてしまったこんな気持ち。一年目はひたすら「ルークで良くない?」と言われていた記憶がある。俺は「波掌撃が格好いいから(一年目は死に技だった)」と答えていた。でも真面目に上手くなればなるほど、使う理由が分からなくなっていった。「リュウのここが強い」と言い切れる何かが掴めないまま俺はマスターになった。
インパクト?大Pぶんぶん?波動拳?これってリュウの強みか・・?他のキャラでも出来るし、なんなら他のキャラの方が強かったりする。他キャラの「中くらいの強さの技」の集合体がリュウだ。
リュウはスト6最弱、その認識はある意味で自信につながったとは思う。このキャラでガチ初心者から上位10%に入るのは個人的には偉業だ。でも、ただそれだけだった。「弱キャラでマスターになれた俺スゲー!」って欲を満たしてくれたのがリュウなのだ。
2025年二月、舞が俺の前に現れた。
なんとなく触ってみた。新キャラを触るのは二人目だった。テリーを前の実装時に使って「ふーん、なんとなく分かった。ホンダみたいな強さはないね」と思った記憶がある。
舞のプレイ前予想としては「テクニカルでリュウ使いみたいな俺には難しくて火力が出せないキャラなんだろうな」だ。存在するであろうクソ技の対策だけ覚えたらまたリュウに戻る予定だった。
しかし、舞は強くて楽しかった。高難度でもなく、俺でも使えた。
扇子で有利フレームを取って攻める、異常に運ぶコンボで壁際に連れて行って攻める、高速の生ラッシュで触りに行く、・・スト6の全てがそこにあった。
リュウ、お前の事は好きだ。大好きだ。俺をすごく気持ちよくしてくれた。
でもその本質って「暴力的な彼氏がときどき優しくしてくれる」みたいなものなんだよな。「触りに行くのが全キャラに対してしんどい分、コンボが出来た時に気持ちよく感じる」ってだけで、なんだろう、基本マイナスな部分があって、そこを基準にすると普通のことしただけでプラスに感じられる・・みたいな。不良が猫に優しくしたら「なんか良いヤツに見える」みたいな。「リュウでコンボを当てると気持ちいい」って、そういう事なんだよ。
リュウ、俺はお前を卒業しようと思う。
負けたら「リュウは弱いから」、
勝てたら「俺が強いから」・・
ずっとお前に甘えていた。正直今でも甘えていたい。なんとかなれ~って言いながら置き中Pや大Pを振り回していたいと思う。
だが、それも今日で終わりだ。勝つために、より格ゲーを上達するために、俺は強いキャラを使ってみようと思う。
今年の俺は、舞一本でいかせていただきます。
ありがとう、リュウ。