日々読書‐教育実践に深く測りあえるために
阿部昇「『言語活動の充実』から『アクティブ・ラーニング』への流れをどうみるか」日本教育方法学会編『教育方法45 アクティブ・ラーニングの教育方法学的検討』図書文化、2016年、38‐51頁。
言語活動は、子どもに豊かな「内言の外言化」を促す学習活動である。「説明する」「伝える」「書く」ことで思考の再構築が促される「言語活動の充実」は、思考・判断の外言化を高めていくための指導の工夫、より質の高い外言化をさせるための「ねらい」や働きかけを意識的に豊かにしていこうという提起である。
アクティブ・ラーニングは、内言の外言化という点で言語活動の充実の延長線に位置づく。「説明する」「伝える」だけでなく、「伝え合う」「話し合う」といった「協働」「相互作用」「対話」そのものの重要性が強調されている。互いに疑問や見方・感じ方を述べ合うだけでなく、対話が繰り返され、子ども相互の討論が展開されるなどによって、学習はより質が高くなるのである。
本稿では、アクティブ・ラーニングを、「学習者が①自ら設定した課題について、②異質な他者との対話・討論などの過程を通して、③試行錯誤、評価・批判、推理・検証、発言・創造などの探究を行うことにより、④内言の外言化を重視しながら、⑤「あたらしい学力」を学び身につけるための教育方法」と捉えている。子どもの外言化の機会が大きく唱え、多様で異質な見方を子ども相互で交流できると、相互誘発・相互連鎖によって別の見方が生み出されたり、見解が組み合わせたり具体的な事例が多く出されることで共通性・一貫性に向かう帰納的発見が行われ、法則や抽象的見解が生まれたり、見解の相違や対立から論争・討論が起こり、新たな発見や新たな見解が生まれるのである。