私が航空整備士を辞めた理由

皆さん、三連休いかがお過ごしでしょうか。

今日は、航空整備士へ就職、転職をお考えの方へ向けて
書いていきたいと思います。
※私はヘリコプターの整備士だったので、ヘリコプターの話が
 メインになります。

はじめに、
これは私の個人的な考え方や経験を元にしたことなので
風の噂程度に聞き流して下さい。

航空整備士のイメージ


まず航空整備士とは、どんな人達が何をしているのか。

・飛行機やヘリコプターの整備をするなんて難しそう。
・空を飛ぶものだから整備も厳しそう。
・航空整備士というのは、人の命を運ぶもの
 少しのミスも許されない過酷な現場で常に緊張して作業をしている。

こんなものでしょうか。

では、実際はどうなのか。

答えは、人による。

こんな風に書いてしまうと、批判されてしまうかもしれませんが
私が経験した現場では、まさにこの言葉が当てはまります。

一部のスーパーマンが業界を支えている印象です。

何故、辞めたのか


さて、本題ですが
辞めた理由は3点あります。

  1. 仕事内容の責任が重すぎる

  2. 仕事を出来る人に異常に業務が集中する

  3. 業務に対する報酬が少ない

この3点が主な理由となります。

では、それぞれ深掘りしていきましょう

・仕事内容の責任について

これは想像の通り、1つの事故で全てが終わってしまう大変責任の重いものです。
航空業界は常に、【安全】という言葉を見聞きします。

この【安全】という言葉が非常にやっかいなのです。

航空整備の世界では、起こった事案に対して
・ヒヤリハット
・インシデント
・事故
などのようにランク付けされます。

ヒヤリハットとは、
言葉の通り
・工具から手を滑らせて、危うく人や機体に当たるところだった。
・脚立のネジが緩んでいた
など、比較的身の回りに起こったこと、みたいなイメージです。

インシデントとは、
あと一歩で重大な事故になっていたようなことで
・航空機をけん引中に近くを別の航空機が通り、タイミングによっては衝突していた。
・回転体や電気関係を作業しているものがいるのに、電源をいれたり回転体を動かしてしまった
など、運が良く事故にならなかったこと、みたいなイメージ。

事故は言わずもがな、機体や人が損傷してしまった状態を言います。

航空整備士は作業の全般を管理しながら、自分でも後輩に教え、作業し
上記の【安全】に影響があることが起きれば上司に報告し
また、整備作業が終わりフライトに移っても本当に問題ないのか
帰ってくるまで不安になるものです。

これは非常にストレスのたまることでした。
なお、ヘリコプター整備士は1人1機の面倒をみることになります。

・仕事が出来る人に業務が集中

これはどこの会社でもあることだと思います。
責任感が強く、仕事が出来る人が多くのことをやり支える。
そういう部下がいると上司も任せたくなる気持ちもわかります。

ですが、仕事にに対するストレスが非常に大きいので、耐えきれず
心を壊してしまった人も多く見てきました。

責任感が強い人がいる一方、逆の人もいます。

そういった人は、マニュアルを読まず、雰囲気や自分の考え持ち出します。
そんな人が整備した機体に誰が乗りたいでしょうか?

結局、そういう人にはなるべく整備をさせない体制を取るせいで
仕事が集中してしまいます。
※なお、航空整備士は年々減ってきておりますので
 今後どうなるかはわかりません。

・業務に対する報酬が少ない

航空整備士の資格は、国家資格です。
資格取得には家庭を犠牲にしてまで勉強しなければなりません。
知り合いには、仕事の後に勉強するため帰りが遅く離婚した人
育児参加出来ず、妻が育児ノイローゼになった人など

それだけの犠牲を出して取得するのが航空整備士の資格です。
もちろん、遅くまで勉強していたとしても、資格取得の為に個人が残っているので残業代も出ません。
それだけの犠牲を払い、資格取得した後の報酬は資格取得手当1万円のみ
基本給もそこまで高くありません。

責任の重さはパイロット(機長)と同等です。
何故、ここまで責任が重いのに報酬は倍近く違うのか、疑問に思った時点で
私の航空整備士としての人生は終わりました。

ここまでネガティブな内容ですが、良いこともあります。

ヘリコプターや飛行機など乗ることができますし、
自分の整備した機体が飛んでいる姿をみると達成感もあります。
富士山の真上を飛んだり、有名な観光地や東京の夜景などが見放題です。
航空機が好きな人であれば天国のような職場でもあると思います。

最後に
仕事は大変でしたが、技術力や考え方など知識が増え自分に自信が持てたので悪い経験ではなかったなと思います。
これから航空整備士を目指す人は覚悟を持って挑む強い心が必要だと思います。





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