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CVR改善(CRO)の立ち位置

クライアントのウェブサイトにおけるCVR改善(CRO)を支援する中で、たびたび立ち位置というものに悩まされることがあります。

よくある例として、例えばファーストビューを変えましょう!と言ったら「制作会社とも話をしているから待って」「広告チーム側で検討してすでに進んでいるから保留で」とクライアントから言われ、施策が一向に進まない。

こうなると「なぜ雇われたのか?」と頭を抱えてしまいますが、これはCROという施策の立ち位置を改めて考えてみるべききっかけであると思います。


「CVR」というKPIの不安定さ

CROとはその名の通り、CVRを改善するためのプロジェクトです。
ただし、このCVRとは厄介なもので、独立した指標ではなく、様々な影響を受けます。

最も影響を受けるのはチャネルです。
Gensparkでの生成ですが、おおむね経験と一致しています。

チャネルごとの平均的なCVR by Genspark

自然検索が高くて、リスティング広告がそこそこ、ディスプレイは低め、、みたいな感じですね。

※ちゃんと集計したデータをきれいにまとめてくれているので、実態が知りたい方は、下記記事も参照してください。

こうなると、チャネルの内訳を変えるだけで、CVRは変動するわけです。
もっと言えば、ひとつのチャネルの中にも複数の流入経路があります。自然検索でいえば指名と非指名です。

ウェブサイトのCVRというKPIは、CROチームが施策を行わなくても常に変動し続けているものなのです。

CROチームはPM的立ち位置になれるか?

CVRがチャネルによって大きく左右される、ということを踏まえると、CROチームが各集客チャネルのプロジェクトチームに対して横並びで存在する組織構成になるとうまくいきません。冒頭で話したような「他でやってるから」となって進行が妨げられます。

このような割とよくみるデジマの組織構成になると、CROチームはそれぞれで行っている施策の把握が難しくなります。
一見、これでもPMが正しくデジマの状況を把握できれば良いですが、実態はデジマ知識が乏しい事業者の「マーケざくっと管理者」がPMに位置することが多くCROチームとその他チームの連携を促せない状態です。

CROとそれぞれの施策チームが横並びになっている状態

では、各施策チームにCROチームを紐づける、もしくは責任をもってCVRまで追ってもらうことはできるか?

各施策の配下にCROの役割を持たせる

つまり、オウンドメディア運用チームや広告チームなど、集客を行うチームそれぞれがCVRというKPIを持っておくべき、となります。

広告チームにとっては、CVRはもともと広告指標の中に存在するので比較的親和性は高いですが、SEO施策に注力しているオウンドメディア運用チームに新しいKPIが増えるのでとっては面倒くさい話です。

また、広告チームに関しても大規模で広告媒体数が増えるほど、それぞれに対してCROを行う必要があり、全体を網羅的に対策していくのは不可能です。

CROチームを細かく分割することも手段の一つですが、リソース的に実現できるかは難しいでしょう。

また、もうひとつ注意したいのが、CROの一施策が全体のチャネルに影響を及ぼすことが多いことです。

例えば、自然検索からの流入が多いページに対して、自然検索のCVR改善のためになにか改修を行ったとします。
意図的には自然検索に対してだけ反応を得たいと思っていても、実際には広告からの流入ユーザーの目にも触れるので、CVRが下がったときには「あいつのせいだ」「こいつのせいだ」という話になるでしょう。

(社内なら問題ないですが、これで代理店の成果が落ちたから責任とれよ、みたいな話になったら心は傷つきます)

ということで、私の理想はこれです。

CROはPMと各施策チームの間にいたい

CROというのは、各施策の目的が達成できていれば存在する必要のないチームです。
したがって、PMがどの施策をてこ入れすべきかをCROチームと考えつつ、必要に応じてCROチームのリソースを各施策に投じていく、というのが良いのではないでしょうか?

このとき、CROチームは「CVR」を軸に全体の施策を評価する機能も持つため、実質的にPMの機能も一部持つことになります。

CVR絶対主義になるべきではない

最後に、勘違いしてほしくありませんが、「CVR」という評価は絶対ではありません。月並みですが、CVRというのはビジネスゴールである成約、売上、LTVといったKGI指標のKPIでしかありません。

その意味でも、各施策がCVRを含めた施策上のKGIに意識が持っていかれないように最終ゴールを計測できる仕組み高陸をリードする役割もPMの一部を担うCROチームには求められるのではないかと思います。

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