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団塊ジイさん五拾三次旅日記 第8話。

口絵写真は、
雨が上がって2日後の箱根路。
箱根宿から小田原宿に向かって
歩きはじめたあたり。
(足柄下郡箱根町元箱根にて 11月4日10時14分)

第8話は、
箱根宿〜平塚宿間の2泊。

五拾三次の旅も、箱根宿からは相模の国、神奈川県。
ありがたいことに、ここまで順調に旅してこられた。
事故に気をつけて、一気に日本橋のゴールを目指したい。
その思いが強くなる。

ここから日本橋までの街道歩きのベースキャンプは、
橫浜の手前、藤沢駅近くのビジネスホテルに定めた。
もう名古屋には戻らない。
ここ藤沢に連続で6泊し、6泊7日で一気に日本橋をめざす。
そして旧友たちと会う。
第8話は、そのうちの箱根から平塚宿までのお話。

11月3日日曜日。まだ明け切らぬ中名古屋の
自宅を出て、新幹線で一路小田原へ
(名古屋市東区徳川町の歩道橋の上にて 11月3日5時38分)


君子危うきに近寄らず。

前日の箱根は警報級の大雨。
雨は上がったが、
雨上がりの箱根路を歩くのは危険だ。
箱根宿から小田原宿への街道歩きは翌日に回して、
今日は、小田原宿から平塚宿まで歩くことにする。

下の写真は、
名古屋から小田原に向かう新幹線の車窓から見た富士山。
ちょうど雲の切れ目から顔を出してくれた。
幸先よし。

(富士市宮下の富士川鉄橋の上にて 11月3日7時41分)


遊び心は大切だ。

小田原で新幹線を降り、
快晴の下、
小田原宿から大磯宿に向かう。
向かう道すがら見つけた郵便受け。
郵便物を待ってるよ感がユカイ。

(小田原市浜町にて 11月3日8時40分)

名コピー? 迷コピー?

(小田原市東町にて 11月3日9時4分)

街道沿いのこの看板、ネットで調べたら
「おしゃぶり用途」は、
赤ちゃん連れでもOKという意味らしい。
「用途」=使い道。
だから赤ちゃん連れもOKですよ、というアピール。
目立とう精神旺盛なのはいいけど、
判じ物っぽい、というか
なんか無理があるような。
「おしゃぶりちゃんから、ビジネスさんまで」
にしたら、どうだろう?


湘南は、とがったコンセプトの店が目立つなあ。

気になったお店をいくつか紹介します。

(小田原市国府津にて 11月3日10時18分)

一つ目。
「台所」というシンプルな店名とロゴ。
灯りのほのかな温かさ。
そして、白壁を背景にした
暖簾の色合いのやわらかさ。

通りすがりに気になったものの
国道の反対側だったので、
そのまま通り過ぎてしまいました。
あとでググってみたら
「シェアキッチン」というコンセプトのお店でした。


なんてことのない暖簾なのに。

「二宮食堂 漁師のおかず」。
白い暖簾に細い明朝体。
楚々とした暖簾が竹竿に掛けてあるだけ。
なのにというか、だからというか、
とてもシズルを感じました。

(中郡二宮町二宮にて 11月3日12時19分)

店名は「SHIRAS STUDIO」と思いきや、

    「自然・偶然」だって?  深すぎる。

(中郡二宮町二宮にて 11月3日12時32分)

そんで、扱っている商材が
「エディブルフラワー」?
それって、食べられる花のことか?
そんなもん作って売るのが商売になるんか?
わしら田舎のジジイにはわからん。
わからんなりにちょっと興味が湧いて、
店を覗いていたら、
ゲージュツ家風の若い店主が出てきて
「どうぞ」と誘う。
尻込みして通り過ぎた。


オンライン靴磨き?

下の店。
店名は「BriftH(ブリフトアッシュ) 」。
東京・青山で創業した、
オンライン靴磨き・靴修理サービスの店だとか。
志は高し! だが、
そんな店が成立するとは、信じられん。
でも、ぼくの好きな「志(こころざし)」を感じる店でした。

(中郡大磯町高麗にて 11月3日14時47分)

やっぱ、志は、顔に出る。

「布う」と書いて「ふう」と読ませるとか。
古民家を改造した布製品のギャラリー兼ショップです。
志を伝えるネーミングも、
ロゴデザインも好きだな。

(中郡大磯高麗にて 11月3日14時48分)

小田原宿から平塚宿までの今日のノルマを果たし、
藤沢のホテルに戻る。
明日は、後回しにした箱根路だ。

(平塚市平塚三丁目にて 11月3日14時56分)

東海道の最後の難所、箱根の山くだり。

11月4日、晴。
藤沢のホテルからJRとバスで箱根宿まで戻り、
そこから小田原宿に向けて山を下る。
前々日の大雨の影響が
山道に残っていませんように。

(足柄下郡箱根町元箱根の箱根神社大鳥居前にて 11月4日9時54分)
心配していた2日前の大雨の影響ですが
大丈夫なようです。足もとがぬかるむこともなく、ひと安心
(足柄下郡箱根町箱根にて 11月4日10時16分)
大雨で倒れたわけではなさそうですが
倒木が街道を遮っていました
(足柄下郡箱根町箱根にて 11月4日10時19分)
甘酒茶屋を出たあたりで目にとまりました
揺れるススキの穂って、えもいわれぬ美しさがありますね
(足柄下郡箱根町畑宿にて 11月4日10時53分)

足もとに偉大な自然美が宿っている。

箱根路を歩いているうちに
苔むした石ころや倒木が好きになりました。
倒木に生える苔。
その上に散った枯れ葉たちが造る
自然美とでもいいますか。
人の手の及ばぬ力を感じさせます。
そんな大きな力に触れられるのも
旅のおかげです。

(足柄下郡箱根町畑宿にて 11月4日11時13分)
畑宿の一里塚
街道左右の両塚が復元されている貴重な塚です
(足柄下郡箱根町畑宿にて 11月4日11時40分)

晴天。なのに、水しぶき。

ついに旧道から県道に出ました。
箱根路の隘路も終わりです。
このまま箱根湯本まで下れば、小田原宿も近い。
2日前の大雨のせいでしょうか、
県道の上をおびただしい水が流れていました。
水しぶきを上げて、車が坂を下っていきます。

(足柄下郡箱根町須雲川の箱根大天狗神社前にて 11月4日12時23分)
街道脇に見つけたのは小さな祠でした
ちゃんとお世話する人がいるのですね
(小田原市入生田にて 11月4日13時44分)
もうぐ小田原宿。シダ類の一種でしょうか
ちいさな割れ目から根を張って懸命に生きていました
(小田原市板橋の国道一号線にて 11月4日14時24分)

名は体を表す。

有機と無施肥栽培のお茶農家が営むお店です。
「TEA FACTORY 如春園]」。
楚々と書かれた切り株の看板に
店主の生き方が素直に現れているような。

(小田原市板橋にて 11月4日14時32分)

箱根駅伝を歩いている。そんな気分になりました。

山を下って、小田原宿の中心部に入りました。
このあたりは、箱根駅伝なら復路の7区。
タスキを受けて平塚まで走り出した選手のカラダも
温まってきたころでしょうか。
写真は、済生堂薬局小西本店。
江戸時代から薬種商を営んできたそうです。
城下町には、そのご城下ならではの歴史がありますね。

(小田原市本町にて 11月4日14時50分)

後ろ髪を引かれる。そんなお店でした。

小田原宿の中心部にある日本料理店「だるま」。
明治26年(1893年)創業。
入母屋造りの建物は、
国の有形登録文化財に指定されているとか。
ちくと一杯やりたくなるたたずまいでした。

(小田原市本町にて 11月4日15時00分)

第9話は、平塚宿から保土ケ谷宿まで。
江戸に向けてあと一息。
2025年2月22日土曜日公開予定です。
以下、11話まで各話一週間ごとに公開します。

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