![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/166720101/rectangle_large_type_2_291b2c1ac12a1d65cf94b34f3a6da5fd.jpeg?width=1200)
団塊ジイさん五拾三次旅日記 第1話。
旅人と我名呼ばれん 初しぐれ (芭蕉)
時間を持て余している。
当年とって74才。
仕事もヒマ。アマプラも飽きた。
じゃ、東海道でも歩いてみるか。
いにしえの旅人になった気分で。
![](https://assets.st-note.com/img/1734966184-asdcZYfoKJUM4hETrvbmP5wL.jpg?width=1200)
東海道五拾三次を
京都から江戸に向かうと決めた。
聞くところでは
旧東海道を歩く人は、
江戸から京に上る人が8割、
京から江戸に下る人は2割らしい。
京都から歩いた順に、11話にわけてお届けします。
毎週土曜日一話掲載予定。
第1話。
名古屋の自宅→京三条大橋〜水口(みなくち)宿間、4泊5日。
![](https://assets.st-note.com/img/1734966184-CLrJRShobuvxZz6Bm9weT2QY.jpg?width=1200)
2024年6月6日木曜日。
暑からず寒からず、季節は良し。
快晴の朝、いざスタート。
事前に、自宅のある名古屋市近辺を何度か歩いてみて
こんな旅姿に落ち着いた。
![](https://assets.st-note.com/img/1734966184-unNBy5VvFi8MAeCKowxY62hk.jpg?width=1200)
だけど、なぜぼくは歩くんだろう。
なぜ歩くか。
ヒマだから、には違いない。
でも、前向きな理由もつけておきたい。
考えながら三条大橋を渡りはじめた。
京都からの旅立ちを見送ってくれる人はいない。
でも、日本橋で迎えてくれる人はいる。
だって、東京は30年暮らした街だから。
五拾三次を歩き通したら土産話になる。
喜んでくれ、話が弾んだら
かけがえのない思い出になる。
そうなんだ。
歩くのは、思い出を語るため。
名古屋から京都までは新幹線。
三条大橋からひとり、
江戸日本橋に向かって歩きはじめる。
![](https://assets.st-note.com/img/1734966184-HC2bWvBzs4ZUD6IX5lpoj89G.jpg?width=1200)
さて、呑兵衛である。
旅の楽しみは、何を置いても
ご当地のおいしい酒と肴にありつくこと。
馬の鼻先のニンジンだな。
安くておいしいものに出会えたら記録しよう。
歩くのは、おいしい酒肴に出会うため。
![](https://assets.st-note.com/img/1734966184-lDtQMzwKq0dV49ACLh3Iu7Yr.jpg?width=1200)
(大津市末広町の下田屋(しもたや)にて 6月6日19時28分)
五拾三次最初の宿場町、大津宿を歩いていたら
またひとつ、旅の目的が見つかった。
道中で面白い!と思えるコピーやビジュアルの写真を撮ろう。
歩くのは、面白い表現に出会うため。
![](https://assets.st-note.com/img/1734966184-cKtbR3nrECUVAeW1hgoqzSiY.jpg?width=1200)
(大津市京町の清源寺にて 6月7日8時46分)
草津宿から石部宿への道中。
延々と産廃置き場が続く。
ダンプカーが次々にぼくを
追い越していく。
ウンザリして、腹も減って。
でも、オアシス発見!
石部宿の田楽茶屋。
地元のお年寄りたちが
和気あいあいとお昼を食べていた。
お年寄りたちとの会話を楽しむ。
楽しみながら、
石部宿名物とろろ飯、缶ビールで喉を潤す。
まさに旅の醍醐味。
そうなんだ。
歩くのは、見知らぬ人と出会うため。
![](https://assets.st-note.com/img/1734966402-X7QoShtbnH2vdKmRVWeZgiAI.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1734966184-OCWpD260FJ4EdqPxkae1BoRl.jpg?width=1200)
とろろ飯を食べて茶屋を出たところで
右のふくらはぎが痛くなる。
どんどんひどくなる。
夕闇迫るなか、石部宿から水口宿まで
14㎞を歩く。
足を引きずってホテルにたどり着く。
思いがけないトラブルとの遭遇。
いままさに、トラブルに鍛えられている?ぼくがいる。
歩くのは、生きているという実感を味わうため。
![](https://assets.st-note.com/img/1734966184-XVlKjJptNbEcFhsHMZYyo4Ww.jpg?width=1200)
したり顔で言ってみたいもんだ
(湖南市石部東の西福寺にて 6月8日13時59分)
歩くのは、歩くこと自体を楽しむため。
一晩寝てもふくらはぎの痛みは治まらない。
きっと3日間のスタスタ歩きが負担だったんだろう。
そうだよ。急いで歩く必要なんかないんだ。
プロセスを楽しむんだ。
歩き方を変えなくては。
ホテルでの朝食後、足の湿布薬を貼りかえ、
名古屋の自宅に帰る。
![](https://assets.st-note.com/img/1734966184-HFt752PTjVWhcd8QsCgARqI3.jpg?width=1200)
(草津線車内にて 6月9日11時28分)
歩くのは、自分の歴史を刻むため。
そして、この道中を記録に残そう。
そうしたら旅を二度味わえる。
でも、道中案内記にはしないでおこう。
みんなと同じじゃしょうがない。
自分らしくいこう。
道中で感じたことを書き留めるだけの、
旅のエッセーにしよう。
だからね、この「五拾三次旅日記」を
実用的なガイドブック代わりに読もう
という人には期待外れになるよ。
てなことで、第1話は、京都〜水口宿間、
3泊4日の旅でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1734966184-m0rl4SuNKDIfBzGxTV1ZeF2b.jpg?width=1200)
第2話は、2025年1月4日土曜日公開予定です。
以下、11話まで各話一週間ごとに公開します。