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団塊ジイさん五拾三次旅日記 第1話。

旅人と我名呼ばれん 初しぐれ (芭蕉)

時間を持て余している。
当年とって74才。
仕事もヒマ。アマプラも飽きた。
じゃ、東海道でも歩いてみるか。
いにしえの旅人になった気分で。

東海道五拾三次を
京都から江戸に向かうと決めた。
聞くところでは
旧東海道を歩く人は、
江戸から京に上る人が8割、
京から江戸に下る人は2割らしい。

京都から歩いた順に、11話にわけてお届けします。
毎週土曜日一話掲載予定。


第1話。

名古屋の自宅→京三条大橋〜水口(みなくち)宿間、4泊5日。

2024年6月6日〜9日(1日目〜4日目)の行程

2024年6月6日木曜日。
暑からず寒からず、季節は良し。
快晴の朝、いざスタート。
事前に、自宅のある名古屋市近辺を何度か歩いてみて
こんな旅姿に落ち着いた。

自画像です

だけど、なぜぼくは歩くんだろう。

なぜ歩くか。
ヒマだから、には違いない。
でも、前向きな理由もつけておきたい。
考えながら三条大橋を渡りはじめた。

京都からの旅立ちを見送ってくれる人はいない。
でも、日本橋で迎えてくれる人はいる。
だって、東京は30年暮らした街だから。
五拾三次を歩き通したら土産話になる。
喜んでくれ、話が弾んだら
かけがえのない思い出になる。

そうなんだ。

歩くのは、思い出を語るため。


名古屋から京都までは新幹線。
三条大橋からひとり、
江戸日本橋に向かって歩きはじめる。

(京都市中京区大橋町の三条大橋たもとにて 2024年6月6日8時41分)

さて、呑兵衛である。
旅の楽しみは、何を置いても
ご当地のおいしい酒と肴にありつくこと。
馬の鼻先のニンジンだな。
安くておいしいものに出会えたら記録しよう。

歩くのは、おいしい酒肴に出会うため。

郷土料理が美味しかった
(大津市末広町の下田屋(しもたや)にて 6月6日19時28分)

五拾三次最初の宿場町、大津宿を歩いていたら
またひとつ、旅の目的が見つかった。
道中で面白い!と思えるコピーやビジュアルの写真を撮ろう。

歩くのは、面白い表現に出会うため。

脱力感のある筆文字も味がある
(大津市京町の清源寺にて 6月7日8時46分)

草津宿から石部宿への道中。
延々と産廃置き場が続く。
ダンプカーが次々にぼくを
追い越していく。
ウンザリして、腹も減って。

でも、オアシス発見! 
石部宿の田楽茶屋。
地元のお年寄りたちが
和気あいあいとお昼を食べていた。
お年寄りたちとの会話を楽しむ。
楽しみながら、
石部宿名物とろろ飯、缶ビールで喉を潤す。
まさに旅の醍醐味。
そうなんだ。

歩くのは、見知らぬ人と出会うため。

(湖南市石部西の田楽茶屋にて 6月8日12時5分)
(湖南市石部西の田楽茶屋にて 6月8日12時13分)

とろろ飯を食べて茶屋を出たところで
右のふくらはぎが痛くなる。
どんどんひどくなる。
夕闇迫るなか、石部宿から水口宿まで
14㎞を歩く。
足を引きずってホテルにたどり着く。
思いがけないトラブルとの遭遇。
いままさに、トラブルに鍛えられている?ぼくがいる。

歩くのは、生きているという実感を味わうため。

それにしてもこのセリフ、誰かに
したり顔で言ってみたいもんだ
(湖南市石部東の西福寺にて 6月8日13時59分)

歩くのは、歩くこと自体を楽しむため。

一晩寝てもふくらはぎの痛みは治まらない。
きっと3日間のスタスタ歩きが負担だったんだろう。
そうだよ。急いで歩く必要なんかないんだ。
プロセスを楽しむんだ。
歩き方を変えなくては。
ホテルでの朝食後、足の湿布薬を貼りかえ、
名古屋の自宅に帰る。

帰路、ジャックダニエルを啜っていたら雨が降り出した
(草津線車内にて 6月9日11時28分)

歩くのは、自分の歴史を刻むため。

そして、この道中を記録に残そう。
そうしたら旅を二度味わえる。
でも、道中案内記にはしないでおこう。
みんなと同じじゃしょうがない。
自分らしくいこう。
道中で感じたことを書き留めるだけの、
旅のエッセーにしよう。

だからね、この「五拾三次旅日記」を
実用的なガイドブック代わりに読もう
という人には期待外れになるよ。

てなことで、第1話は、京都〜水口宿間、

3泊4日の旅でした。

第1話。6月6日〜9日(1日目〜4日目)の行程

第2話は、2025年1月4日土曜日公開予定です。
以下、11話まで各話一週間ごとに公開します。

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