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「バス係数」から考えるリモートワーク時代に求められる人材像

『Team Geek』という本を読んでいる。


バス係数とは

主に技術者向けのチームワークを説いた本だが、技術者以外にも大いに示唆に富んだ内容だ。

コロナ下でリモートワークが標準的な働き方となる中で、より強いチームが求められている。これまでのように隣に座って柔軟に声をかけてカバーするのは難しくなり、規律と柔軟性のバランスを持った上で、個々が高い能力を発揮してチームとして成立させていく必要がある。

この本の中で有名なチームを計る指標として、「バス係数」というものが存在する。これは「チームの中で何人がバスに轢かれたらそのチームは破綻するか」というシンプルなもので、この数値(人数)が高いほど良いチームとされる。


バス係数の高いチーム

少しビジネスから離れて、このバス係数をもとに強いチームの例を考えてみる。
例えばハンターハンター。この漫画でバス係数の低い強いチームと言えば、幻影旅団がまさにそれだ。リーダーがチームを離脱しても全く止まることなく、目的遂行のために組織は動き続ける。我々の住む世界と照らし合わせると少し非道すぎるが、これも強いチームの一つと言えるだろう。

例えば弱虫ペダル。王者箱根学園は「全員エース」を謳っており、状況によっては誰もが自分がエースとなる覚悟を持って戦いに挑んでいる。一人を任したくらいでは、到底このチームを倒したとは言えない。

逆に京都伏見は御堂筋くんに大きく依存しすぎている。バス係数は1だ。非常に高い。


こういった全然関係無いようなケースからも、強いチームに求められる人物像が少しずつ見えてくる。


チーム全員の能力が高い

まず、チーム全員の能力がおしなべて高いことが求められる。チームビルディングというとどのようにチームを構成するか、上手くコラボレーションするかに話が行きがちだが、そもそもの能力平均値が高いことは必須条件である。

ここは個々人が忘れてはならない大きなポイントで、強いチームを作りたければ、まず自らが強くなくてはならない。


一人が複数の役割を持てる

サッカーW杯の日本代表選出では、しばしばメンバー発表時にサプライズが起きる。カズが落選したのはもう20年以上も前のことだが、23人という限られた枠の中では、一つの能力だけでは十分とは言えない。
サッカーでは「ユーティリティー」と言われるが、現代のビジネスパーソンにもこの手の能力が求められている。日本代表で言えば今野や原口のようなタイプで、彼らはあらゆるシーンで計算が立つためチームを機能させるためのキーマンとなる。
もちろん、全てがただ平均的な選手には何の価値も無い。あくまで突出している何かがあることが前提で、そのうえでユーティリティ性を持つ必要があるということだ。


専門性を持つジェネラリストの時代に

ビジネスにおいても、これからの時代「専門性」と「ユーティリティー」が求められる。

旧来の終身雇用型の企業では、社員教育は標準化されることが多かった。あくまで平均的に、社のために尽くせる人物。そこに個性は必要無く、社のルール・規範に沿っていれば良かった。

リモートワークやビジネスツールが発展すると、高い能力を持った人がもっと柔軟に横並びでコラボレーションしていくようになる。ただ平均的な人がやっていた調整業務は機械に取って代わられる。

そうなると、相手のことも一定理解をしたうえで、異業種間でコラボレーションしていく必要がある。自分に何も無いのはもちろんダメだし、突き抜けすぎて相手に合わせられない人もこの時代では生き残れないことになる。


要はポジショニングで、何を自分の専門性として、何はコラボレーションで解決するのか?解決を委託する領域については、コレボレーションできるだけの基礎知識があるかが鍵になってくる。全てを自分で知って、一人で解決できるような仕事は無くなってくるのだ。そんなものは、どこかの天才がプログラミングして解決してしまうから。


このコラボレーションを考えた時に、「プロジェクトマネジメント」というスキルは幅広く使えそうだなと思ってここを中心にやっています。

プロジェクトマネジメントって専門性になるの?みたいな話はまたそのうち。


では。




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