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京都の伝統工芸「京扇子」:平安時代から続く歴史と魅力

京扇子は、平安時代から京都の人々の生活に深く根付いてきた伝統工芸品です。扇子は涼を取る道具としてだけでなく、狂言や能、舞などの伝統芸能にも欠かせない存在です。また、仏教の法要で使用される中啓(ちゅうけい)という特別な扇子は、僧侶にとっても重要な法具となっています。京都市には50以上の扇子専門店があり、その中でも特に歴史ある遠藤新兵衛商店は、創業から250年にわたり寺院向けの扇子を製造・販売し、伝統を受け継いでいます。

寺院との深い結びつき

京都市は宗教都市としても知られ、約1500の仏教寺院が点在しています。遠藤新兵衛商店は、西本願寺から徒歩10分の場所に位置し、多くの寺院の御用達として歴史を刻んできました。8代目当主の遠藤新兵衛さんは、「先代からのご縁で、多くの本山用達として扇子を作り続けてきました」と語ります。創業当初は京都御所近くに店舗を構え、宮中に納める扇子を製造していましたが、明治時代の東京遷都を機に現在の場所に移転しました。

扇子の歴史と発展

扇子の起源は平安時代にさかのぼり、当初は檜扇(ひおうぎ)と呼ばれる木製の扇子が使用されていました。紙が貴重だったため、木簡を綴じ合わせた形で作られていました。これが室町時代になると一般庶民にも普及し、様々な用途で発展していきました。特に鎌倉時代には、現在の僧侶が使用する中啓の形が定着し、現代まで続いています。

手作業による高品質な仕上げ

遠藤新兵衛商店の扇子は、一つ一つが手作業で仕上げられています。「扇子の製造は非常に繊細で、紙の中に糊を入れる作業には特に技術が求められます。この作業を完璧に行うには3年ほどの修行が必要です」と遠藤さんは語ります。同店が主に扱う中啓は、一般的な扇子より少し大きく、一尺(約30センチメートル)から一尺五分(約32センチメートル)のサイズで作られています。

まとめ

京扇子は、その美しさと実用性から長い歴史を持ち、京都の伝統文化と密接に結びついています。遠藤新兵衛商店のような老舗は、歴史と技術を大切にしながら、現代のニーズにも応え続けています。これからも多くの人々に愛され、京都の文化を支えていくことでしょう。


京都の伝統「京扇子」


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