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福井県サッカー協会75周年記念寄稿【福井丸岡RUCKとフットサル】



1、フットサルとの出会いとEXILECUP


福井丸岡RUCKは、1991年に結成された女子サッカーチームです。全日本女子サッカー選手権大会の北信越代表を決める北信越予選を北信越5県持ち回りで開催することになり、「福井にも女子サッカーチームを」という呼びかけに応えるために、男子社会人チームの「FC.RUCK」が丸岡中学校女子サッカー部の卒業生を受け入れ、女子カテゴリーを新設しました。

 結成当初、石川県の苗代レディースや富山県の富山レディースなど、北信越を代表する強豪チームになかなか勝てず全国大会に出場することはできませんでしたが、小学生年代から選手を育成した成果が出始め、全日本女子U-15サッカー選手権大会や全日本女子U-18サッカー選手権大会に出場できるようになりました。しかし、全国大会の予選リーグを突破するには関東や関西の有名チームとは大きな実力の差がありました。福井県は日照時間が全国で3番目に短い県であり、10月末から3月中旬まで外で練習できず、狭い室内で個人技中心の練習になります。冬場の全国大会はぶっつけ本番で大きなコートで試合をし、走り負けてしまうというのが予選敗退の原因でもありました。

 結成から12年たった2002年、日韓ワールドカップが開催されました。テクノポート福井でメキシコ代表が事前キャンプを張り、県内のサッカー熱が高まってきました。日本中を熱狂させたW杯が終わると、JFAは「キッズサッカー」の普及を提唱するようになり、キッズの育成に必要なミニゴールなどの用具を各県FAに配布しました。それと同時に、RUCKも高椋小学校周辺に住むちびっこ達によびかけ、RUCKキッズを立ち上げました。

 福井県サッカー協会は、1990年から「ビックエルカップ~女子5人制サッカー大会~」を行っていたため、クワトロゲームで選手育成を唱えるJFAのプログラムと福井の女子サッカー委員会の選手育成の方針は見事に合致しました。また、丸岡に古城ドームが完成し室内でミニサッカーができるようになりました。NPOスポーツクラブ丸岡が古城ドームで「ちびっこサッカー大会」を定期的に開催してくださったこともあり、天候に関わらず、楽しくサッカーができると部員がたくさん集まりました。さらに、福井県フットサル委員会は2006年から「U-10フットサルリーグ」を新設し、幼少期からフットサルのゲームで選手と指導者を育成することに着手してくれました。

 2009年、RUCKキッズ初代メンバーが小学6年生になりました。お盆に静岡県清水市で開催された「全国少年少女草サッカー大会」で準優勝、2月に福島県のJヴィレッジで開催された「全国なでしこカップ」で優勝することができました。小さな時からフットサルに携わりたくさんボールに関われたことで個人戦術が向上したこと、セットプレーを自分たちで話し合って決めるなどチームワークが格段に良くなったことが勝因だと思います。JFA、県協会、NPOスポーツクラブ丸岡、多くの方に支えられながらフットサルとサッカーを融合し、両方に取り組むことの大切さを結果として証明できたことを大変うれしく思いました。

 2010シーズン、福井丸岡RUCKに大きな転機が訪れます。2009シーズンの「キヤノンカップ関西大会」が大会前日に豚インフルエンザで中止、フットサルの大会でも結果を残したいというチームの目標を達成するために、RUCKガールズは、新チーム結成から6月の全国大会までフットサルの練習に励んできました。しかし、残念なことに全国大会の決勝で名古屋レディースに敗れ準優勝、目標を達成することはできませんでした。そこで、保護者の方が「エグザイルカップ」という男子の大会にエントリーしてくれました。Jグリーンで開催される男子の大会でしたが、優勝すると長居スタジアムで行われるエグザイルのコンサートにご招待という副賞もついていました。「関西の男子チームの大会で優勝するのは無理」と指導者はあきらめていましたが、なんと予選を突破し、吹田クラブさんとの準決勝もPK勝ち、決勝まで勝ち上りました。大阪セントラルさんとの決勝は、前半1-0でリードし、後半失点して1-1、延長は必死に守って0-0。最後のPK戦は疲れ果てて4人全員外してPK戦0-2で負けてしまいました。しかし、帰りの車の中に大会主催者から電話が、「女の子だけのチームなのによく頑張りました。よかったら、エグザイルのコンサートに来てください」というありがたいお話でした。「保護者の方もどうぞ」というお言葉に甘えて、ガールズの選手たちだけでなく、保護者や兄弟姉妹、総勢30名で長居スタジアムに行ってきました。最後にエグザイルのメンバー全員と撮った集合写真は、選手たちの一番の宝物になっています。

2、2010年第20回バーモントカップ


2010年11月20日〜23日、トリムパークかなづで開催された「第20回バーモントカップ福井県大会」に出場しました。前年のRUCK最強チームでも、男子相手に予選を突破するのがギリギリでした。1次予選は春江町・立待FC・武生BK相手に3勝、2次予選は森田に勝ちましたが、予選で勝った春江に負け1勝1敗、決勝リーグをかけた決定戦に出場することになりました。金津Fさんに0-0でPK戦を4-2で勝って、次のステージに進出できました。決勝リーグは、明新さんに4-1、本荘新郷さんに2-1、1位で準決勝に進出です。準決勝は啓蒙さんに3-1。決勝はJリーガーになった下口選手やナショナルトレセンに選出されていた諏訪選手がいるロッソ春山さんとの対戦でした。後に北陸高校の正GKで選手権に出場した椎葉選手がキーパーで、試合の始まる前からロッソ春山さんの勝利を疑う者は誰もいなかったと思います。

 試合開始直後、高尾・田中が決め2-0、終了間際に失点しますが、高尾が2点目をあげ2点リードして前半を終えます。後半、連続失点して3-3に、それでも高尾が取返し4-3、その後、またまた連続失点で4-5、逆転を許しました。これで力尽きたかと思いましたが田中の同点ゴール、5-5の同点で後半終了しました。延長前半、春山が先制、北川が取り返し6-6。延長後半、北川がゴール、春山が連続得点で7-8、あきらめないRUCKは最後の最後で高尾の同点ゴール。終わってみれば、8-8。全国大会の出場はまたしてもPK戦で決まることになりました。先攻は春山、後攻がRUCK。春山は確実にゴールを決めます。RUCKも北川・田中・高尾が決め、3人けって3-3。4人目5人目は、相手が外すとこちらも外して3-3。次からはサドンデスです。春山の6人目が決め4-3、RUCKも東が決めて4-4。春山の7人目をGKの鵜飼が止めます。RUCKの7人目はGKの鵜飼がキッカーです。「勝ったらディズニーランドに行きたい」という願いが叶い、見事ゴールイン。史上初の単独女子チームの全国体出場が決まりました。

 1月、元旦に渋滞の中東京に移動、2日は約束のディズニーシー、3日はRUCKにフットサルの楽しさを教えてくださった大阪の吹田クラブさんや山梨のアミーゴス三ッ峠さんと調整試合をして大会に挑みました。4日の予選第1戦は福島県代表の岩瀬FCです。サブアリーナで行われたこの試合は、初出場の緊張から駒沢体育館の雰囲気にのまれて1点も奪えず0(0-2:0-2)4で敗戦、普段の実力が出せず悔しい気持ちでいっぱいでした。2戦目は、メインアリーナに移動して、鹿児島代表の鹿児島南との試合でした。「まずは1点」を合言葉に得点を狙いに行きました。前半早い時間に失点、しかし、北川を起点に攻撃に転じます。前半6分、左サイドで高尾のパラのパスを北川がドリブルシュート、山本が体ごと押し込み1-1の同点。その後、失点し前半を1-2で折り返します。後半、高尾が得意の左サイドから得点して2-2、直後に失点2-3、北川と高尾の連続得点で4-3、またしても失点、4-4。そして、終了直前に山本、北川、高尾とパスがつながり高尾が左足でダイレクトシュート、ボールは右のサイドネットに吸い込まれていきました。もう一方の試合が終わっていたので、この試合を会場にいた2000人近くの人がみんな見てくれていました。会場が揺れるくらいのすごい歓声が響いたのを覚えています。史上初、女子単独チームの全国大会での一勝は、フジテレビのニュース・スポーツの力で「今大会一番の奇跡」と放送されました。

 5日の予選最終戦は栃木県代表のともぞうSCに、北川の意地の1発が決まりましたが、1(1-2:0-2)4で敗れ、予選リーグ敗退となりましたが、全国大会は、「男子の全国大会に女子チームが出場する」と取材ラッシュでした。朝日新聞、フジテレビ、TBS、ジュニアサッカーを応援しようという雑誌も大会前日から密着取材をし、Webで大会の様子を速報してくださいました。のちに、Numberというスポーツ紙がRUCKのこの1年間の歩みを記事にして掲載してくださいました。JFAの方が、メディアにRUCKガールズの存在を伝えてくださったことがきっかけで、このような貴重で楽しい体験ができました。今振り返れば、「フットサルと出会ったおかげで、私達の人生は彩られていった」といっても過言ではないと思います。


JFAインタビュー


Number776

http://maruoka-ruck.sakura.ne.jp/syoukai/Nnmber776.pdf


3、第1回全日本女子U-15フットサル選手権大会

2011年1月9日~10日、第1回全日本女子U-15フットサル選手権大会が岐阜県で開催されました。前年のプレ大会に続き、福井丸岡RUCK U-15は北信越大会で優勝し、全国大会に出場しました。12月の北信越大会には、6年生の田中や山本も出場して得点を挙げました。本当なら、U-15の全国大会にバーモントメンバーも出場する予定でしたが、体調不良者が多く断念しました。

 9日の予選リーグ1戦目、準優勝の沖縄のうないFC戦は、小林心と菅谷が得点しましたが3-6で敗れました。2戦目は、千葉のジェフレディース戦です。前半開始早々小林心が先制すると菅谷、鈴木の連続得点もあり3-1で勝利しました。その結果、運よくワイルドカードで準決勝に進出できました。

 優勝した岡山のエフロンテとの準決勝は、前半鈴木のシュートで先制しましたがその後失点し1-1、後半は3連続失点の後菅谷の得点などで3-4に追いすがりましたが競り負けました。現在、WEリーグで活躍する三谷沙也加選手の左足のシュートは、この大会で他を圧倒していました。

 しかし、福井丸岡RUCK U-15は、JFA主催の大会で初めて3位に入賞し銅メダルを獲得しました。北川夏奈の姉である結菜ら中3は夏で引退、池内天紀の姉の静和、小林、五十嵐ら中2が3人、中1中心のメンバーでよく戦いました。この全日本女子U-15フットサル選手権大会の新設こそが、福井丸岡RUCKがフットサルの世界に入り込む大きなきっかけになりました。

 大会終了後、大会を運営していた岐阜県サッカー協会の纐纈フットサル委員長に、RUCKを東海女子フットサルリーグに参加させてもらえないかと相談しました。後日、「福井県や北信越に女子フットサルリーグがない状況なので、2011年度、愛知県リーグに加盟し愛知県女子フットサルリーグに参加してもいい」という連絡を東海フットサル連盟からいただきました。

 これまで、民間大会を探し東海や関西のカップ戦に出ていましたが、年間を通して定期的にフットサルができることになりました。東海フットサル連盟が福井の若者にチャレンジする環境を与えてくださったのです。



4、フットサル武者修行とJFA大会で初の日本一


2011シーズンが始まり、福井丸岡RUCK U-15は、サッカーとフットサルの融合を目指し、夏の全日本女子U-15サッカー選手権と、冬の全日本女子U-15フットサル選手権で日本一になるために、全国各地を駆け巡りました。

 北川夏奈は、JFAエリートブログラムU-13の日本代表に選出され、6月7日~15日にベトナムのホーチミンで開催された「AFCガールズフェスティバル」に参加しました。小学校の時は、サッカーとフットサルの活動でトレセンには無縁だったのにいきなりの代表選出に驚きました。

 全日本女子U-15サッカー選手権は6月12日に福井県のテクノポートで開催されましたが、北川不在のRUCKは、準決勝で富山レディースに0-1で敗れ、全国大会には出場できませんでした。その後、関西や東海の女子フットサルの強豪チームにお願いして、武者修行に出かけました。神戸のアルコイリスさんやSWHレディースさんに出会ったのもこの2011年です。

 11月26日~27日、南長野運動公園で「第2回全日本女子U-15フットサル選手権北信越大会」が行われました。福井丸岡RUCKは、石川のリオペードラ加賀に12-0、新潟のグランセナ新潟に10-0、長野のアンテロープ塩尻に12-0、富山のアンテルーガ富山に15-0と4試合で49得点を挙げ無失点で優勝します。キャプテンの菅谷と副キャプテンの鈴木、そして北川は12点を挙げ得点王となりました。

 全国大会は2012年1月8日~9日に岐阜メモリアルセンターで開催されました。予選第1戦は、北海道のクラブフィールズリンダです。前半3分、菅谷、北川、4分に田中と怒涛の攻撃を仕掛け前半を3-0で折り返しました。後半13分に、現在アルコ神戸に在籍する高畠早奈恵選手に1点返されましたが3-1で大事な初戦に勝利しました。予選は16分の短い試合時間で、RUCKもリンダもFPの選手を1人しか交代しない拮抗した試合だったことを覚えています。予選第2戦は愛媛のトレーフルと対戦しました。前半4分に鈴木、6分に菅谷、後半も14分に菅谷と高尾、16分に吉村が得点し5-0でグループ1位となり予選を突破しました。

 翌日の準決勝は大分の中津トマトとの対戦です。相手のキャプテンはSWHの尾川奈穂選手でしたが、北川の4得点、菅谷2点、鈴木と羽柴、小林心が得点し9-0で完勝しました。決勝は宮城のファンレディースとの対戦です。ファンさんとは昔から交流があり、この年もファンさんは夏のサッカーの全国大会でJグリーン行く前に、わざわざ丸岡に寄って丸岡スポーツランドで調整試合をしてけれました。今は、同じLUZのユニフォームを身につけ、LUZファミリーとして活動しています。

 決勝戦は、前半2分に鈴木と北川が連続得点、8分にも田中と小林心が得点し4-0となりました。その後取り返され前半は4-1、後半も11分に菅谷、12分に失点しますが13分に北川が得点し6-2になりました。ここで、キーパーも浅野から鵜飼に替え全員出場、終わってみれば7-3という危なげない勝利で、JFAの公式大会初の金メダルを獲得しました。

 2日目は20分の試合だったので、ほとんどの選手を試合に出すことができました。隣でやっている男子は、予選が20分、準決勝からが30分。小学生年代で男子と試合をしていたRUCKにすれば、複雑な心境でした。

 JFA主催の大会で福井県勢として、初めて日本一になりました。RUCKファミリーの選手や保護者、丸岡中学校の大代校長も岐阜まで応援に駆けつけてくださいました。次の日からも知事に表敬訪問をしたり、新聞やテレビの取材を受けたり、福井県の皆さんが、初めての日本一をとても喜んでくださいました。

 この年、愛知県女子フットサルリーグでも全勝優勝し、翌年から東海女子フットサルリーグに昇格できることになりました。この優勝は、RUCKにフットサルを教えてくださった強豪チームの指導者やお姉さん達のおかげです。本当にありがとうございました。

5、フットサルとサッカーの融合で全国ベスト4


2012年度、RUCKキッズの初代メンバーが中学3年生になりました。福井丸岡RUCK U-15は、7月28日~8月2日に、大阪Jグリーンで開催された「第17回全日本女子ユース(U-15)サッカー選手権大会」に北信越第3代表として出場しました。

 全国大会の1回戦、鹿児島の日置シーガルスとの試合は、前半13分に田中の右コーナーキックを鈴木がヘディングシュートを決め先制、18分に高尾が追加点、後半も再び田中の右コーナーキックを羽柴がヘディングシュートで3-0、その後、北川、吉村、北川と得点を重ね6-0で勝利しました。

 2回戦、優勝候補の関東第1代表のジェフ市原千葉レディースU-16と対戦しました。ジェフ市原のメンバーには、高瀬はな選手や佐藤瑞夏選手、現在浦安の松本直美選手がいました。炎天下の中での試合は、ロスタイムの前半30+3分、佐藤選手に先制点を許します。しかし、メンタルトレーナーの藤代さんからアドバイスをもらって逆境を克服するトレーニングを積んだRUCKの選手たちはあきらめません。後半9分、菅谷が右サイドを突破しセンタリング、それを左サイドバックの白藤が決め同点にします。試合終了間際、決定的なピンチを守護神の浅野が顔面プロックで防ぎます。治療のため、長いロスタイムになりましたが、後半30+9分、吉村がスライディングで左サイドの高尾にパス、高尾はドリブルで左サイドを疾走しゴール、難敵相手に2-1の逆転勝利となりました。

 準々決勝は、関東第8代表の十文字中学との対戦となりました。前半7分に北川が前プレでGKのボールをカットして先制、しかし、17分と23分に失点、前半は1-2でリードを許します。しかし、後半開始直後から猛反撃が始まります。後半2分に吉村が左からの北側のセンタリングをゴールに流し込み同点、4分に高尾が左サイドのドリブルシュートで逆転、7分に北川が田中のロングパスをドリブルシュート、5分間で3連続得点をあげ4-2でベスト4に進出しました。新ルールでフットサルと同じ自由な交替になったので、5分間休んでまた出場するという、フレッシュな選手で試合ができたのもこの大会の勝因でした。

 準決勝は大阪のヴィトーリアとの対戦になりました。フットサルは東海のギャングさんやゴリラさん、関西のアルコさんやSWHさんに胸を借りていましたが、サッカーは箕面の止々呂美グラウンドでヴィトーリアさんとの強化試合に明け暮れていました。穂積監督や、元SWHで現在阪神ユナイテッドの宮田監督ら高校生の皆様にもすごくお世話になっていました。準決勝は、風が強くなかなか両チームのパスがつながらない展開、後半12分、ヴィトーリアの左サイドでのフリーキック、パスをつながれ島野選手に打たれたミドルシュートが風に乗ってRUCKのゴールを吸い込まれていきました。その後は、ヴィトリーリアさんの堅い守りと強い風がRUCKに反撃を許さず、決勝進出を果たすことはできませんでした。

 3位決定戦は関東第2代表のエルフェン狭山と対戦しました。前半13分、今大会絶好調の鈴木のロングシュートで先制し、前半は1-0で折り返します。後半11分、またしても鈴木がフリーキックを決め2-0でリードします。交替を含めたベンチワークが失敗し、16分と27分に失点し2-2に追いつかれ、2-0の怖さを身にしみて感じました。同点でPK戦、フットサルのPK戦はあまり負けたことはありませんが、サッカーのPK戦は苦手意識がありました。5人蹴ってキャプテンの菅谷しか決めることができず、1-2で敗れ4位で全国大会は終了しました。

 銅メダルを獲得できなかったのは、自分の力不足だと反省しました。しかし、選手たちは、新調したガラクタ魂の横断幕のもと、関東代表に2度の逆転勝利、「あきらめなければ夢は叶う」を証明してくれました。家族との絆をテーマに作ったモチベーションビデオ、「ケツメイシの仲間」は、今でも福井丸岡RUCKのパワーソングとなっています。


6、第9回全日本女子フットサル選手権で銅メダル


このシーズンは、これで終わりません。高校1年生の小林心をキャプテンにして、9月8日~9日、石川県輪島市のサンアリーナで開催された「第9回全日本女子フットサル選手権北信越大会」に出場しました。

 1日目は新潟県のBLATTUSに10-2、長野県のアンテロープ塩尻に12-0で勝点6を獲得します。しかし、2日目は丸岡中学校の体育祭があり中3は出場できませんでした。前年度も北信越大会と学校行事が重なり、2日目中学生が全員出場せずオウンゴールに3-8で敗れ、勝点1差で全国大会を逃しました。

 しかし、この年は中2が学校行事を休んで北信越大会を優先してくれました。そのおかげで、2日目も戦力を落とさず試合ができました。第3戦のオウンゴールとの試合は、前半失点し0-1、すぐさま北川が2点入れ2-1、後半入れ返されて同点にされましたが、その後、山本が2点、高尾からのパスを田中がフォアで決めて1点、トータル5-3で勝利しました。第4戦の石川のVEEX KIMURAとの試合は、前半高尾と牧が得点し2-1でリードします。後半も田中のチョンドンが決まり3-1、終盤フィクソの田中が負傷し退場するというアクシデントがあり3-3の同点となりましたが、「全日本女子フットサル選手権北信越大会」で初めて丸岡RUCKが優勝し全国大会にコマを進めました。

 福井丸岡RUCKは、11月2日~4日、北九州市立総合体育館で開催された全国大会に出場しました。予選第1試合は東北第1代表の青森のシュラインレディースFCです。予選は12分の短い試合、前半6分にオウンゴールで失点、8分に2失点目、いずれも現在WEリーグのノジマステラで活躍する下山莉子選手のシュートからの失点でした。しかし、すぐさまRUCKは反撃に転じ、8分に北川が高尾とのコンビプレーでゴールを決め、前半を1-2で折り返します。後半、14分に横山夢花が決め2-2の同点、19分に平栗選手に決められ2-3にされますが、20分に高尾が同点弾、立て続けに北川がターンシュートで得点し、大事な初戦を4-3で逆転勝ちしました。

 第2戦は、九州第2代表の福岡のコラッサマキアートです。前半5分と9分に北川、終了間際に小林心が決め3-0としました。後半は連続失点し3-2となりましたが、田中のチョンドン、横山夢花、五十嵐、北川が決め7-2で勝利し勝点6としました。

 2日目は、予選突破をかけ北海道のコルミージョさんに挑みました。長身GKの小林富樹子選手率いるコルミージョさんとは、これから何度も全国大会の舞台で試合をすることになります。前半7分に高尾のドリブルシュートで先制、11分に堀選手にゴールを決められ同点にされますが、12分、北川がヘディングシュートと前プレで連続得点し3-1とします。後半は両チーム無得点で終了し、予選1位で準決勝に進出しました。

 準決勝の相手は眞境名オスカー監督率いる全国大会5連覇の東京ファンFCヴィークスです。当時の日本代表選手がずらりと並ぶオールスターで、前半4分と6分にエースの吉林選手に3連続ゴールを決められました。13分にも多々良選手に得点され、4-0で前半を折り返します。18分に小林心のターンシュート、26分に北川が1点ずつを返しますが、19分に四宮選手、22分に吉林選手、24分に服部選手、28分に吉林選手にこの試合5得点目のゴールを決められ9-2の大敗でした。

 それでも小林心と北川夏奈が得点できたことは大収穫で、アンダーカテゴリーではないオールジャパンの全国大会で3位の銅メダル。胸を張って福井に帰りました。2日目の夜、予選突破を祝って、横山夢花の祖父である横山孝先生や鵜飼のおじいちゃん、おばあちゃんを招いて、ホテルのレストランで焼き肉を食べたのはいい思い出です。

7、金メダルを見せたい最愛の人

2012年11月10日、芦原中学校で「第3回全日本女子U-15フットサル選手権福井県大会」が開催されました。春江フレッシュガールズとカルサイトが出場してくれました。

 北信越大会は12月1日~2日に福井県営体育館で開催され、たくさんの方が応援に来てくださいました。第1戦の星稜PELレディース10-0、第2戦のオウンゴール5-0、第3戦のグランセナ新潟9-2、第4戦の安曇野グリーンヒル14-1、全国大会の出場が確定しました。北川が14得点、山本が7得点、田中と高尾が6得点、どこからでも点が取れるRUCKの攻撃力は破壊力抜群でした。また、当時小学5年生だった池内天紀や横山凜花、前田、荒井、山川はメンバー登録されていました。

 1月13日~14日、三重県営サンアリーナで「第3回全日本女子U-15フットサル大会」が開催されました。高尾が怪我をかかえ調子が上がっていない状況で、福井高校女子サッカー部に推薦が決まった吉村が全国大会から合流してくれました。予選リーグで関東と関西の代表と同グループになりましたが、フットサルをこれだけやってきた中学生のチームはないと、自信をもって全国大会に挑みました。

 予選第1戦、関西代表奈良のディアブロッサ高田との試合です。前半1分、横山夢花の左コーナーキックを山本が左足で決めます。さらに4分、横山夢花と山本のコンビプレーで2点目です。しかし、ここでアクシデント、北川が捻挫してピッチに立てなくなってしまいました。後半3分失点2-1、高尾にもプレーしてもらいましたが、なかなか追加点が入りません。6分、吉村がゴール前で頑張りました。田中のチョンドンのボールがオウンゴールとなり3-1で終了、勝点3をゲットしました。

 第2戦は関東代表の十文字中学校です。ピヴォには捻挫の北川でなく、横山夢花が入ったような気がします。前半は0-0、後半1分、左コーナーの浮き球を競い負け失点します。この試合に負ければ得失点の関係で予選敗退となります。残り2分、捻挫の北川をピッチに送り込みます。北川に2人マークがついたところで山本がこぼれ球をシュート、1-1になりました。結果は引分け、勝点4でグループ1位になることができました。

 薄氷を踏む思いで予選を突破し、次の日の準決勝に進みましたが、この試合の後、医務室で次の日どうするか、何回も北川と話し合いました。チームが出した結論は「痛み止めの注射を打って出場する」、北川にもチームにも、どうしても金メダルを見せてあげたい人がいたのです。

 翌日の準決勝は、昨年同様、大分の中津トマトとの対戦となりました。テーピングでガチガチに固めた北川を先発にしました。前半4分、北川の左足のシュートが決まって先制します。10分ハーフの短い試合時間、後半3分に北川と交替でピヴォに入った吉村がシュートを決め2-0、4分にも横山夢花がピヴォ当てシュートで3-0としました。8分に失点しますが、決勝に備える戦い方もでき、3-1で決勝に進みました。

 決勝は予選で戦ったディアブロッサ高田です。前半2分、山本が中央で相手ボールをカットしてシュートを決め先制点を奪います。さらに5分、田中が右サイドを突破して中央の北川に、北川は捻挫した右足を使わず左足で追加点を取ります。前半2-0で折り返します。後半8分、この試合アルコの井野さんの教えを守り17本のシュートを放ったフィクソの田中が右サイドをドリブルで駆け上がり決定的な3点目をとりました。ディアブロッサには、現在アルコ神戸の高橋京花選手がいてチーム最多の4本のシュートを打っています。

 大会前、フウガドールの諸江剣語選手がお正月に東十郷小学校で前プレを教えに来てくださったり、大会前日に伊勢の有楫スポーツ少年団さんが調整試合をしてくださったり、たくさんの方が福井丸岡RUCKを応援してくださいました。いろいろあった2日間でしたが、目的の2連覇を達成することができました。

 フットサルの試合は攻守の攻防が激しく、感情の起伏がコートに現れるスポーツと言われていますが、ピッチ外の喜怒哀楽も「家族や仲間への感謝」というキーワードで上手く乗り越えられた大会でした。

 Wエースの北川夏奈と高尾茜利にアクシデントがありましたが、キャプテンの田中悠香をはじめ、横山夢花、山本華乃、鵜飼真也子、吉村佳奈には、北川の「お母さんに金メダルを見せたい」という思いがしっかり伝わっていました。

 2012シーズン、JFAの金メダルが1個、銅メダルが2個、日ごろの努力が実った素晴らしい年になりました。しかし、このシーズン、福井丸岡RUCKはかけがえのない人とお別れすることになり、大きな悲しみに包まれました。

8、中3北川夏奈が日本代表で最年少ゴール!!


2013年シーズン、フットサル日本女子代表に北川夏奈が選出されます。まずは、6月韓国仁川で行われた「第4回アジアインドアマーシャルアーツゲームズ」に出場しました。

 予選第3戦のインドネシア代表戦、日本は5-0で勝利を収めましたが、そこで北川は14歳11ヶ月、澤穂希さんがフィリピン戦であげた15歳3ヶ月を上回る史上最年少日本代表ゴールを挙げました。

 この大会、日本は決勝戦で宿敵のイランと対戦し、前半に先制を許したものの後半吉林、延長後半に芝原が逆転ゴールを決め優勝しアジア王座に輝きました。

 さらに12月、北川はスペインで行われた「第4回世界女子フットサルワールドトーナメント」の日本代表にも選出され、スペイン・ポルトガル・コスタリカと対戦し世界のフットサルを体感しました。

 この年の6月、福井丸岡RUCK U-15は全日本女子U-15サッカー北信越大会でアルビレックス新潟レディースU-15に準決勝で勝利し、初めて北信越の中学生チャンピオンになりました。

 8月にJグリーンで行われた全国大会に2年連続で出場しましたが、1回戦で兵庫県のVICTORIESに0-4で敗れました。これまで、中学3年生はU-15のサッカーが終わると受験勉強のために休部していましたが、U-15のフットサルで3年連続日本一になりたいと、半数の選手が勉強とフットサルの両立を選んでくれました。

 そのおかげで、9月の全日本女子フットサル選手権北信越大会を連覇、2年連続で北九州の全国大会に出場できました。11月の全国大会は、予選リーグ1勝2分で2位になり、準決勝に勝ち上がることはできませんでした。

 しかし、関東第1代表のバルドラール浦安相手に北川・小林が得点し2-2の引き分け、東海リーグに参加し年間を通してフットサルができている成果が発揮されました。今でも、予選敗退の後、会議室を使用させてもらいテスト勉強をしている中3達を思い出します。

 両立を選んだ選手たちは、1月三重県で開催された全日本女子U-15フットサル選手権に北信越代表として出場します。優勝候補の筆頭に挙げられましたが、準決勝で大阪のヴィトーリアさんに1-2で敗れてしまいました。

 前半3分、前がかりになったところで先制を許します。取り返そうと攻め続けましたが、逆に後半2分カウンターで失点し0-2。最後に横山夢花が高尾のコーナーから1点返しますが、力及ばず3連覇には手が届きませんでした。

 試合終了後、「全日本選手権で日本一になろう」と、高校からはフットサルに絞って活動することを誓い合いました。

 2013年、バーモントメンバーが中3の年、JFAの大会では銅メダル1個だけでした。しかし、この年、京都のリンドバロッサ内田さんの紹介で、初めてルースイソンブラさんのユニフォームを作り、全日本選手権に出場しました。

 また、これまで福井丸岡RUCKは中学生を卒業したらサッカーを辞めてしまう選手がほとんどでしたが、「フットサル日本女子代表選出」、「全日本女子フットサル選手権で日本一」、「東海女子フットサルリーグ優勝」、目標があるということで、中3が5人、チームに残ってくれることになりました。鵜飼真也子、田中悠香、横山夢花、高尾茜利、北川夏奈。

これから、RUCKの新しい歴史が始まります。

9、トップチームはフットサルに専念!!


2014年、U-12やU-15はサッカーとフットサルの活動を両方行いますが、トップはフットサルの日本一を目指して練習に励むことになります。まず、手がけたのは、「GKはハーフラインを超えるスローやキックができない」というU-15の特殊なルールからの脱却です。相手のロングスローに対する守備、GKのクリアランスからのサインプレー、全国の有名な指導者の方が福井を訪れRUCKにフットサルを教えてくださいました。

 フットサルのノウハウを学んだ選手たちは、東海女子フットサルリーグで全勝優勝、2012年は4位、2013年は2位、走り負けないRUCKの若者達はとうとう東海リーグの頂点に立ちました。

 「全日本女子フットサル選手権大会で日本一になる」という目標を掲げ、RUCKの選手たちにディフェンスの基礎を教えてくださったのが前川義信氏です。長野で開催された9月の北信越大会は連動した前プレから得点を量産し3連覇。

 11月、釧路で開催された全国大会に乗りこみました。予選リーグ、第1戦はピークスTOKYOです。2年前の準決勝2-9で大敗した相手です。エースの吉林さんはスペインリーグに移籍していませんでしたが、見事なピヴォ攻撃で先制を許しました。しかし、高尾の左サイドを突破するドリブルシュート、小林の逆転シュートが決まり2-1で勝利しました。

 第2戦、鹿児島のアストゥーロ戦、先制されるも田中の連続得点で逆転、その後3得点で5-1の逆転勝利となりました。第3戦も三重の蹴球小娘に5-0、3連勝で準決勝に進出しました。

 準決勝は、昨年度の予選で引き分けたバルドラール浦安です。ここも、前半10分に失点、しかし、前半終了間際に田中のフォア詰めが決まり同点。後半、小林・北川・五十嵐・田中とボールをつなぎ、五十嵐の見事な裏へのスルーパスを小林がダイレクトで決め2-1で勝利し初の決勝進出を決めました。

 決勝は、RUCKの師匠である神戸のアルコさんです。フットサルをやろうと決めた2011年からクリニックを開催してもらったり、選手の家に泊めていただき合同キャンプを行ったりしていました。全国大会もこれまでに2度優勝し、前年度の優勝もアルコさんでした。

 前半3分、関灘さんのドリブルシュートで先制されます。しかし、16分、小林の右コーナーキックを高尾がシュート、同点になります。後半、アルコの怒涛の攻撃をGKの浅野を中心に守り抜きます。若林さんのシュートを3人が同時にスライディングでブロックした写真も残っていて、若いRUCKの選手たちが体を張って失点を防ぐシーンに会場のボルテージも最高潮に達しました。

 当時、予選リーグは12分、準決勝は15分、決勝は20分のプレーイングタイムという大会形式で、後半34分にコーナーキックを若林さん、40分に井野さんにこぼれ球を豪快に決められ、1-3で金メダルには手が届きませんでした。試合終了時、大泣きしている選手たちに贈られた会場からの万雷の拍手は、優しさにあふれたものでした。

 さらに、2月「第2回フットサル地域女子チャンピオンズリーグ」に東海代表として出場します。今回から関東・東海に加えて関西・北海道・九州のリーグチャンピオンが全国大会に参加しました。予選で関東王者の浦安さんに6-2、北海道王者のコルミージョさんに3-1で勝利し、決勝に進みました。決勝の相手は全日本選手権の再来でアルコさんです。しかし、怪我人も出て、ベンチには交替メンバーがいない状況でした。スキルと組織力の差がはっきり出てしまい1-8の大敗となりました。

 シーズン最後は、選抜活動です。福井丸岡RUCKは、RUCKのOGである福井工大スタッフの田本や有町、福井国体成年女子サッカーのメンバーである石田や反保と一緒に福井県選抜としてトリムカップに出場しました。2月に長野県で開催された北信越大会は4戦全勝で優勝、3月に岩手県花巻総合体育館の全国大会に進出しました。

 全国大会の予選リーグは、北海道選抜に6-0、東京都選抜に0-1、宮城県選抜に6-2の2位。運よくワイルドカードで準決勝に勝ち進みました。準決勝の相手は優勝した大阪府選抜です。前半開始1分、2分、9分に失点し、前半で0-3。後半有町がコーナーキックでから意地の1点を返しますが、実力の差は歴然としていました。しかし、選抜大会では初の3位入賞です。福井県サッカー協会フットサル委員会の山本委員長をはじめ福井県フットサル連盟の皆さんに大変お世話になりました。

 フットサルに専念した2014年、全日本女子フットサル選手権で準優勝、東海女子フットサルリーグ優勝、地域女子チャンピオンズリーグで準優勝。そして、トリムカップで3位。フットサルには目標とする大きな大会が3つもあり、フットサル界の優しさに包まれながら充実した時間が過ごせました。サッカーからフットサルの転向は大成功でした。

10、初の海外遠征ポルトガルの海で学んだこと


2015年、福井丸岡RUCKは、FBCさんの「かがやき基金」の奨励賞の副賞や、坂井市からの補助金を活用してポルトガルの国際大会にアジア代表として出場しました。ビックエルさんがユニフォームを新調してくださったり、芦原温泉の女将の会さんがお土産の浴衣を用意してくださったりと地域の方もたくさん応援してくださいました。

 また、ウェアースポンサーのルースイソンブラさんの紹介で、アグレミーナ浜松さんのFリーグの試合のエキシビジョンマッチができたのもよかったです。6月19日~21日、福井丸岡RUCKの10名の選手たちはポルトガルのアルガルベのラグアで開催された「第7回Nations Cup」に出場し世界の女子フットサルを体感しました。

 大会1日目、予選第1試合はポルトガルのベルジィモンデールとの試合です。RUCKは開始早々、素早い前プレからのカウンターで得点を重ねます。北川と高尾がハットトック、五十嵐も2得点、8(5-0・3-3)3で勝利しました。

 大会2日目は、スペインのアトレチコマドリッドとの試合です。スペイン代表、ブラジル代表がずらりと並ぶメンバーは、世界一のチームといっても過言ではなかったです。その世界一のチームに、RUCKの若者たちは善戦します。 前半12分、ブラジル代表のアリアナに先制されるまでは、こちらシュート数の方が多かったかもしれません。プロの集団は我々の戦い方をじっくり見て、弱いところをついてきます。前半18分は、パスを9本つながれてキャプテンのファビアナに決められました。後半は、完全に大人と子供の試合でした。9分に五十嵐の右コーナーキックを中央の高尾から左フォアの北川へとつなぎ1点を返しますが、1(0-2・1-5)7の完敗でした。

 大会3日目、3位決定戦はなんとアルコイリスとの試合になりました。ポルトガルでの対戦は、また違った緊張感はありました。前半5分に井野さんに先制されますが、すぐさま北川と田中が取り返し逆転、10分に春山さん、12分に若林さんに得点を許しますが、15分に田中が3-3の同点にします。後半は、若林さんと斎藤さんに得点され、3(3-3・0-3)6で4位となりました。

 「第7回ウーマンズフットサルネーションズカップ」、優勝はアトレチコマドリッド、準優勝はポルトガルのベンフィカ、3位がアルコイリス、4位が丸岡RUCK、5位にイギリスのPRO5アカデミー、6位ベルジィモンデールという結果になりました。

 全チームがプール付きの4つ星ホテルに宿泊し、浴衣や前髪とめーるをプレゼントするなど、国際交流もたくさんできました。アトレチコマドリッドとの交流の様子は、当時のFacebookの投稿を掲載しておきますのでご覧ください。初めての海外遠征で世界一のチームから学んだことは、「人間力を高めることこそが競技力の向上につながる」ということでした。

■Facebook 国際交流アトレチコマドリッド■

今遠征の最大の目的であった予選第2戦のアトレチコマドリッドとの試合の後、サプライズが待っていた。この大会は、全員が同じホテルに泊まり、同じ会場で試合をする。大会本部の定めたスケジュール通りに、バスに乗らないとホテルに戻れない。当然、アトレチコマドリッドと同じバス。バスの中で、交流が始まった。自己紹介をし、写真撮影。その日、誕生日だった鵜飼は、ハッピーバースデーの歌まで歌ってもらった。1日目のベルジィモンデールの選手もそうであったが、とにかく歌が好き。みんなでいる時は、みんなで歌う。

バスを降り部屋に戻ろうとした時、プレゼントを渡した。日本の浴衣。選手達はみんな笑顔になる。スペイン語やポルトガル語で、浴衣を見て話している。こちらが「かわいい」と教えると、「かわいい」という日本語を覚えてくれた。

ブラジル人のジュリアナが、「一緒にビーチに行こう」と誘ってくれた。試合の後は、速くシャワーを浴びて、食事をとってミーティングが日本の掟。アトレチコは、明日大事な決勝戦。夜の8時からビーチ、日本では考えられない。「とっても綺麗な海だから。近いし大丈夫」ジュリアナだけ英語ができる。RUCKの選手も「行く!」結局、アトレチコとRUCK、全員でグランデビーチに行くことになった。

ジュリアナが全員分のタクシーを呼んでくれ、RUCK全員が乗り込むまで待っていてくれた。ビーチに着き、タクシー代を払おうとすると受け取らない。「貴方達は、私達に優しくしてくれた」。「ありがとう」は日本語だった。アトレチコのコーチも、「ビールを飲もう」とRUCKのコーチ全員にビールをご馳走してくれた。

ヨットが浮かぶ、素晴らしい景観のグランデビーチ。夜の21時、夕暮れの紫色とピンクの海岸。キャプテンのファビがみんなを笑わせ、写真を撮る。レティーシアが棒を持ち、全員を横一列に並ばせ、ダンスとスペイン語の歌を歌わせる。ピンクのビキニのマルタは、盛り上げ係り。笑い声が耐えない。世界の女子フットサルのスーパースターとリフティング。やっぱりうまい。ボール遊びの延長がサッカー。ボールで遊ばないと、サッカーは上手くならない。帰りは、「お先にどうぞ」とRUCK全員を先にタクシーに乗せてくれた。マルタは最後まで、闘牛士の真似をしてみんなを笑わせた。

22時、ホテルでのディナー。悠香がデェシィリイから「後で、プレゼントをあげるよ」と言われたので待っていると、白いティシャツを持ってきてくれた。デェシィリイは、そのシャツに全員のサインを集めてプレゼントしてくれた。そして、ジュリアナが、「住所を教えて。全員にシャツをプレゼントするわ」RUCKのみんなは拍手喝采。はたして、コーチの分はあるのだろうか?

次の日の決勝戦。アトレチコマドリッドとベンフィカの試合の彼女達は別人だった。闘志あふれるプレーの連続。31歳のデェシィリイの冴え渡るゲームコントロール。26歳アリアナのドリブル。31歳ジュリアナは攻守の要。22歳のマルタは、PKを決め吠えまくる。スペイン人のレティーシアも観衆を魅了する。これがスーパースター。決勝戦には、彼女達を見るために、多くの人が訪れていた。

夢のような時間が、過ぎようとしている。「マドリッドに来てね」「日本にも行きたい」。年が10歳以上違うチームとの交流。相手はブラジル人が4人いるスペインのプロのチーム。「貴方のチームに驚かされた」と言ってくれたヘッドコーチのメンドーサ。これからが始まり。ポルトガルへ行って、道がつながった。進むべき道は、世界との交流。世界基準で物事を考えること。国際試合は当たり前。自分の人生を幸せにするために、フットサルをする。RUCKが世界一になるために、マドリッドに行く。そして、アトレチコマドリッドを日本のみんなに観てもらう。道は開かれた。夢の続きが始まる。

11、第1回AFC女子フットサル選手権大会!!


2015シーズン、「第12回全日本女子フットサル選手権大会」の戦いが始まりました。8月29日三国体育館で県大会が開催されました。「恐るべき福井工大」とメモには書かれていました。結果は3(1-1・2-1)2のギリギリの勝利です。昨年度から福井選抜で一緒に活動し、この年も月に1度ぐらいは合同練習会を開催していました。

 前半はRUCKのOGで福井高校から福井工大に進んだ加藤に先制され、北川のシュートで追いつきました。後半、高尾と横山が決め3-1にしますが、残り5分で反保にミドルシュートを決められ、ひやひやしました。この年、宮城で行われたトリムカップも福井県選抜は3位入賞、サッカーチームも参加できる全日は何が起こるかわかりません。

 9月12日~13日、富山県の福野体育館で全日北信越大会が開催されました。月曜日に母が倒れて、1週間練習にも顔を出すことができませんでした。大会前日の母のお通夜にもたくさんの選手スタッフ、RUCK関係者の皆様が参列してくださり、十分な練習もできずに臨んだ大会でした。

 12日の1日目、葬儀が終わった田中悠香は途中から参加しましたが、監督不在の2試合でした。新潟のアロガールに7-0、富山のオウンゴールに2-0と、無失点で勝利しています。大会2日目は、家族にお願いして北信越大会に参加しました。長野の上松中に6-3、石川のVEEX白山に7-0と4勝で全国大会に駒を進めることができました。

 いつもしっかりと大会を振り返る日記替わりのFacebookには、この大会のことは結果しか書いてありません。突然のクモ膜下出血による他界だったので、かなり動揺していたのだと思いますが、中2の荒井が2得点、山川や吉田が得点していることは記録されていました。優勝写真に池内天紀や北島笑が写っていないのは、大人相手に怪我をされたら困ると思ったからだと思います。「行かなくても絶対RUCKは大丈夫」と言いながらも、葬儀の翌日、富山に行かせてくれた家族には本当に感謝しています。

 9月21日~26日、女子フットサル界待望の「第1回AFC女子フットサル選手権マレーシア2015」が開催されました。その日本代表に北川夏奈(丸岡高校2年)と高尾茜利(金津高校2年)が選出されました。高尾は初の日本代表選出でしたが、予選第1戦のベトナムとの試合で、左サイドから突破した坂田さんの折り返しがゴールポストにあたり、その跳ね返ったボールをフリーでシュートし、日本代表初ゴールをあげています。ベトナム戦4-2(吉林2・東山・高尾)、タイ戦3-2(坂田・吉林2)、この試合は北川が坂田さんに、高尾が吉林さんにアシストしています。中国戦は7-1(中島・加藤2・関灘・網城・東山・OWN)と快勝し、日本代表は準決勝に進出しました。そのマレーシア戦も8-1、北川は坂田さんの右キックインが左サイドの関灘さんに通り、その折り返しをゴールに決めています。決勝のイラン戦は前半に失点し0-1で悔しい敗戦となりました。

 そして、チームは全日本選手権の日本一を目指して、様々なことに挑戦していきます。アグレミーナ浜松の和泉GMがクリニックをしてくださったり、ドリブルデザイナーの岡部将和さんが「かもしか理論」を教えに来てくださったりしたこともありました。オーシャンアリーナにFリーグのセントラルを観に行き、2月の福井選抜のクリニックからお世話になっていた当時シュライカー大阪の木暮監督からも激励の言葉をいただきました。

 2015年11月6日(金)、北海道湿原の風アリーナ釧路で、「第12回全日本女子フットサル選手権大会」が開催されました。福井丸岡RUCKは、予選第1試合で北海道代表のコルミージョさんと対戦します。前半残り1分、警戒していた堀選手に決められ、前半を0-1で折り返します。後半残り3分、横山のパスを北川が決め同点。残り46秒、高尾が左サイドを突破、中で待っていたのは北川、劇的な逆転ゴールでした。大事な初戦で勝点3を取ることができました。

 11月7日(土)は、予選第2試合で、関東代表のシュートアニージャさんと対戦し、前半2分と5分に高尾が決めて2-0で勝利しました。予選リーグ第3戦は岡山県のCRFアィディールです。高尾と小林が2得点、北川、五十嵐も決めて7-2で3連勝、予選リーグ1位となり準決勝に進出しました。

 11月8日(日)、準決勝の相手はVEEX東京です。この熱戦の様子はデジタルピヴォさんの記事にもなりました。前半は0-0、VEEXのエース吉林さんと、RUCKの北川・高尾・小林の攻撃陣がシュートをうちます。しかし、RUCKの浅野とVEEXの森さん、両ゴレイラが止めまくります。攻め手を欠く0-0ではなく、攻守の攻防が激しい試合展開に心臓がバクバクでした。後半、7分、キーパーからのボールを北川が奪ってシュート、ボールはゴールネットの上に突き刺さり、待望の先制点が入りました。終盤、VEEXのパワープレーにも落ち着いて対応し、このまま試合終了かと思われた残り25秒、左からの吉林さんのシュートパスを篠崎選手がダイビングヘッド、会場は興奮の坩堝と化しました。 

 そして、PK合戦、先攻はRUCK、後攻はVEEX。RUCKは北川・小林・高尾・五十嵐、VEEXは伊藤・青山・吉林・須佐美、両者譲らず全員が決めました。RUCKの5人目横山が決めた後、ここで雰囲気を変えようとGKの浅野と鵜飼を交替しました。RUCKのPKと言えば、バーモントカップの福井県大会決勝、今回のスローガンは「RUCKファミリー心はひとつ」、なぜか鵜飼のおばあちゃんの顔が思い浮かびました。田中家のおばあちゃんもなくなってしまったし、鵜飼に任せてみようと思いました。作戦は大成功、VEEXの同点弾を決めた枠内のシュートを足でストップしてくれました。流石、バーモントカップなでしこ賞初代受賞者です。

 そして、2時間後の14:00の決勝戦、昨年はアルコさん、今年はSWHさん、2年連続兵庫県勢との対戦になりました。前半のシュート数は、RUCK11本、SWH13本。SWHは坂田さんと網城さんのドリブル、RUCKの高速カウンター、それを、日本代表GKの山本さんが跳ね返し、RUCKの浅野はゴールポストも味方につけて得点を許しません。気迫と気迫がぶつかり合い、前半は0-0で折り返します。

 後半4分、五十嵐のパスが相手にあたって北川につながります。北川が値千金のゴール、先制します。その1点を身体を投げ出して守り切ろうとするRUCK、SWHは焦って攻撃が単調になります。高尾が前プレからパスカットしてGKと1vs1、北川が坂田さんのボールをかっさらいGKと1vs1、鬼神のように立ちはだかる山本さん。

 残り5分、ポルトガルでのアトレチコマドリッドの攻撃と比べて「いけるかな」と変な自信が出てきた時間帯でした。自陣のゴール前で、前線につなごうとしたパスが相手にあたりこぼれます。「 ハンド ! 」自分の声に選手が止まってしまいました。それを、佐藤さんに決められて1-1の同点、完全に監督の責任です。

 試合はそのまま延長戦に突入しました。後半戦は、選手を替えずに守り切ろうとしていたので、疲労困憊、延長前半3分に、またしても佐藤さんに決められて逆転を許しました。5分×2の延長戦、なかなかマイボールにならずに、そのまま終了のブザーが鳴りました。

 第12回全日本女子フットサル選手権大会で日本一になることはできず、2年連続準優勝という結果でした。表彰式で大仁会長から、「あの2本決めないとな~」と、何回か言われましたが、高尾と北川のシュートが入らなかったのは山本さんのオーラがすごかったからです。

 そして、ベンチにいた池内と山川を使わず、FPを7人で回していた自分の度量不足だと反省しました。準決勝で鵜飼を出してPK戦を勝ち切りましたが、決勝ではセットを作らずに選手の力を100%引き出すことができませんでした。「まだ、まだ、まだ、まだ、日本一になるのは早すぎる」と神様に言われたような気がした第12回大会でした。

【ご参考】
[ 無料記事 / 第12回全日本女子フットサル選手権大会 準決勝その2 ] 丸岡RUCKレディース、VEEX TOKYO LadiesをPK戦で下して2年連続決勝進出(2015/11/17) - デジタルピヴォ! プラス
https://www5.targma.jp/pivoplus/2015/11/16/post19712/


12、私たちもいる スーパーガール第二世代!!


全日本選手権が終わり、フットサル女子日本代表は、グアテマラで開催された「第6回世界女子フットサルトーナメント2015」に参加しました。アジアカップに引き続き、丸岡RUCKからは北川夏奈と高尾茜利が選出されました。11月24日の予選リーグ第1戦のグアテマラ戦の先発メンバーは、GK山本、FP坂田・東山・藤田・北川でした。試合は1-2で敗れましたが、北川は先発メンバーとしてピッチに立ち、JFAニュースにコメントも掲載されています。「大会初戦、また完全アウェイということもあり、会場の雰囲気にのまれてしまい、お互いの声も聞こえづらく、試合序盤はうまくプレーすることができませんでした。ただ、後半からはみんなでコミュニケーションを取り合い、前からのプレスでチャンスを作り、1点を返すこともできました。結果は敗れてしまいましたが、まだグループステージは2試合残っているので、2試合とも勝ってグループステージを突破したいです。」

 第2戦のスペイン戦には北川と高尾が同時にピッチに立ちます。櫻田さんと中島さんが得点しましたが、2-5で敗れました。続く、ロシアとの第3戦も0-2で敗れ、予選4位となりました。アジアチャンピオンのイランとの7位決定戦、北川は4試合すべてピヴォとして先発します。前半終了間際、イランのミドルシュートが決まり先制されます。開始2分、櫻田さんが自らのシュートのこぼれ球を執念で押し込み同点にします。しかし、13分、イランのシュートがポストに当たり、それが日本のDFの足に当たってオウンゴールとなりました。終了6秒前にPKを獲得しますが、それを決めることはできず、未勝利のまま8チーム中8位で大会を終えました。高校2年生の北川と高尾は、6月のポルトガルからマレーシア、グアテマラと世界中を飛び回った躍進の1年になりました。

 チームは、全日本選手権の後、「第6回全日本女子U-15フットサル選手権大会」の準備に入ります。中学生はトップチームのメンバーと一緒に練習し、毎回、最後のゲームはトップvs中学生で行いました。北信越大会は、11月28日~29日に南長野運動公園で開催されました。今年もRUCKは中学3年生なしで戦わなくてはいけませんが、小柄な選手が多く不安な気持ちもありましたが、6月の「全日本女子U-15サッカー選手権北信越大会」では、北川たちが中3の時以来2年ぶりにチャンピオンになっているので、何とかなるかなと楽観視している部分もありました。

 少し、時を戻して女子U-15サッカーを振り返ります。6月6日~7日に富山県日医工スポーツアカデミーで開催された女子U-15サッカー北信越大会、丸岡RUCK U-15は、AC長野パルセイロ戦3-0(坪田・前田・山川)、FC.SWAN戦3-0(純奈・松井・坪田)、アルビレックス新潟戦2-0(北嶋2)、無失点で3連勝しグランセナ新潟との準決勝に進出しました。準決勝、前半は前田のドリブルシュートと北嶋のヘディングシュートで2-0、後半は荒井と凜花のミドル、フリーキックから北嶋がヘディングシュート決め、5-1で勝利しました。

 決勝はアルビレックス新潟U-15レディースとの対戦です。後半6分、前田のドリブルシュートで先制しますが、26分に失点しPK戦に突入します。R〇A○ R●A〇 R〇A〇 R〇A〇 R●A● R〇A●、2人目の前田が外した後、それぞれしっかり決めます。3-3でむかえた5人目の池内のシュートはポストに当たって外れます。決められれば負けという場面で、アルビレックスのPKも枠を外してくれました。サドンデスの6人目、小林望月がスーパーセーブを見せ相手PKをストップ、北信越サッカーの王座を奪還することができました。自分は東海女子フットサルリーグに帯同していたので、サッカーはコーチ陣にまかせっきりでした。2013年に「全国草サッカー大会」で日本一になっている高尾純奈達の年代と、池内天紀達の年代が力を合わせてサッカーもフットサルも両方頑張っていました。

 7月25日にJグリーン堺で全国大会の1回戦藤枝順心サッカークラブ戦が行われました。オウンゴールで先制し前半を1-0と優位に進めますが、後半は2点取られて逆転負けとなりました。公式記録を見るとRUCKは4-3-3の布陣で、荒井と山川がセンターバック、天紀と凜花はMF、前田・北嶋・純奈がFWと記されています。この年代、フットサルではRUCKの絶対的守護神となる藤江はサブGKでした。

 そして、フットサルの北信越大会です。5県の代表が総当たりのリーグ戦を行います。1戦目の現在のフットサル日本女子代表の中心選手である追野(SWH)や須藤(スペイン)富山代表のスフィーリア戦は2-1、2戦目のグランセナ新潟戦は12-1、1日目は2勝し勝点6となりました。優勝を争う長野の上松中学校には現アニージャの山本選手が在籍していましたが、スフィーリアとの試合を2-2で引き分け、得失点差も含めてRUCKが優位な状況となりました。

 2日目の第3戦、リオペードラ加賀に2-2、大商学園に進学が決まっていた3年生の左利きのサッカースキル抜群の選手に2失点、引き分けになって首の皮一枚つながりました。第5戦、2年連続全国大会に出場できない事態は絶対に避けたいと思い、負けない戦い方を選択しました。試合時間が10分×2のプレーイングタイムということもあり、守備のできる選手を中心に試合を進めました。上松中学校さんは、2-2のシステムでパワープレーも仕掛けてきます。前半は0-0、後半に2点取り2-0で勝利を収めました。その結果、福井丸岡RUCKは勝点10となり、2年ぶりの全国大会出場となりました。準優勝は勝点7の上松中学校、3位は勝点5のスフィーリア、引き分けとなる試合が多く、北信越の女子U-15フットサルのレベルが確実に向上しているのを実感できた大会でした。

 2016年1月10日~11日、「第6回全日本女子U-15ユースフットサル選手権大会」が愛知県スカイホール豊田で開催されました。予選の試合時間は8分×2のプレーイングタイム、しかし、準決勝からは10分×2になります。11月の「全日本女子フットサル選手権大会」の決勝戦でSWHさんに延長の末に敗れて以来、ピッチに立てる選手をたくさん育成することが日本一になる秘訣だと心に決めていました。先発の1stセットは、山川をピヴォとした凜花・荒井・前田・山川のピヴォセット、2ndセットは、池内・北嶋・純奈・坪田のクワトロセットでした。当時、2ndセットはみんな小柄でしたが足元がうまくボールの保持率も高かったです。1stで得点を取って、2ndで守り切るというのが狙いでした。

 1日目の予選第1試合は、スカラブ大分さんとの対戦です。前半5分、「失点しないように」と送り出した池内が先制点をあげます。後半も1分に前田、5分と6分に山川が得点し、7分に失点しとましたが4-1で勝利しました。第2試合は北海道のリンダさんです。後半6分、荒井の値千金の一発が決まり1-0で2勝目をあげました。リンダは、サッカースキルが高く160cmを超える大柄な選手ばかりで、小柄なRUCKの選手たちはよく守ったと思います。シュート数も17-16、本当に厳しい試合でした。

 大会2日目の準決勝は、大阪のヴィトーリアさんです。2年前の全日本女子U-15フットサル準決勝は1-2、3年前の全日本女子U-15サッカー準決勝は0-1、2回連続決勝進出を阻まれている相手です。RUCKはいつものようにピヴォセットで入ります。序盤、ボールがつながりシュートも何本か打てました。しかし、前半2分、1本のカウンターから右サイドから中央に折り返されファーストシュートがネットを揺らし先制されます。シュート数も互角、前半0-1で折り返します。10分の短い試合、体が大きくシュートも強いピヴォセットに池内を入れて戦おうとも考えましたが、「まだ決勝戦もある」と考え直し、しっかり時間を守って2セットで戦うことを選択しました。
 後半1分、前田が荒井の左キックインのボールをもらいターン、右サイドの角度のないところから右足でシュート、同点になりました。試合前、前田にメンタルトレーナーの藤代圭一さんに電話させました。「円陣の時、大きく息を吸って、マイナスのイメージをぜーんぶ吐き出す。そして、笑顔でせーの よし。」これで大丈夫とアドバイスをもらいました。しかし、ヒロインになる予定の前田が負傷、ピッチから退くことになりました。

 スクランブルです。池内を前田の代わりに入れたり、凜花の替りに坪田を出したり、セットで戦えなくなってしまいました。後半3分、山川から池内、そして坪田にボールがつながり、1年生の坪田が逆転ゴールを決めました。その後も一進一退の展開が続きましたが、8分、池内が相手のボールをカットし右の山川につなぎます。山川か縦に突破しゴール前に折り返したボールを池内が落ち着いて決めました。3-1、難関の準決勝を突破し決勝進出です。池内たちのなんちゃってクワトロでしたが、目まぐるしく動き回りスペースを活用したボール回しは結構面白かったです。「選手たちを信じて、使い続けてよかったな」と安堵しました。そして、この試合のMVPは間違いなくGKの藤江真尋でした。JFATVにハイライトが残っていますが、ワンツーで崩された決定的なシュート、折り返されてフリーで撃たれたダイレクトシュート、藤江じゃなかったら絶対入っていたと思います。

 決勝は、青森のシュラインさんとの対戦になりました。予選のウェネス戦6-2、レインボー垂井戦6-4、準決勝リンダ戦4-2、シュラインさんは圧倒的な攻撃力を誇ります。ここまで、櫻庭さんが9得点、小山内さんが5得点、RUCKが苦手な個の力で勝負するエースがいる厄介なチームでした。そして、決勝戦を前に、今大会絶好調だった前田の捻挫、足首は腫れ上がり試合に出るのはとうてい無理な状態でした。こうなれば、頼りはキャプテンの池内天紀です。先発に池内を入れて、セットうんぬん言っていられない状況になりました。池内には無理が掛かりますが、序盤は2ターン連続で出てもらいました。

 前半5分、山川が藤江のクリアランスのボールをもらい、ターンしてドリブル、パワーシュートはGKの股を通り抜けました。1-0先制です。続けざま、凜花のシュートのこぼれ球を山川がシュート、相手にあたってゴールの中にこぼれていくのを凜花が押し込みました。さらに、凜花が山川にピヴォ当て、山川は右サイドの荒井に落として、荒井はゴール前に折り返します。それを走りこんだ池内がダイレクトシュート。実にきれいな得点で3-0。前半終了間際に池内が相手のキックインをカットしてダメ押しともいえる4点目も決まりました。後半は、櫻庭さんと小山内をしっかりマークしゲームを終わらせました。最後に純奈の右コーナーキックから坪田のミドルシュートが決まり5点目が入りました。前田がいない決勝戦は5-0、3年ぶり3回目の金メダルを獲得できました。

 会場にはトップチームの選手達も駆けつけてくれました。3年前に胸につける予定だった金メダルを胸にかけさせてもらいました。後輩たちに「おめでとう」と笑顔で言っている高校生たち、「次は、君たちの胸に銀ではなく金色のメダルをかけるぞ」と心に誓いました。

 今大会は、応援合戦も凄かったです。男子北信越代表の長岡JYCさん、エスプリ長岡さんとお互いに応援し合いました。準決勝のヴィトーリア戦も、決勝のシュライン戦も、エスプリ長岡さんの大きな歌声が会場に響き渡りました。RUCKの選手たちの名前を憶えてくれて、ナイスプレーには名前をコールしてくださいました。つらい時間帯に大きな声援が聞こえる。選手たちに幸せな時間をくださった会場の皆様、本当にありがとうございました。


13、東海女子リーグ卒業とチイチャン初優勝!!

2015年1月17日、東海女子フットサルリーグの最終節が静岡県富士市体育館で開催されました。フットサルを真剣にやろうと思い、東海フットサル連盟の方にお願いし、愛知県女子フットサルリーグに参加させていただいたのが2011年。1年で東海リーグに昇格し、4年間お世話になりました。

 来シーズンからは、北信越女子フットサルリーグが新設されるのが決まっていたので、この日が最後の東海リーグでした。東海フットサル連盟の役員の方にも、参加チームの選手の皆さんにも、いつも応援してくださった東海リーグのサポーターの方にも、感謝の気持ちを届けようと「東海女子フットサルリーグ」の青い横断幕を作成して寄贈しました。

 この日のギャング戦は優勝決定戦。勝つか引き分けで優勝のRUCK、勝つと逆転優勝のギャング、負けない試合をしようとは微塵に思いませんでした。真っ向勝負で、RUCKの選手たちの成長を見てほしかったです。

 試合は、前半1分、田中のピヴォ当てを北川が見事なターンシュートを決め先制します。攻めるRUCKの攻撃をしっかりと跳ね返すギャング、前半は1-0で折り返しました。後半3分、横山の右サイドからの浮き球のパスを高尾が見事なボレーシュート、追加点が入ります。しかし、1分もたたないうちにギャングの小山さんに浅野がはじいたボールを押し込まれ2-1となります。

 その後、しびれる展開が続きましたが、16分、北川のシュートのこぼれ球を左サイドの高尾が中央の田中に落とし、田中のミドルが決まりました。さらにそのキックオフのボールを高尾がカットして北川につなぎ、北川がダメ押し弾を突き刺し4-1、2年連続の東海リーグ優勝が決まりました。

 表彰式のセレモニーでは、今川さんから思い出のミニアルバムをプレゼントしてもらったり、小板運営委員長から激励の言葉をいただいたり、感動のシーンの連続でした。「東海リーグに他地域のチームを入れるということは、かなりの軋轢があった。しかし、RUCKの選手たちの成長に立ち会えて本当に楽しかった。」、小板さんの話を聞きている選手たちの目には光るものがあふれていました。三重の大立目さんや行方さん、岐阜の纐纈さん、静岡の寺田さん、皆さんのおかげでフットサルの楽しさとフットサル界の優しさが味わえました。本当にありがとうございました。

 そして、2月19日、福井丸岡RUCKはオーシャンアリーナで開催された「第3回フットサル女子地域チャンピオンズリーグ」に東海第1代表として出場しました。昨年の参加チームは、関東2・関西・東海・九州・北海道の6チームでしたが、今年は関西2・東海2・関東・北海道・九州・中国の8チームにグレードアップしました。4チームのリーグ戦を戦った後、準決勝・決勝と3日間で20分×2の試合を最大5試合行うことになります。

 予選1日目、九州のValenteeaさんとの対戦でした。前半5分に小林の右キックインを五十嵐が先制すると、北川2・小林・鈴木2・高尾・横山・田中2と大量得点を挙げ、10-1で快勝します。2日目は2試合。10:00からのサイコロ戦は、前半1分、高尾と北川の代表コンビで先制します。後半の34分過ぎから3連続失点で6-3となりますが、これで勝点6を取り、準決勝進出が決まりました。

 1日目の大量得点で得失点争いでは優位に立っていたので、13:30からのSWH戦は心理的なアドバンテージもありました。しかし、全日本選手権チャンピオンのSWHは強かった。前半4分、坂田さんに先制されると、後半22分にも天満さんに決められ0-2になります。逆のグループにはアルコさんの1位抜けが決まっており、「準決勝の相手はアルコさんかな」と腹をくくっていました。そんな時チームの救ったのは、高尾茜利でした。24分、横山のパスをもらって1点差にし、38分、田中のパスから同点弾を叩き込みました。引き分けなら1位抜け、2点のビハインドをはねのけ1位で準決勝に進出できました。

 2月21日、大会3日目の準決勝は東海リーグの盟友ギャングさんとの対戦になりました。ギャングさんは、Bグループの中国代表ジュンジーズさんとの2位争いを総得点の差で勝ちあがってきました。東海のサポーターの皆様の前で、メインアリーナでギャングさんと試合ができることがとてもうれしかったです。逆に、日本一面白い兵庫県ダービーがサブアリーナで行われることが心苦しかったです。

 ギャング戦がキックオフされました。開始19秒、田中からパスをもらった高尾のシュートがネットを揺らします。東海リーグの試合同様、拮抗した展開となります。前半12分、ギャングの田中咲さんが左キックインからシュートを決め同点になります。しかし、前半14分、小林心のドリブルシュートですぐさまリードします。さらに、前半17分、五十嵐と小林のコンビプレーで五十嵐が決め、前半を3-1で折り返しました。後半は、決勝戦に備え、ベンチ入りメンバー全員でギャングさんの反撃に立ち向かいました。後半36分、山川のパスを小林がこの試合2点目、最後に榎木園さんにシュートを決められレ4-2になりましたが、2年連続の決勝進出となりました。

 もう一方、サブアリーナで行われた「アルコ-SWH」の準決勝。歓声が半端なくメインアリーナにも試合の様子が伝わってきます。前半9分に西尾さん、14分に関灘さん、アルコが2点リードしますが、17分にSWHの佐藤さんが決めて2-1で前半が終わりました。後半25分に網城さんが2-2の同点にしますが、直後にオウンゴールで再びアルコ3-2でリード、そして、歓声が収まったと思った瞬間、SWHの江口さんが決め3-3の同点です。実は、その歓声が気になって、こっちの試合どころではなかったのが事実です。33分SWHの佐藤さん、35分アルコの関灘さん。試合は4-4でPK戦に突入しました。

 SWHのゴールは山本さんが守ります。当時は3人のPK戦だったと思います。先攻のSWHは佐藤さんと坂田さんがきめ、アルコは2人ともゴールを決めることができず、2-0でSWHさんが決勝に進出しました。こちらの試合は終わっていたので、会場の観客の方もRUCKの選手たちもみんなサブアリーナに見に行ったのを覚えています。

 決勝は、全日本選手権同様、SWHさんとの対戦になりました。当日のFacebookの投稿がありますので掲載しておきます。これが一番その時の気持ちがわかります。

■Facebook 新たなステージへ■

 たくさんの応援本当にありがとうございました。チームRUCKは、悲願の日本一を達成することができました。私達の手本としているアルコイリスさん、SWHレディースさんが両方いる全国大会。関東女王のサイコロさんも、東海の雄ギャングさんもいる。そんな大会で頂点に立てたのは、神様のおかげという以外、考えられません。決勝戦前のアップ中、アルコイリスの若林さんが、「RUCK、走れ」「優勝したかったら、走るんやで」って叫んでくれました。自分達の良さを発揮し、RUCKらしく闘う。そのRUCKらしさというのが、「走る」と「奪う」。決勝戦のキーワードを、若林さんから教わりました。

 決勝戦、序盤、素晴らしい攻撃が何本もありましたが、SWHのゴレイラ山本さんに阻まれました。そして、決定機を逃した瞬間、ゴール前に浮き球がきて、江口さんのヘディングシュートがゴールに吸い込まれました。前半9分、先制したのはSWHでした。しかし、なんの焦りもありませんでした。史上最高の準決勝を戦い終わったばかりのSWHさんの動きには、疲労の色が隠せませんでした。スピードもいつもとは、全く違っていました。15分、右サイドの五十嵐からフィクソの田中へ、田中はいつものようにピヴォの北川へ、北川は中央左で相手を二枚引きつけ、後方中央の田中に落とす、田中は右サイドの高尾とワンツー、右足で止めて、右足のトゥでシュート。ゴール前の五十嵐がブラインドになったのでしょう。山本さんの右手をかすめて、同点ゴールが決まりました。

 ハーフタイムで、千載一遇のチャンスが来ていることを確認し、チャンピオンになろうと誓い合いました。後半、いつものメンバーで入り。2分後、予定通りの二枚替え。中央で倒されFKをもらったところで、高尾投入です。左サイドに右足で狙う北川、中央に田中、右サイドに左足の高尾、大きな声で叫んだのは、「高尾の左足」でした。RUCKには決まりがあります。監督の指示をフェイクにすること。監督の言うことを聞かないほうが、いい結果が出るということも選手は知っています。何をするか決めるのは、ピッチにいる選手達。審判の笛、北川走り出す。田中、高尾もスタート。打ったのは高尾、逆転シュートは左上の隅に豪快に決まりました。「なんや、高尾が本当に蹴ったの」ベンチも騙されました。

 そのあとの17分間、RUCKのみんなは走り続けました。3-1にできる場面が何度もありましたが、SWHさんの執念に弾き飛ばされました。SWHさんの前プレにビビって、外に蹴りだすことも。ゴレイラのクリアランスは幾度となく、ラインの外に、また相手ボール。それでも、そのヒヤヒヤを楽しんでいました。ベンチの中も、笑顔が絶えませんでした。選手14人と、たくさんのスタッフ。五十嵐コーチ、重矢トレーナー、藤代メンタルコーチ、和泉テクニカルアドバイザー、原田カメラマン、熊本さん、小林先生、山口さん、加藤さん、選手の親御さんに、おじいちゃん、おばあちゃん、そして、フィクサーの前川さん。福井から応援してくれる選手・スタッフ。ビックエルの菅原社長、ルースの皆さん、RUCKを応援してくださるたくさんの方々、試合終了のブザーは、心の中にいるみんなと一緒に聞きました。皆さん、本当にありがとうございました。念願かないました。

 でも、でも、でも。会場に来ていた人は、みんな知っています。兵庫県ダービーこそが、日本女子フットサルの最高峰の戦いであることを。あの気迫。あの熱気。観ている人を虜にする試合展開。意地と意地のぶつかり合い。あの試合の後に、もう一回、試合をやれというのは無理すぎです。もうひとつ、心に引っかかっているのは、アルコイリスの闘将井野選手が見られなかったこと。RUCKは、やりたいんです。レジェンドセットと。「井野、中野、若林、関灘」。RUCKにフットサルの面白さと怖さを、叩き込んでくださった4人です。釧路の1-3の決勝戦、前回のチイチャンの1-8、ポルトガルの3-6、アルコさんにはまだ一度も勝っていません。わかっています。まだまだです。もう一回り、スケールを上げないと。あの2チームには太刀打ちできません。

 だから、みんなでやりましょう。地域交流戦。兵庫県に追いつくように。そして、世界一になりましょう。日本女子フットサル代表が。東海女子フットサルリーグの皆さん、4年間ありがとうございました。大好きです、東海!!

■2016年2月23日■

東海代表として参加する最後の「フットサル地域女子チャンピオンズリーグ」、それもオーシャンアリーナで日本一になれ感無量でした。東海地域の代表が決勝に進んだので、次の年の東海代表は2チーム、東海リーグの皆様にも少しだけ恩返しできた気分でした。また、20分×2の公式戦が3日間で5試合、全日本選手権の決勝延長で力尽き、ピッチに立てる選手を育てる必要性を感じてから4ヵ月、成果は出せたと思います。FP6人の2枚替えからFP10人でセット替えができるチームに変貌する準備を始めた2015シーズン、カテゴリー制限のない大人の大きな大会で初めての優勝でき、選手たちは大きな自信になりました。

 6月にポルトガルに行ったことは、福井丸岡RUCKの大きな財産になりました。海を渡って本物に出逢うこと、憧れの人間像を見つけること、大切です。


14、日本女子フットサルリーグプレ大会


 2016年度がスタートします。実は、この年の準備は2015年から入念に、そして急ピッチで進められてきました。それは、日本の女子フットサルを世界の表舞台に立たせようとする準備であり、男子のフットサルワールドカップ愛知県誘致とからんで大きな流れを呼びました。

 まずは、「日本女子フットサルリーグ」の新設です。2015年12月末に、京都の八幡体育館で女子の大会を開き、その夜、監督さんたちに京都のホテルに集まって日本リーグの是非についてご意見を伺いました。まだ早すぎるという意見もありましたが、RUCKのように「やってみたい」という声も聞かれました。その後の転機は、1月31日に埼玉スーパーアリーナで開催された「エンジョイ5」の全国大会です。JFAのフットサル関係者も多数来賓として来場されており、「日本女子フットサルリーグ開催」の嘆願書を書いて提出することになりました。

 それと同時に、フットサル日本女子代表も在原正明監督から伊藤雅範監督にかわり、「女子U-18年代のフットサル」の普及についても話は進んでおり、第8回トリムカップには、全日本女子U-15フットサル選手権の優秀選手で構成されるフットサル日本女子選抜チームが出場しました。JFAアカデミーに所属しながらフットサルの全国大会に参加していた、ヴィトーリアの平田ひなの・斎藤桃花、徳島ラティーシャの前田佳澄、レインボー垂井の前川望愛など、中学3年生の選手が大多数を占める中、RUCKの中学2年生、藤江真尋・北嶋笑・横山凜花・荒井一花・山川里佳子・池内天紀の6名が選出されました。

 当時、ユースオリンピックの種目がサッカーからフットサルになるという情報はつかんでいましたが、どんな形でアジア代表チームを選ぶのかは全くの白紙でした。自分はアンダーカテゴリーの日本選抜のトリムカップの大会参加に疑問はもっていましたが、同時に、JFAがこの活動を試みたことで、U-18年代の女子フットサルに明るい未来も感じていました。ちなみにこの年のトリムカップは、優勝は東京都、準優勝は兵庫県、3位が福井県と千葉県、日本選抜は福島県に4-5、香川県に4-4、兵庫県に1-4で予選敗退でした。

 その後、日本女子フットサルリーグの新設についての話もとんとん拍子に進みました。参加を表明するチームは、申込書をフットサル連盟に提出しヒアリングを受けました。福井丸岡RUCKは、坂井市サッカー協会の西理事長と坂井市教育委員会生涯学習スポーツ課の古川課長のご指導のもと、坂井市にホームタウンになってほしいとお願いに行き承諾していただきました。しかし、坂井市には日本フットサル連盟の基準とする40m×20mのピッチがとれて、800名以上の観客席を持つアリーナがないため、坂井市総合体育館ができるまでは、福井県営体育館を使用し、2018年度から始まるホーム&アウェイ戦に備えることになりました。また、法人の資格が必要であるとのことで、当時コーチであった五十嵐茂幸氏が理事長に就任し、特定非営利活動法人設立の準備に入りました。さらに、ユニフォームスポンサーを募集することになり、「FBC福井放送」、「福井銀行」、「春江病院」の3社が一緒に日本リーグを戦ってくださることになりました。

 7月14日、まず日本フットサル連盟が「日本女子フットサルリーグ」を来年度から開催するというアナウンスを発表しました。今年度は6チームがセントラル方式で1回戦総当たりのリーグ戦を行う、プレ大会を実施すること。その開幕戦は10月8日のFリーグオールスターの翌日に行うことが伝えられました。9月4日には、参加チームの監督やスタッフがFリーグの試合会場の小田原アリーナに集結し記者会見が開かれました。日本フットサル連盟の小倉純二会長から、日本女子フットサルリーグは代表を強化するためのリーグであり、「アジア王座を奪還せよ」と檄が飛びました。

 関東リーグからバルドラール浦安ラスボニータスさんとさいたまサイコロさん、東京都1部リーグから府中アスレティックさん、東海リーグのユニアオレディースさん、関西リーグからアルコイリス神戸さん、そして、北信越リーグから丸岡RUCKレディースが参加するプレ大会は、第1節・2節が仙台のゼビオアリーナ、第3節がオーシャンアリーナ、第4節がエコパアリーナ、最終節が浜松アリーナ、各チームの遠征費の負担を抑えるために、開幕戦以外は東海地方で開催されることになりました。

 福井丸岡RUCKは、バーモント世代が高校3年生、池内世代が中学3年生、受験とフットサルの両立を図りながら優勝を目指すことになります。まずは、開幕戦の前日、小倉会長がFリーグオールスター戦に来場された2500人のサポーターの皆様に、日本女子フットサルリーグの開催を宣言しました。2016年10月9日、記念すべき「日本女子フットサルリーグ」がゼビオアリーナ仙台の黒くスタイリッシュなアリーナで開幕しました。今年度はプレ大会ではありますが、日本の女子フットサル界が新しい一歩を踏み出しました。

 開幕試合の「サイコロ-府中」は3-2でサイコロさんが勝ちました。続く、第2戦は「RUCKvs浦安(235人)」、前半7:22にもらった右コーナーキックは北川がキッカーです。山川・田中・夢花の順に斜め一列に並び、北川が蹴ったボールを山川がキックフェイントでスルーすると、田中がシュート。ボールは本多さんの右手をかすめニアハイに突き刺さりました。福井丸岡RUCKの日本リーグ初得点は、小さいころから何度も何度も見てきた、右コーナーから決まりました。後半も高尾のループシュートがバーに当たって入り、記念すべき開幕戦を2-0で勝利しました。

 翌日の10月10日の第2節の「RUCK-府中(145人)」は、11:30にキックオフされました。前半11:40、船附選手に先制され0-1とリードを許します。しかし、14:31に左コーナーから田中が得点し同点、その20秒後、小林心が高尾のシュートパスをフォア詰めで決め逆転、前半を2-1で折り返します。後半は落ち着きを取り戻し、夢花・小林・山川・田中・前田が得点し、7-1で二連勝となりました。開幕戦のベンチ入りは12名、仙台遠征のメンバーは、大学2年生の小林心・五十嵐愛海、大学1年生が浅野樹、高校3年生は北川・田中・高尾・夢花・鵜飼、中学3年生の池内・北嶋・山川・前田でした。

 第3節はオーシャンアリーナで開催されました。ユニアオさんのホームですが、会場に近いチームが先ということで、「RUCK-ユニアオ(322人)」は11:30にキックオフされました。鵜飼は受験で休部、フィクソの田中は受験日ということで、小林望月と横山凜花がベンチ入りです。東海リーグでも対戦していたユニアオさんでしたが、前半1:38に浅野のスローから高尾が決めて先制、7:25にオウンゴールで失点、7:33にキックオフから北川がカットインシュート、前半は2-1でリードして終了しました。しかし、後半20:37、森本さんのループパスをピヴォの石垣さんが胸トラップしてシュート、再び同点とされます。25:42、夢花から高尾、そして小林心とボールがつながり五十嵐がミドルシュート、3-2になりました。均衡した試合は、そのままRUCKが守り切り試合終了のブザーが鳴りました。平均年齢17歳のチームが開幕3連勝を飾りました。

 日本リーグは全日本選手権を挟みましたが、11月27日、静岡県のエコパアリーナで第4節を迎えます。「RUCK-アルコ(243人)」は、9:30にキックオフされました。この試合、全日本女子U-15北信越大会と重なり、監督の田中と中学生は新潟県の大会に参加、馬場コーチが監督代行となり、大一番の指揮を執りました。エコパには、高校2年生の浅野柚と下牧、高校1年生の西尾が帯同し、10名で王者アルコさん挑みました。北信越大会のRUCKの第3戦は11:00キックオフでしたが、優勝争いをしていた上松中学校さんの試合が10:00からあり、得失点争いで優位に立ちたかったので、エコパの試合の速報がラインで入るのを心待ちにしていました。

 しかし、最初に届いた速報は「失点。0-1」なんと前半0:33に加藤さんにシュートを決められました。2度目のラインは前半10:26、「田中、同点」、小林心、北川、田中とバスをつながり、田中が右サイドの夢花とワンツーを決めたようです。ツィッターには「バースデーゴールおめでとう」と他チームのサポーターの方が書いてくださいました。前半は、このまま1-1で終わりました。後半24:22、今度は高尾が左サイドで小林心からピサーダをもらってトゥシュートを打ち込みます。2-1逆転。SNSには、「速い」「稲妻」などの投稿が上がっていました。その後、なかなか速報はラインに入ってきませんでした。やきもきしながら携帯とにらめっこをしていたら、11:00の試合開始直前に、「2-2の引き分け」という報告が入りました。後半36:39、加藤さんにミドルシュートを決められて追いつかれたようです。シュート数はRUCK12-44アルコ、2枚替えでよく頑張りました。馬場監督代行のおかげで、最終節のサイコロ戦は勝つか引き分けで優勝できることになりました。アルコさんとの公式戦で、初めて勝点1を獲得できました。

 2017年1月15日、日本女子フットサルリーグプレ大会最終節を迎えました。「RUCK-サイコロ(289人)」は、FBCさんの密着取材があったり、県サッカー協会の西村専務理事をはじめ常任理事の皆様、坂井市サッカー協会の西理事長などたくさんのサッカー関係者の皆様が浜松アリーナに応援に来てくださったりしました。しかし、この日は大学のセンター試験と重なり、県立大学に推薦入試で合格していた丸岡高校の横山夢花は参加できませんでした。同じく推薦で県立大学に合格していた金津高校の高尾茜利は学校が日本リーグの参加を認めてくださり浜松アリーナに来ることができました。先発は浅野・田中・五十嵐・高尾・北川の5人、開始42秒、北川が前線で激しいプレスをかけ、そのこぼれ球を五十嵐がループシュート気味に押し込み先制しました。しかし、直後の2:24、加藤選手にゴールを決められ試合は1-1の振り出しに戻りました。前半5:55、山川が前プレでボールを奪い高尾にパス、高尾はドリブルで前に運びフォアに走りこむ池内に、池内が2点目をゲット。なんと中学生コンビの活躍で勝ち越しゴールが決まりました。さらに、12:55、今度は高尾が左サイドをドリブルで駆け上がり角度のないところからシュート、3-1。リードが2点に開きました。その後、ピヴォの吉川選手にボールを集めるサイコロでしたが、フィクソの田中と五十嵐が吉川さんをしっかりマークして無失点に抑え、3-1で前半を折り返しました。

 後半、夢花がいないRUCKは徐々に疲れが見え始めます。10分が経過したとき、前の週に全日本女子U-15フットサル選手権で日本一になった中学生セットを投入することを決断し31:28タイムアウトを取りました。凜花・荒井・池内・山川、32:40に高橋さんのロビングを吉川さんにヘディングで得点されるまでの1分12秒、中3だけでプレーしました。その後、サイコロさんの勢いは増し、35:09に加藤さんにこの日2点目となるループシュートを決められ3-3の同点になりました。スビートはRUCK、フィジカルはサイコロ。Fリーグの監督も務めた小野監督が挑んだ高さ勝負、RUCKの弱いところをついてくる采配は見事でした。終盤はかなり防戦一方になりました。パワープレーの前にサイコロさんがとってくれた37:22のタイムアウトの1分間で、「引き分けでも優勝が決まること、シュートブロックに強くいくこと」を強く言いました。その後の時間はとても長く感じましたが、ボールが切れる度に会場のみんなと手をたたき合い、楽しい時間でした。そして、ブザー。2週連続日本一の瞬間は、たくさんの方への感謝の気持ちでいっぱいでした。当時の北澤フットサル委員長は、RUCKの選手たち一人一人とツーショット写真を撮ってくださいました。バーモントカップの会場で自転車に乗っている北澤さんと初めて挨拶をかわしてから5年、フットサルのおかげで私たちの人生はいろんな花が咲きました。



15、第13回全日本女子選手権は予選敗退!!


2016年その他の主要大会です。昨年度の地域女子チャンピオンズリーグで優勝し、「今年こそは優勝を」と意気込んで出場した「第13回全日本女子フットサル選手権大会」は伸びた鼻をへし折られる大会になりました。初めての札幌遠征で、ワクワク感が止まらなかったのもありますが、受験で全員そろって練習する時間が少ないにもかかわらず、準決勝で対戦するであろうアルコさんの対策ばかりに気がいってしました。

10月28日(金)、予選Dグループに入った福井丸岡RUCKは、九州代表のアレグリ・カミーニョ(佐賀)と対戦しました。前半4分、センターライン付近でこぼれ球を古賀選手に拾われドリブルシュートを決められ先制を許しました。予選は12分のプレーイングタイム、相手は無理せずボールを外に出してくれるのでマイボールになるのですが、相手の監督さんがやろうとしているプレーのキープレーヤーの名前を大きな声で叫びマークを徹底させるので、こちらのセットプレーもなかなか決まりませんでした。後半4分、またしても古賀選手が左サイドを突破して中央に折り返し、原選手に2点目を決められました。しっかりとハーフに陣形をとり、徹底してピヴォ当てのコースを切り、ドリブルのコースをカバーするアレグリさんに、1点も取れずに0-2で完敗しました。アレグリさんの対策に見事にしてやられ、シュート数は30-10でありましたが、2本のカウンターに沈みました。

10月29日、アレグリさんの選手がサッカーの大会に行くという情報もあり、まだまだ予選突破の可能性があると気を取り直して会場入りしました。予選2試合目は香川県の道楽さんとの対戦です。またしても引いて守る相手。五十嵐の先制点、高尾のドリブルシュート、横山の3点目、プラン通りの前半3点でした。後半、やはり、がっちり守りを固める相手を攻めあぐねましたが、残り3分で、横山の左サイドからのトゥキック弾。夢花はSWHの高橋さんと一緒に大会パンフレットの表紙に抜擢されました。このゴールが、今大会、RUCKのベストゴールだったかもしれません。さらに、高尾がいつもと違って右サイドを突破し、北川がセグンドで決めました。昨日のユニアユ-道楽戦は5-0だったので、残り0'06、田中→北川→高尾の6点目は大きかったです。先に終わっていたユニアオvsアレグリ戦は3-1。これで、得失点は、ユニアオ+7、RUCK+4、アレグリ-3となりました。最終戦のユニアオ戦は2点差で勝てばOK。予選突破の可能性が限りなく大きくなったと、ほくそ笑んでいました。

しかし、ここで、「当該チーム間の得失点」「当該チーム間の総得点」という情報が入り、頭が真っ白に。予選突破には、最終戦3点差が必要なことがわかりました。道楽さんとの結果はカウントされない大会方式でした。ルールを把握せずに大会に参加した監督の責任は重いです。知っていれば、経験を積むために連れてきた超若手の選手たちに試合を任せ、最終戦に備えて主力の体力を残せました。

15:50にキックオフされたユニアオ戦は、3点差がつけられる自信はありました。プランは、前半のうちに2点。そして、後半1点。試合前に、アルコの井野さんのユニフォームにパワーをもらい、中野さん、若林さんからも、喝を入れてもらいました。ルースファミリーのファンレディースさんも、帰るのをやめて応援してくださいました。

そんなRUCKの前に立ちはだかったのは、東海のレジェンド森本選手と、上杉ゴレイラの元ギャングコンビでした。この試合も上杉選手の神セーブと正確なキック。森本選手のこぼれ球への嗅覚、のらりくらりやっているのに、ここぞとばかりはスピードを上げてゴールに飛び込む得点感覚。いつも試合には勝たせてもらっていますが、この2人のプレーに苦しめられていました。

試合は、前半、得点はしたいものの失点はしたくないRUCK。「絶対焦らない」と約束して入った試合、0でも仕方ないかなと思っていた残り0'07、左のコーナーキックを五十嵐が決め、欲しかった1点目が入りました。ハーフタイム、「失点はせずに2点、早い時間に2点目、そして焦らずもう1点」と話し、選手たちをピッチに送り出しました。

後半7分、北川がネットを揺らし、追加点。残り時間は5分近く、「大丈夫、絶対3点目はいける。疲れてきた相手に前田を入れて、リズムを変えよう」そんな時、こぼれたボールがなんと、森本さんの前に。なでしこリーグで鍛えた嗅覚、日本代表で世界と戦った経験、「森本さんは絶対に見ておけ」と選手達に指示しておきながら、自分が見ていませんでした。失点は絶対しないと誓った試合で、あと1点の気負いが失点を生みました。

それでも、残り2分弱、再び五十嵐が中央からミドルシュートを決め3-1になります。あと、1点で、決勝トーナメントです。パスを回しサイドから攻撃、ドリブル突破からのシュート。決定的なシーンがなんどもありましたが、上杉さんの足が、手が、ポストがバーが、RUCKの得点を阻みました。残り1分、警戒していた石垣選手がライン際で体を入れてターン、そしてサイドをドリブル、石垣さんが力一杯蹴ったフォアへのボールに体ごと飛び込んできたのは、またしても森本選手でした。絶対にしてはいけない2失点目。森本選手は、24分のプレーイングタイムで21分は出ていました。森本選手42才、まだまだ雲の上の人でした。

初めて札幌で行われた「第13回全日本女子フットサル選手権大会」のCグループは、結局、1位ユニアオ(勝点6・当該チーム得失点+1)、2位アレグリ(勝点6・0)、3位RUCK(勝点6・-1)という結果でした。3日目の準決勝はSWH 2(1-0(2PK1)1-2)2甲山、アルコ6(3-0・3-0)0ユニアオ、決勝アルコ4(1-0・3-0)0 SWHとなり、アルコさんが4度目の優勝を飾りました。福井丸岡RUCKは予選リーグ3位で終了しましたが、この予選敗退は間違いなく、監督の責任です。

3日目は、メンタルトレーナーの藤代さんと一緒に函館山に登って気持ちの整理をしたり、白い恋人パークでクッキーづくりをしたりしてリフレッシュしました。今も家の玄関には、函館のガラス館で買った亀のガラス細工の置物が飾ってあり、大会に行く前には「1歩1歩が大事」と心に誓ってから出発するようにしています。

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