ドクター・ハウスから学ぶコンサルタントが持つべき3つの意識
転職が決まり、有休消化でまとまった休みが取れたので、Netflixでドクターハウスを一気見しました。
(8シーズン計178エピソード一気見はなかなか重たかった)
ドクターハウスの概要ですが、頭のおかしい薬中メンヘラ天才医師ドクターハウスことグレゴリーハウスを主人公とした物語です。
診断課というほかの課では病気の要因が特定できない困難な診断を引き受ける素敵チームを率いて、数々の難病の診断と治療を行っていきます。
ドクターハウスの特徴は、症状の原因を知ること(作中では「パズルを解くこと」などと表現されています)に執着していることで、そのためには病院のルールを無視したり、未承認の治療法を採用したり、手段を問いません。結果として患者が死にかけることもよくあります。
一方で、そのように原因究明にこだわり続けることで結果としてほかの医者が救えない命も救ってきました。
ドクターハウスのやり方は過激でありながらも、同じく現状から仮説を立案し、適切な施術を提案することが仕事であるWebコンサルタントにも参考にすべき点があると思います。
クライアントに選択肢を与えてはいけない
診断課にインターンとして配属されたマスターズという学生とハウスとのやり取りです。
患者は腎不全と血栓の症状が出ており、これに対してマスターズ(およびチーム)はHSP(Henoch-Schönlein 紫斑病)であると診断します。マスターズはこの治療に対して、「化学療法かステロイドを」という2つの治療法を提案。しかし、ここでハウスから「化学療法だ」という指示にあわせて、上記の引用の流れになります。
マスターズは説得を試みますが、結果として患者はステロイドを選択しました。
Webコンサルを問わず、専門家からクライアントに対して提言を行う際、複数の選択肢を提示することは原則NGと考えるべきです。
なぜか。それは最善の選択をするスキルや知識がクライアント側にないからです。
専門家はその専門知識や経験を持っているために、ひとつの課題に対して複数の方法で解消することができるという視野を持っているため、いくつかの選択肢を提示してしまうケースを多々見かけます。しかし、これは専門家・コンサルタント側の責任逃れとも言えます。仮にどの方法でも問題解決が可能だとしても、必ずその中での最善の選択し、もしくはその選択をする意図があるはずです。それをクライアント側にゆだねるのは仕事をしていないも同然です。
提言を行う際、次善の策を準備しておく必要性は認めますが、最初から複数選択肢を提示するのはやめるべきです。
因果関係を確定する
ハウスの診断では、たびたび検査を飛ばして治療を行うことがあります。検査はノイズが多いからとか、ほかの課や医者がやった検査は信用できないとかいろんな理由があるのですが、最も大きな理由は治療をして効果がなければ仮定していた要因を否定できるから、と考えられます。
逆に薬を投与しても想定外の結果になった場合や、原因不明の回復が見られた場合には、死亡のリスクをとっても薬をやめて原因の解明に努めます。
これは巷のABテスト関連の記事にもよくあることですが、因果関係を明らかにすることにつながります。
作中ではこれを「診断を確定する」などと言っています。Webマーケティングなどの世界ではなかなかデータが取得しづらいなどの背景があるため、医療のように因果関係を特定することは難しいですが、因果関係を調査し、ある特定の段階で暫定的に「確定する」ことは可能です。
失敗、成功を問わず、プロジェクトの中で行われた施策の結果に対して、因果関係を確定する意識を持つべきです。
クライアントを信用してはいけない
作中から引用するのが難しいくらいに出てくるフレーズが「人は嘘をつく」です。
ハウスは診断の際に患者に会うことを嫌います。患者と会話をしても嘘をつくので正しい診断に寄与しないため、という考えです。
また、その前提に立っているため、患者には秘密でチームのメンバーが患者の家に不法侵入して環境要因を探すなど、人を信頼しないことを徹底しています。
実際に、患者は不倫がばれたくないので性交の事実を隠していた結果、性病が原因の疾患を見落としてしまう、というようなケースなども出てきます。
クライアントの言葉を鵜呑みにすることの危うさを学べます。
ではコンサルタントが実際の現場でクライアントに詰め寄ってヒアリングすれば解決するかというとそういう問題でもありません。
「嘘」というのも幅広い意味を持ち、クライアントが意図的に隠しているのではなく、そもそもその事実の重要性を認識していないなどのケースもあるためです。
理想としては常駐したりして、その会社やクライアントの実情を自分の目で見たいところですが、複数案件持っていると無理なことも多いので、定期的に会食などをして本音ベースで語り合えるようにすること、クライアントの上司を引っ張ってきてより解像度の高い情報にアクセスできるようにすること、などを意識したいところです。
【作品概要】Dr. House/ドクター・ハウス
以下:ネットフリックスより
Dr. House/ドクター・ハウス | Netflix
2004年公開。
患者嫌いで偏屈な医師のハウスが、天才的なひらめきと診断能力で不可解な病の謎を解き明かしてゆく。ハウスを演じるのは、俳優のヒュー・ローリー。
出演:ヒュー・ローリー、オマー・エップス、ロバート・ショーン・レナード
制作: デイヴィッド・ショア
※引用部分の和訳Netflix字幕より引用しています。