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分け隔てなく相手と向き合う/株式会社GENZ/板垣生

若者応援企業を巡るスタディツアー、今回は株式会社GENZを訪問。社長の板垣さんにお話を伺いました。


株式会社GENZの紹介

株式会社GENZは、東京都千代田区に本社を置くソフトウェアの品質管理と支援を専門とする会社です。システム開発現場で発生する品質管理の問題を解決することに特化しており、リリース前のシステムやアプリのテストをメインにお客様の課題を解決しています。技術だけでなく人間性を重視する企業文化があり、未経験者はもちろん、多様な人材を積極的に採用し、個々の潜在能力を引き出すための支援を行っています。
 

自由と責任はセットだと経験から学んだ

―こんにちは!本日はよろしくお願いいたします。まずは板垣さんご自身のことについてお聞かせください。幼少期はどんな環境で育ったのですか?

こんにちは!板垣生(いくる)です。結構珍しい名前で、学生時代は4月に担任の先生が変わるたびに「なんて読むの?」と聞かれるところから新しい学年がスタートしていました。私は1984年、青森県青森市で生まて、父は青森市役所で働く公務員を定年まで勤めあげ、母は教材販売のOL、化粧品メーカー、給食センターの事務職員として働いていました。両親ともに基本的に放任主義でして、悪いこと以外なら何やってもいいけど、全部自己責任でやりなさいというタイプでそのときの教えがそのまま染み付いて大きくなった気がします。親から言われたことで印象に残って今の自分の行動指針となっているのが「みんなが嫌がる仕事を最初にやりなさい」という言葉です。
 

―全部自分で責任を取れという方針だったのですね!学生時代のことについて教えていただけますか?

おそらく先生たちからは取っ付きづらい面倒な生徒だって思われていたんだろうなと思いますね。いろいろ斜に構えていたので。でも、自分がやりたいことがあるなら、自分がその物事の中心にいるのが1番実現できる可能性が高いよねということに小学生ぐらいの時に気づいて、それを未だに実践してます。周りから見ると変わってたんだと思います。
基本的に僕は小さい頃から田舎を出たかったので、高校を卒業して東京に行くことになった時は、すごくウキウキしながら東京にきたのを覚えてますね。ただ、先程お伝えしたように自分がやりたいことをするために東京に行くことにしたので、親は最低限の支援だけをしてくれて他は自己責任、仕送りは一切出さない。なので、選んだ道が「新聞奨学生」という制度の活用でした。新聞の販売所に住み込みで新聞配達する代わりに学費を援助してくれるよっていう制度で、朝早くから新聞配達や集金などの作業と学生を両立できるように日々奮闘していました
 

キャリアの転機サラリーマンからフリーランスへ

―卒業後はどのような道に進まれたのですか?

とあるIT事業会社に入社しました。当時は、IT企業自体がまだ少ない時代でその中でECサイトを開発・運営してる会社でした。そこで今の仕事につながる「品質保証」や「QA」という概念を学び、またベンチャー特有の自由な感じとすごい速度で事業が進んでいく、このスピード感にとても魅力を感じて、6年間在籍させていただきました。
その後は、いわゆる大企業で働きたいと思い通信会社へ就職致しました。そこでは窓口端末の開発と保守対応を行っており、確かにまごうことなく大企業ではあったのですが、前のベンチャーとのスピード感の違いやいろんなルールが固定化・厳格化された中で働くことが自分には合わなかった。そうしたフラストレーションが溜まりやばいな...と思ってた時に東日本大震災が起き、いろんな人生観が少し変わったことをきっかけにして退職を決意しました。
 

―今当時を振り返ってみるとどうですか?

今となってはよかったと思っています。この退職をきっかけに、自分自身のキャリアと生き方を見つめ直そうと決めて、その結果しばらくはフリーランスでやっていこうと思いました。フリーランス経験は、自身のスキルとビジネスセンスを磨く貴重な時間となりましたね。例えばフリーランスは給与が保障されていないじゃないですか。当時は銀行口座の残高がやべえって思う時が3か月に一回ぐらいありました。今月入金9万円しかない...やばいどうしようみたいな。

この感覚は初めて、運命を変えた出会い

―GENZの創業者の桝井さんとの出会いや関係性を伺ってもいいですか?

もちろんです。桝井とは今の会社の前身の会社で働いていた時に出会いました。今からむちゃくちゃ調子に乗ったように聞こえる発言しますけど許してくださいね(笑)。僕、前職やフリーランスになってからも、自分より仕事できる人間はいないなって結構本気で思ってたんです。それぐらい仕事は真剣にやってたので。だけど、桝井に会った時に「あ、僕より仕事できる人いたわ」って初めて思ったんです。元々営業出身なのでもちろん営業は上手いんですけど、下手なエンジニアよりエンジニアリング力があるし、何より事業を進めていく経営力が凄い。「この人と一緒に働きたい」と思いましたね。今は会長と社長という関係性になりましたが、今でも彼は天才だと思ってます。

難しいではなくどうすればできるか?GENZの採用哲学

―それが今のGENZに繋がっているんですね!会社のことについても教えてもらえますか?まずは採用についてお願いします。

品質管理、いわゆるテストの仕事ってそもそも経験者が少ないんですよね。だから未経験採用は積極的に行っています。それと社会的マイノリティの方を採用していきたいという思いがあり、発達障害の方や知能指数のボーダーとされる方も採用しています。正直、この仕事との親和性はあんまりないと感じる方もいます。細かい作業だったりとか、ミスしたら大変なことになる作業が多いので。だけど、特性として向いてないからと言って採用しないとしてしまったら、会社としてもそれ以上のことが何もできなくなっちゃう。どうしたら一緒に働くことができるかを考えていくことが大切だと思うんです。


―板垣さんの故郷の青森にも拠点がありますよね?そちらの採用はどうされているんですか?

基本的には同じで、分け隔てなく採用しようという考えです。シングルマザーの方が田舎には多かったりするので、会社に子供連れてきていいよっていう話をして働いてもらったりしています。 あとは夜のお仕事から昼の仕事にに移るパターンもあります。キャバクラで働いていた方が転職でうちに来たりすることも多いです。


―採用後の育成はどうされているんですか?このお仕事は覚えることが多い印象があります。

そうですね。確かに全部を覚えようとするとなかなか大変です。さらに最近スマートフォンのアプリとかもリリースまでのスピードが早いんですよ。制作開始してからリリースまで2ヶ月ぐらいしかなかったりするので、 テストの依頼が本当に急にきて「来週までお願いします」と言われたりする。いやいや、今日もう金曜日なんですけど...みたいなことが結構あったりします。
だけど、仕事を細分化することで対応できると考えていて、「最低限これは分かっていてくださいね」っていうのが ある。全部覚えようとすると無理なので、車の運転だったらアクセルとブレーキだけはまず覚えてという感じで、仕事を簡潔なものと複雑なものに分けて、知識や経験が浅くてもできる仕事を作っています。 

公正と透明性GENZの育成と評価システム

―ホームページに離職率を出されていますが、5%ってかなり低いですよね。何か秘密があるんですか?

業界的に人の流動性は高いので、同業他社だと離職率は大体30%ぐらいだと言われてます。それと比較するとうちは6分の1です。その要素は何ですかってと聞かれると公平性なのかもしれないですね。給与テーブルなども公開してるんですよ。よくありがちな、同じ仕事してるのにあの人の方が高いのはなんでだとかあっても、それを見たら1発で理由が分かるようになっている。やっぱり誰しもお金のことは気になるじゃないですか?だからできるかぎり不透明性を失くすことにしています。
それと、分け隔てなく様々なバックグラウンドをお持ちの方を採用しているので、メンバー同士の相性も考えるようにしていますね。全員に診断テストを受けてもらっていて、テストの結果だけで全部を決める訳ではないですが、なかなか活躍ができていないメンバーがいた時にデータを参考にしてチームを組み替えたりすることはあります。あとメンター制度を導入しているのと人事評価制度も整えています。今は年に2回評価するようにしてまして、技術メンバーで部長クラスの人が、必ず1対1でメンバー全員と話をして、評価するポイント、目標に対してあとどれくらいで何ができていて、次は何をすればいいのかを丁寧にフィードバックしています。

自由な社風と背景にある価値観

―人を育てる仕組みがあるのですね!社内を見学させていただいて社風も自由度が高そうな感じがしました。

そうですね。考え方や価値観もそれぞれ違うので、その人らしく働いて結果を出してもらうことを大事しています。仕事がしっかりとできていれば厳しく言われることはないし、髪型や服装も自由、個性的なメンバーも多くて、ある人は「動物園みたいな会社」と言ってましたね。


―働く人のことを考え様々な取り組みをされているんですね!ここまで話を聞いていて、板垣さんが完璧な人間に見えてるんですが、最後に趣味とか聞いてもいいですか?

基本的に趣味っぽいものがあんまりなくて、音楽は好きなジャンルは特になく、曲が好きだったら大体聴きます。スポーツは、サッカー、フットサルは昔やってたんで大好きです。出身青森なので、スキーのインストラクターの資格を持ってたりします。あと、一番好きなのは、ドラえもんです。昔からドラえもんだけはずっと見続けてて、映画館で周りをちびっ子に囲まれながら1人で映画観ました(笑)。

―めちゃくちゃ趣味多いじゃないですか!最後に板垣さんの人間ぽいところが見られてよかったです。本日はありがとうございました。

今回のスタディツアーの学び

分け隔てなく多様な人を受け入れ採用しているGENZの凄さは、ただ採用するだけでなく、採用後の教育とサポート体制が構築されている点が本当に素晴らしいと感じました。テクノロジーを駆使しながら、そこにちゃんと人が介在して向き合うことを大切にしている。スタッフの方が自分の個性を大切に生き生きと働かれている姿が印象的でした。
主催:ボーダレスキャリア株式会社

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