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スタジオジブリと十年一刷舎が映し出す景色【久石譲 - Summer】

最初にお届けしましたのは、久石譲さんで「Summer」(演奏:Jaga)でした。

あらためましてこんにちは。
はじめまして、十年一刷舎のJaga(じゃが)です。

今回は、十年一刷舎というアカウントをスタートして初めての私、Jagaの記事です。
(この十年一刷舎というアカウントには、このように私、Jagaと文筆家のさちさんそれぞれの記事や一緒に作った作品や記事、音声などをアップしていく予定です。)

なので、今日は、自己紹介を兼ねて、私たち十年一刷舎がやろうとしていることを、スタジオジブリなどのお話を交えつつ「音楽」の視点からお話させていただけたらなと思っています。

気軽に読んでもらえるとうれしいです。

自己紹介

じ、自己紹介・・・
あれ?記事ってそもそも、自己紹介とかするものなんだっけ。

自分でも理由はわかりませんが、なんだか転入生に似た気持ちになってきたので、noteの教卓の前に立ち震えながら自己紹介をさせていただきます。

名前はJaga(じゃが)と言います。
「じゃがさん」と呼んでくださる方が多く、そのほとんどの方がじゃがいもを連想されることと思いますが、結論としては人間です。
ぜひ気軽にじゃがさんと呼んでくれると芽が出ます(あかんやん)。

noteでは、この十年一刷舎のアカウントとは別に、音楽やアートなどのクリエティブでこども食堂を応援するオンラインコミュニティ(約70名)を、noteメンバーシップの会員制コミュニティとして2年ほど運営しています。

この活動のために様々な作品を作る中で、文筆家のさちさん、シンガーソングライターの坂本櫻さんとともに作った音楽と小説の作品「おはよう、私」を2024年にnoteに公開しました。

短編連作小説『おはよう、私』さち著

とてもたくさんの方に読んで、聴いていただき、「すばらしい映画を1本見たあとのような気持ちです」「ジブリ映画を見たような感覚になった」など、恐れ多くも涙が出るような嬉しいコメントも、本当にたくさんいただきました。

そして、この連作短編小説が生まれる元になったのが、音楽『おはよう、私』(うた:坂本櫻、作詞作曲:Jaga)です。

音楽『おはよう、私』
(うた:坂本櫻、作詞・作曲:Jaga)

もしかしたら今この記事を読んでくださってる中にも、この「おはよう、私」に昨年から触れる中で、Jagaという名前を「知ってるよ」「見たよ」という方がいてくださっているかもしれません。

そうです、そうそう、そのJagaです(知らんがな)

で、実際ほんとは何者?みたなところを全て語ると、十年一刷舎の次の作品が「自己紹介」というタイトルになってしまいそうなので、短めにまとめたいと思います。

〈Jaga経歴〉
幼少期からクラシックピアノを習い、高校まではピアニストを目指して色んなコンクールで賞をいただいたりしました。その間5年ほどはギター片手にストリートミュージシャンをしていたこともあります。

高校時代にとあることがきっかけで法律家を目指すようになり、音楽の道は諦めたのですが、こども食堂を応援したい気持ちとともにまた創作活動をするようになりました。絵を描くことも好きで、昨年は美術展の賞をいただいたりもしました。ということでピアノ弾きというよりよき表現者を志しています。

最近は、作曲に注力しながら、この十年一刷舎での新しい取り組みにワクワクしているところです。

ちなみに、普段は普通のサラリーマンです。趣味は美術館めぐりで横尾忠則さんを愛してます。見た目は人間にモップを乗せたような感じです。

ふんわり自己紹介

今日はこのくらいにさせていただいて、また少しずつ、作品や記事をとおして、Jaga自身のことも発信していけたらなと思っています。

さて、ようやく本題です。

十年一刷舎は主に「音楽と文章を織り合わせて作品を作る工房」

十年一刷舎ってなに?ということの今の時点での答えがこれです。

そこで今日は、実際に「おはよう、私」を作る時にとった手法である「音楽と文章を織り合わせる」ということを、少しずつお話してみようと思います。

「音楽と映像の組み合わせ」というのはとても一般的だと思います。例えば映画は、その力を最も発揮している表現手法の一つだと思います。映画音楽というのは単に映像を補完するものから、作品そのものの世界観を作る存在となる場合や作品もあると思います。

「君の名は。」で有名な新海誠監督は、新しく書いた脚本を手紙にしてロックバンドRADWIMPSの野田洋次郎さんに送る。すると、洋次郎さんから数ヶ月後にはメロディーが返事として返ってくる。そのメロディーから映画が全体として出来上がっていく。映画の完成試写会でそんなお話をされてるのをお聞きしました。

ジブリの宮崎駿さんは久石譲さんのメロディーを何度も聞いて「風の谷のナウシカ」を作ったと、ジブリの鈴木敏夫さんの本に記されています。

こうして、『ナウシカ』の映画音楽は、映画の完成前に、まず、イメージ・アルバムとして完成した。久石譲さんの作った曲を繰り返し繰り返し聴きながら、絵を描くことに集中する宮さん(宮崎駿)の姿は、いまも、目に焼き付いている。

鈴木敏夫「ジブリの哲学-変わるものと変わらないもの-」より

より詳しくは本をぜひ読んでいただきたのですが、まとめるとナウシカのプロデューサーだった高畑勲さんの提案は以下の2つだったということです。

・ナウシカは漫画原作を元にまず音楽(イメージ・アルバム)を作り、そこから映画をつくる
・宮崎駿の手によるイメージ詩をつくり、それをきっかけに音楽を作る。

この本を読んだのは「おはよう、私」を作った後のことだったので、この記載を参考に作ったわけではなかったのですが、この本を読んで十年一刷舎の方向性が見えた部分もありました。

音楽と世界の関係性

音楽は、単に完成した世界(物語や映像)を補完するだけだなく、音楽そのものが新たな世界(物語や映像)を提示するという役割を果たせる。
そして物語や映像がありありと具体的に新しい世界を作る。

十年一刷舎では、音楽と世界の関係をそう大切に捉えたいと思います。

音楽は音という記号を駆使しながら、比較的短い時間の中で表現されます。映像や小説と比べると相対的に情報量が少なく、結果的に抽象度は上がります。僕はこの点から、音楽はテーマ性や世界「観」を広げることに優位性があると考えています。具体的にはとらえようのない感覚や、想い、新たな価値観などを提示していくことに長けていると感じます。

逆に、映像や物語は、音楽と比較すると具体的で説明的です。まさに世界そのもので、建物や人間、自然、その色や音まで、五感で感じるそのほとんどを具体的に説明できます。

(もちろん映像や物語と同じように音楽そのものが世界であると表現してもよいとは思いますし、逆に新しい世界を提示する抽象的な文章もあるとは思います。ただ、やはり音楽の多くが映像や物語と比較した場合に持つ抽象性の高さから相対的にこのような力点で僕はとらえています。)

十年一刷舎の工房の作業とは

言い換えれば、音楽から今までにない世界(物語や映像)を作ることができるということです。
そしてそこからできた世界がベースなり、また音楽が展開するといった、具体と抽象を行き来しながら縮んでは伸びる尺取虫のように前に進みながら作っていく作業を、十年一刷舎という工房では一つ一つ丁寧に行います。
「おはよう、私」は実際そのようにして作られました。

最初に僕がほんの数小節からなるシンプルなひとつのメロディ(20秒ほどのAメロ冒頭部分のみ)を作りそれをさちさんに渡しました。そのメロディから、さちさんによって物語が生まれました。その物語から僕の曲はさらに展開し、展開した先に歌詞が生まれ、そしてまたさちさんの作る物語が展開しました。最後にアーティストの坂本櫻さんの歌声がそこに加わったときに、フゥッと飛び立つのを感じました。

小説と音楽が新たな1つの世界になった瞬間でした。

そんな縦糸と横糸のように複雑に絡み合ってできたのが『おはよう、私』です。

こんなお話を聞いて改めて『おはよう、私』という作品をゆっくり楽しんでいただけると嬉しいです。


音楽と文章の世界のやりとり

音楽と文章を交互にやりとりしながら一つの作品を作るということは一見、不思議に聞こえるかもしれません。
でも実際にやってみて気づいたことは、音なのか文字なのかの差はさほど大きなことではなく、大切なのは共通する価値をそこに見つけられるかでした。

音の質感と、文体が一つの作品になるよう互いに耳をすまし、文体を目で追う。その繰り返しで、共通の大切な価値を見つけられ、その見つけた価値に寄り添ってありありと表現する。最後にフゥっと宙に浮くような魔法の力が「歌」にはあるのですが、その時にも慎重に慎重に。思わぬところに飛んでいかぬように。

その価値というのは、読んで、聴いてくださるあなたにぜひお渡ししたい大切なことです。

これからも音と文字で「世界のどこかのやさしいあなた」に渡したい大切なものを探すこと、これが十年一刷舎の工房で行う作業です。

目をつむって鍵盤、ペンにそれぞれの指をゆだねる。心をどこまでも「あなた」に添わせたら、実際あとは無心で手が動くはずとの思い。

考えるというよりは反応に近い一音、一筆それぞれが、一本ずつの糸となりあたたかな一枚の布になるよう、すぐには終わりの見えない作業を繰り返します。

そんなことで本当に少しずつしか作れない十年一刷舎という工房の作品作りに、もしご興味があれば、応援していただけると嬉しいです。

窓から見える景色はきっと

今日の最初に聴いていただいた曲、「久石譲 - Summer」。

十年一刷舎の作品ではないですが、一本ずつ織られた音が、「あなた」の大切なものを思い出させてくれるであろう曲だと思い、ピアノの演奏をお届けしました。

久石譲さんによって一本一本織り重ねられた音が私たちを包む時、目の前にありありとその世界(映像)が現れる。この曲のそんなところが僕は好きです。

十年一刷舎もそんな作品作りをこれから進めていきます。楽しみにしていただけるとうれしいです。

そして皆さんととももに、心の窓から素晴らしい景色、そして新しい世界を望めたらとこんな幸せはありません。

また次の音楽時間に

僕が担当する記事ではこんな感じでジブリやディズニーなどの演奏動画などとともに、音楽と世界の関係を探索しながら十年一刷舎の工房を皆さんとともに作っていけたらと思っています。

今回は初回ということで、ずっしり重めの記事になっちゃいましたが、今後はいろんな曲を軽やかに弾いてご紹介をしたいと思っています(文量は半分くらいのイメージです。ハウルや、もののけ姫の世界も一緒にちょっと覗いてみたり?)

今年は僕自身、各地のストリートピアノの演奏活動などもしながら、より多くの方に「おはよう、私」の世界を届けたいとも思っています。
そんな様子もぜひシェアできたらいいなと思っています。

「おはよう、私」のような世界が好きだなと思ってくださった方、ぜひこのアカウントもフォローしてくださるとうれしいです!

では、また次の音楽の時間にお会いしましょう。

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